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4話 夜の森
しおりを挟む初めての狩を見事に成功させてから数日…。
俺は、今日も【隠密】を発動させていた。
あれは、たまたまに過ぎない。
正直、この前と同じ事を、もう1度やれと言われても、出来るか分からん。
ならば!
俺は1番使えそうな【隠密】を徹底的に鍛える事にした。
スキルを鍛えるには、親猫いわく…使えば使うほど、狩に役に立つらしい。
そこは、魔法と同じなんだな…と理解した。
しかし…。
今の俺のステータスがどうなっているんだ?
そればかり気になってしまう。
人間の街に行き、教会にある水晶に触れれば…自分のステータスが表示される。
隠密の熟練度が上がれば…忍び込むのもいいかもしれないな。
うむ、そうしよう。
それにしても…。
親猫は遅いな…。いったい何をしているんだ?
いつもなら、もうすぐ帰ってきてもいい頃だと思うんだが…。
まぁ、寝て起きれば、帰ってきていることだろう。
俺は丸くなり、眠りについた。
€€€€€
…おかしい。
親猫が夜になっても帰ってきてない。
洞窟から顔を出し、キョロキョロと、親猫の姿を探すが…見当たらない。
いったいどこで何をしている?
親猫がいない中…初めて外に出るが、心配だ。
今の俺は【隠密】の熟練度はさほど高くない。
眠る以外、【隠密】を使っているのもあり…多少は熟練度も上がったと思うが、それでも不安は残る。
だが…。
このまま、何もせずに親猫の帰りを待つだけなど、俺には出来ない。
種族は違えど、親猫は俺が求めた温もりを与えてくれた。
まだ親猫に、何も返せていない。
かつて英雄と言われた男が、ただ黙って親の帰りを待つなど、とんだ笑い者だろう。
そして、何より…そんなの俺のプライドが許さない!
待っていろ親猫よ!!
俺がお前を見つけ出し、危機的状況ならば助け出してみせようではないか!!
いざ行かん!!
そして、俺は【隠密】を使って夜の森へと入り込んだ。
€€€€€
ふむ…。いないな。
いったいどこにいるんだ?
俺は森に入ってから、20分が過ぎようとしていた。
夜行性の魔物も、徘徊していた。
その魔物どもは、明らかに俺よりも強いのは分かった。
流石に、巨体には勝てん。
もう少し、成長すれば分からんがな。
魔物が通るたび…俺は隠れてやり過ごした。
今は、親猫を見つけるのが最優先だ。
勝てそうな相手に、出くわしたとしても…今は無視するのが得策だろう。
ふぅ…よし、行ったか。
俺は、通り過ぎた魔物が、視界から消えた事を確認し…走った。
すると…見覚えのある足跡を見つけた。
親猫のだ。それも、新しい。
冒険者だった経験も役には立つな。
そんな事を思いながら、足跡を追うと…。
少し開けた場所にたどり着いた。
そして…1本の木が眼に入った。
いる…。眼には映らないが間違いなくそこにいる。
親猫だ。
そして、何故、親猫が帰ってこれなかったのかも分かった。
その木の下には、狼の魔物が8匹眠っていた。
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