騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

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返事のある手紙とない手紙



フロアの全員に注目されている事なんて、もうどうでもよく、ウィルフレッドは、自身の腕の中にいるレティシアを離さないとばかりに後ろからぎゅうぎゅうと抱きしめ、瞳を潤ませながら肩に額をぐりぐり押し付け甘えた。


「ふふっ、彼、一途なんですのよ?この一年、毎日私に愛を伝えてくれてましたの」


それを聞いたヴィンセントはレティシアが王都にいたのではないかと言うが、レティシアはこの一年の間、辺境の地から出ていない。


「アバンス騎士団長様は、この一年の間毎日手紙を送ってくださったんです」

「毎日だと!?」

「えぇ、まぁ、辺境まで離れていますから、数日分まとめて届く事もありました。しかし、毎日書かれていた事がよくわかるものでしたわ。この一年で何通きたと思います?400通ですよ?おかしいですよね?一年は365日しかないのに400通。後の35通は何故多いのでしょう・・・ふふっ、1日に2通書かれていた日もありましたの」

「こそこそと文通していたと言うのか・・・」

「あら、殿下それは違いますわ」

「違うだと?」

「確かに400通送って頂きました。しかし、私は一通も返しておりませんのよ」

「私の手紙には返してきていたではないか!」

「えぇ、王族からの手紙を無視するわけにはいきませんもの。きちんとお断りの内容でお返事しましたでしょう?」

「くっ・・・」

「アバンス団長様は、辺境にいらしていた際に手紙を書いてもいいかと申されましてね。私、返事は書きませんよと言いました。それでも一年の間毎日手紙が届きましたのよ。アバンス団長様くらいのお方なら女性は放ってはおきませんでしょう?手紙だって、いくらだって何とでも書けますわ。でも、裏切らない真実がありますの」


レティシアは、肩に乗るウィルフレッドの髪を梳くように頭を撫でる。


「無茶をして、倒れ込むまで鍛錬して自分を追い込んでいたみたいなのです。夜会の前に他の騎士様達に聞きましたら本当でしたわ。騎士団長が自分の体調の管理もせずに鍛錬にあけくれるなんて、なんて考えなしなんでしょう。もしも緊急の事態が起きて駆けつけられないなんて事があったら・・・騎士団長失格ですわよ?わかってますか、アバンス騎士団長様?」

「うっ・・・すまない」


ウィルフレッドは顔を上げないまま静かに答えた。


「でも、それは私がけしかけてしまった事なんです。辺境の騎士に勝てますかって。もちろんアバンス団長様はお強いですわ。でも、辺境の騎士達と手合わせして、危機感を覚えたのだと思います。この一年、無茶な鍛錬を続けてきたのはそれが原因なんですの。それだけ私の言葉が彼の中にあったという事です。嬉しかったんです」






ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

俺、400通も書いていたのか・・・



感想 1

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