お嬢さんはある日森の中で熊さんに出会った

agapē【アガペー】

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73、嫁の不安と我慢

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「アル様・・・」

「なんだ?」

「あんまりくっつかないでください」


リシェリアは、妊娠がわかった事でさらに過保護が進んだアリエルの膝に乗せられていた。


「・・・とうとうキスだけじゃなく、俺を拒否し始めたか・・・そろそろ覚悟が必要か・・・」

「何の覚悟か知りませんが、困るのです」

「・・・オッサンにべったりされたら困るのか・・・」

「そうです、べったりされたら困るんです」

「そんなにハッキリ言う事ないじゃないか・・・」

「だって、我慢できなくなるじゃないですか!」

「・・・何を・・・だ?」


アリエルは、親子ほど歳の離れたリシェリアが、自身を遠ざけたいのだと思っているが、リシェリアは違う事を考えていた。


「もう!アル様が離れてくれないから、したくてしたくて・・・我慢してるんですからね!」

「・・・何をしたいのだ?俺にできる事はなんでもするぞ?言ってみろ!なんだ?嫁の望みを叶えられん夫など、夫失格だ!早く言え!何を我慢してるんだ?俺が離れないとできないことか?リシェ・・・教えてくれ・・・」


アリエルは、リシェリアに縋り付くように胸に顔を寄せる。


「お医者様を呼んでください」

「なんだ!?体調が悪いのか?どこか痛むか!?フローラ!医者を呼べ!今すぐだ!」

「アル様・・・どこも悪くありませんが、聞きたい事があるのです」

「・・・そうか・・・何を聞くんだ?・・・教えてくれんのか?俺には言えない・・・もしかして・・・他に男が・・・うっ・・・そんな、ぐずっ、そんなのっ、い、いやだ!無理だ!!」


思考を巡らせ始めたアリエルだったが、勝手に想像して涙を流して、リシェリアの胸に抱きついて泣いている。そこへ医者が訪ねてきた。


「陛下、妃殿下、お待たせし・・・?」

「お医者様、お呼び立ててしまってすみません」

「いいえ、構いませんが・・・陛下はどうなされたのです?」

「わかりませんが、勝手に何かを思い詰めて泣き出しましたわ」

「ほぉ・・・そう、ですか・・・」


医者は困惑している。


「聞きたい事があるのです」

「何でしょう?私がお答えできる事であれば良いのですが」


胸に甘えるアリエルの頭を撫でながら、リシェリアは医者の顔を見る。


「妊娠中は・・・その・・・どこまで行って良いのです?」


顔を赤らめて聞いてくるリシェリアに、医者は驚くも、聞きたい事の意図を理解した。


「へっ!?あ、あぁ・・・そうですね。安定期にも入りましたし、お腹に強い衝撃がこない程度なら構いませんよ?」

「リシェ、どこまでって、何をするんだ?何をしたいのだ?俺では叶えてやれんのか?俺では・・・役にたたんか・・・」

「アル様でないとできない事ですのよ?」


リシェリアの胸に顔を埋めてボソボソ話していた涙目のアリエルが顔を上げる。


「陛下、妃殿下が聞かれているのは・・・その・・・」

「なんだ?リシェは何をしたいのだ・・・俺しかできないってなんだ・・・俺は何をすればいいんだ?リシェは何を望んでるのだ?」

「アル様、妊娠中、気が気じゃありませんのよ?」

「何を気に病んでいるんだ?」

「・・・不安なのです!」

「何が不安なのだ?俺が不安にさせているなら謝る・・・悪いところは直す・・・だから、嫌わないでくれ・・・」

「アル様、さっき聞きましたでしょう?強い衝撃でなければいいと」

「・・・?それがなんだ?」

「だから・・・したいんです!もう、数ヶ月してないんですよ?他の女の人にアル様が取られてしまいます!!」

「・・・リシェ、何言ってるんだ?他の女にとられる?俺がか?ありえんぞ?俺はリシェしか・・・したい?したいって・・・まさか、抱いて欲しいと・・・言ってるのか?」

「はい」

「いや、しかし・・・本当に大丈夫なのか?俺は嬉しいが・・・」

「陛下、独りよがりにならなければ大丈夫です。妃殿下を気持ちよくさせてあげられる事を考えましょう」

「そ、そうか・・・その・・・触れていいという事だよな?その・・・リシェを感じさせてもいいんだよな?リシェの可愛い声と、顔と・・・いいのか・・・そうか・・・リシェ・・・俺、夫としてまだ・・・その・・・求めてもいいのか?」

「子どもは、もう一人くらいは欲しいですもの。まだ頑張ってもらいますわよ?」

「・・・よがっだ・・・ぐずっ・・・リシェ・・・俺・・・オッサンだがらっ・・・男とじで・・・拒否ざれだ・・・どおもっだっ・・・うっ・・・」

「でしたら誰が私を愛してくださいますの?」

「誰でもないっ!俺だけだ!」


アリエルはリシェリアの胸に再度顔を埋めるとわんわんと泣き出した。


「あんなに威厳がおありの陛下も、妃殿下だけには敵いませんな」

「えぇ、アル様は、私にベタ惚れだとおっしゃいましたもの。あの時は嬉しかったんですのよ。それに私は猛獣使いだそうですので、ふふっ」


リシェリアは嬉しそうに笑った。




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