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忍び寄る魔

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【ウィルフレッドside】


シアは・・・レイバンが近くにいるな・・・
さっそくか・・・
くそっ、あれは・・・
レイヤーズ侯爵家の嫡男か
後で覚えていろよ




「陛下、ご挨拶に伺いました」

「おぉ、アバンス団長か。ん?婚約者殿はどうした?いつも一緒にいるものだと思ったが」

「本当は片時も離れたくはないのですが、ちょっとワケがありましてね」


ウィルフレッドの視線に気付いたのか、国王レオナルドが真剣な顔になる。


「ほぉ、訳ありとな。何か企んでおるのか」

「企んでいる・・・というより、企みに乗って悪事を暴こうとしている、の方が正しいですね」

「悪事だと?」

「陛下、御無礼を承知で申し上げます。今宵の夜会で、御息女・・・ミシェリア王女殿下が人に危害を加える可能性があります。命をとまではいいませんが、ご自身の欲の為に人を使ってまで他人を貶めようと画策しておられるようです」

「何だと?・・・ミシェリアが・・・」

「はい・・・ランドルスト公爵令嬢の事件は記憶に新しいと思います。確かな確証は得ておりませんが、もし関わっていらっしゃるなら・・・人を駒に使うような真似をされるなど・・・」

「・・・信じがたいが・・・あれは私も甘やかして育ててしまった後悔がある。信頼しているお前が言うのだ。間違い無いだろうな」

「信用して頂き嬉しく思います。陛下におかれましては心苦しい結果となるかもしれませんが・・・」

「いや、構わん。民は皆大事な国の財産だ。いくら自分の身分が高かろうとやってなはらん事もある。お前に任せる」

「・・・はい、承知しました」






【レティシアside】



「その辺にしておいたら?」




ミシェリア王女殿下・・・
敵が真っ向勝負を仕掛けに来たのかしら?
先程のご令息は・・・随分と静かに去ったわね
これも王女殿下の差金・・・ということかしら



「ミシェリア王女殿下、ご挨拶申し上げます。助けていただいてありがとうございます。中々引き下がってくれずに困っておりましたの」

「このくらい・・・まぁ、今宵は夜会・・・楽しみましょう」


ミシェリアは通りかかった給仕からワインを受け取る。


「さぁ、乾杯しましょう?」

「えぇ」


レティシアはグラスを受け取ると、杯をあげ、口元に持っていく。ちらりと視線を外すと、先程言い寄ってきていた令息が少し離れたところからこちらを伺っていた。視線を戻し、グラスに口をつける。


「このワイン、どうかしら?私のお気に入りでしてね。気持ちよく酔えるのよ」

「えぇ、とても美味し・・・っ・・・うっ・・・あっ・・・はぁ、はぁ・・・」

「あら?どうしたのかしらレティシア嬢?たったそれだけで酔ってしまったのかしら?随分と弱いのね。まぁ、仕方ないわ。これ、随分と強力なものが入っているらしいの。ふふっ・・・ははっ・・・我を忘れるまで楽しめばいいわ」


レティシアの身体がぐらついた。自身の身体をきつく抱きしめるようにして震えている。顔は次第に紅潮し出してきた。倒れる。床に身体が打ち付けられる寸前、誰かにしっかりと抱き止められた。





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次回

こんな熱に侵されたシア・・・色っぽすぎて見せられないな








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