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44話 勇者は兵器らしい
しおりを挟むあれから十分に休息を取り…約束通りアリーに会いに行くために、アリーの居場所を【空間魔法レベル2(探知)】で調べ【空間魔法レベル6(中距離転移)】で移動しようとすると、察知出来ないスピードで誰かに抱きしめられた。
と、言っても現状そんなマネが出来るのは神龍のユキしかいなく…直ぐに分かった。
ユキは魔力を察知してか、離れた所で日向ぼっこしていたにも関わらず…ピタッと抱きつく。
既に魔法を発動している為、どうしようもなく神龍のユキも連れてアリーのいる場所まで転移した。
こっちに向かって走ってくるネロが見えたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
シュン…、と小さく音が鳴ると共に、景色も変わった。
そこはーー
ドボン!
急にお湯が襲いかかり…首だけ空気に触れると…。
「む? パンか、思わず首を切る所ではなかったではないか」
そう言って、視界に現れたのは剣を下ろし、何も身に纏っていないアリーの姿だった。
(ああ、すまん。タイミングが悪かったな)
やはり、人間に欲情しないみたいだな。
人間だった頃なら、アリーみたいな美女の裸見たものなら、何かしら反応があったと思うからな。
「何、気にするな。わざわざ私に会いに来てくれたのだろう?」
(そういう約束だからな)
ぶっきらぼうに告げると、おかしかったのかアリーはフフ…と笑った。
「そうだな…、せっかくだ、パンやユキ…? と言ったか? お前もゆっくり湯に浸かったらどうだ?」
いや、濡れるのは好きじゃーー「お邪魔します」
って…おまぇぇええ!!
俺を抱きしめたまま、湯に浸かるんじゃねぇ!!
しかもお前、いつ脱いだ!?
全く気づかなかったぞ?
まぁ、仮にも神龍だからそれも可能か…ハァ…。
チャポ…とアリーが湯に浸かる音と、アリーの声が響いた。
「そういえば知っているか? パン。イグランド王国が勇者を召喚し、奴隷の首輪で小国を潰して、『大陸を我が手に』と言い回っているそうだぞ。
(は? 勇者ってあれか? 過去に異界から来た魔王と名乗る複数の魔物を撃退した物語の)
「うむ、その勇者で間違いない。私も信じられなかったが…事実イグランド王国は、他国を潰しておるからな。少なくとも大きな戦力を手に入れたのは間違いないだろう」
(そうか)
勇者の話が本当なら、何とも呆れた話だな…世界を救った英雄を奴隷に。
これだから人間は…。
人間の8割は、クズだ。
俺が人間だった頃も…そういえば、俺が魔物の素材を売ったり、いいように使われたのもイグランド王国だったな…。
…1回潰しておくか。
俺の中で、イグランド王国を潰す事が決定した瞬間だった。
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