騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

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相談相手



自身を抱きしめる腕も、嬉しそうな顔もいつもと変わらない。なのに、何故か違和感がある。レティシアは昨晩の事、これまでの事、いろいろと思い返していた。婚約者の頃から早く抱きたいと言わんばかりに触れてきては何度も絶頂を味あわせられ、ぐったりしていたのも思い出せる。だが、最近のウィルフレッドは、抱きしめたりキスしたりはするのだが、それ以上の行為が皆無なのである。レティシアとしては、そこに不満があるわけではないのだが、夫婦としていつまでもこのままではいけないとは思う。そして思い悩んだ末、義母であるクラウディアの元を訪れていた。


「さぁ、かけてちょうだい。一体どんな悩みの相談かしらね?」

「突然すみません」

「あら、いいのよ?もう、レティシアちゃんは、私の娘も同然なんだから、気兼ねしないで訪ねてきて欲しいわ」

「ありがとうございます」


レティシアは眉を下げてふふっと笑う。


「それで?どうしたの」

「えぇ・・・あの、私とウィルなんですけれど、その・・・」

「いいわ。ゆっくり話して」

「はい・・・その・・・夫婦になってまだ間もないとはいえ、結婚式がこういう事になってしまって、ウィルも随分と気落ちしていましたし、私もどう進めばよいものか見失ってしまったのです」

「そう・・・あなたたちが初夜を迎えていないことはわかっているわ」

「お気付きでしたか・・・」

「それはそうよ、この屋敷のメイドや侍女はあなた達の部屋の掃除や洗濯だってするわ。シーツにシミ一つなければすぐにわかるもの」

「そう・・・ですよね」


レティシアは気まずそうに、言いづらそうに言い淀む。


「ねぇ、レティシアちゃん。貴女とウィルフレッドは政略結婚でもないし、互いに好き合っている同士。ウィルフレッドは三十に近いけれど、あなたは十代。まだまだ若いわ。焦ることはないのよ」

「そう、ですよね・・・」

「・・・あなた達が先に進めないのは、ウィルフレッドの度胸のなさ?それともあの子はそういう事に興味がないのかしら?」

「それはありません。十日の休暇で出かけている先でも、随分とそれらしいことはありましたから。でも・・・その先にはどうしても進めずにいるのです」

「・・・まさかあの子、不能なの?」

「それはないと思いますよ?抱きしめてくるたびにわかりやすく昂っている事がわかりますから」

「そう。じゃあ、気持ちの問題なのかしらね」


クラウディアにそう言われ、やはりウィルフレッドが何かを思い詰めているのかもしれないと思った。その気にさせて流れに任せてというのもいいかもしれないが、今のウィルフレッドにはそれではいけないのだろう。何が引っ掛かっているのか。何がウィルフレッドをとどまらせる理由になっているのか。きっかけさえあれば進める気がしているのに、それが何なのか、レティシアは掴めずにいた。


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