547 / 547
いろんな意味の緊張で
しおりを挟むフローラの手を取り進んでいくソルディオ。緊張はこれまでにないほどだった。フロアの目の前まで来たところで、ウィルフレッドとレティシアと落ち合った。
「緊張しているようだな」
「・・・はい・・・」
「まぁ、仕方ないな。お前はずっと辺境にいて、こんな大きな舞台で社交をするなど、デビュタント以来だろうからな」
「ソルディオ様、今宵のソルディオ様は、姫を守る騎士ですのよ?不埒な男性や、噂話などが好きで好奇な目を向ける令嬢たちから姫を守る役目があるのです。緊張などしている場合ではありませんわよ?」
レティシアの言葉にハッとする。そうだ、今夜の役割は、パートナーではあるが、きちんとした役割があったのだ。ただ楽しむためだけの時間ではない。手を取るこの美しく優しい姫を守らなくてはいけないのだ。
「さぁ、まいりましょう」
レティシアに促され、ソルディオは気合を入れる。ソルディオは自身の手の平に添えられているだけだったフローラの手を、気付けば握りしめていた。まるで、離したくないと意思表示するように。
「ソルディオ様?」
少しばかり力の入った手に、まだ緊張が解けていなかったのかと、心配そうにソルディオの顔を覗き込む。
「はい?・・・あっ、す、すみません・・・」
無意識にフローラの手を握りしめていた事に気付き、慌てて手を離したソルディオ。
「ふふっ、緊張してます?」
「あ、いや、だ、大丈夫です・・・いや、大丈夫じゃないかもしれない・・・」
片手で半面を覆い、少しばかり俯いたソルディオ。はぁっと吐いた息。
「フローラさんに触れているという事に緊張しているんです・・・」
あまりにも小声で、かすかにつぶやくように話すソルディオ。その声は、ウィルフレッドのそろそろ行くぞという声にかき消され、フローラに耳には届かなかった。先を行くウィルフレッドとレティシアの後を追い、フローラをエスコートしながら歩幅を合わせて歩くソルディオ。ウィルフレッドとレティシアが会場であるフロアに踏み入れると、二人に視線が集まる。美男美女のカップルであり、夜会での逆プロポーズ事件はまだまだ記憶に新しいものだ。ウィルフレッドの容姿に頬を染める令嬢や婦人達、レティシアの美貌に熱を乗せた視線を送る令息達や貴族紳士。そして、二人を微笑ましく見つめる貴族もいれば、羨ましそうに見つめる視線もある。貴族社会というのは厄介で、面倒なところだという印象を持つのもわからなくはないなとソルディオは思っていた。だが、次の瞬間その考えは簡単に書き換えられ、気を引き締めることとなった。
13
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
【恋愛】目覚めたら何故か騎士団長の腕の中でした。まさかの異世界トリップのようです?
梅花
恋愛
日下美南(くさかみなみ)はある日、ひょんなことから異世界へとトリップしてしまう。
そして降り立ったのは異世界だったが、まさかの騎士団長ベルゴッドの腕の中。
何で!?
しかも、何を思ったのか盛大な勘違いをされてしまって、ベルゴッドに囲われ花嫁に?
堅物騎士団長と恋愛経験皆無の喪女のラブロマンス?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お身体大丈夫ですか?8月から連載が止まっています。この作品は展開がゆっくりで登場する人達の描写もあり応援しています。又早く続行してもらいたいと思っているオババでございます。楽しみに待ってます。
コメントありがとうございます!
先の構想を悩んでおりまして、時間がかかっております
もうちょっとしたらウィルフレッドとレティシアの話や、その後のマクシミリオンや、ミリアとアイオロスや王子達の恋模様などを書いていきたいと思います(^-^)
お待たせしてすみませんがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ