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騎士への言伝てと表情豊かなメイド
食堂だと思っていた建物から出て、宿へと戻ったローゼリアとメイドのララ。
「ララ、ステファンを呼んでくれるかしら」
「かしこまりました」
ステファンは、侯爵家お抱えの騎士であり、騎士団長である。侯爵である父が道中を案じて騎士団の中でも腕の立つものを数名付けてくれていた。旅路と出歩く際にはつかず離れずの距離で護衛をしている。
コンコンコン
「入って」
「失礼します」
「呼び立ててしまってごめんなさい、ステファン、頼みがあるの」
「はっ、何なりと」
騎士のステファンは、腰に下げられた剣に手を置き、少しだけ会釈をしたまま指示を待つ。
「王都にいるお父様に伝言を頼みたいわ。ステファン達もわかってると思うのだけど、サディアン殿下が侯爵領の屋敷に滞在される事になりそうなの」
「かしこまりました、早速早馬で駆けさせましょう」
「折り返す形になってしまって申し訳ないわ」
「お嬢様が気にされることではございませんよ」
父と変わらぬ年齢のステファンに優しく微笑まれ、ローゼリアは、ほっとする。
「では、領地の屋敷にはどのようにいたしましょう」
「そうね・・・サディアン殿下が滞在されるお部屋、それから従者のルカス様用のお部屋も整えるように伝えてくれるかしら」
「ではそのように」
ステファンは部屋を退室すると、部下達に指示を飛ばしていった。騎士の1人は王都の侯爵邸へ。1人は領地の邸へ。残った者は引き続きステファンと共にローゼリアの護衛に。それぞれが役目を持ち進んでいった。昼食をとり、サディアン達と話をし、宿に戻りステファンに騎士達への指示を出した。気付けば外は夕日が空を茜色に染めていた。
「綺麗ね・・・」
部屋の窓から見える空を眺めながら、ローゼリアはどこへともなくぽつりと呟いた。
コンコンコン
「ララです」
ノックと同時に外からメイドのララが声をかける。ステファンと話をしていたため大きく気にしてはいなかったが、ララはこの時間まで何をしていたのだろうかとふと頭をよぎった。
「開いてるわよ」
「失礼します、お嬢様、お一人なのですから、鍵はかけてくださいませ」
入室するなりララは不用心だと口を尖らせ苦言を呈す。
「外にステファン達が控えてるんだから、余程の事でもない限り大丈夫よ」
「それはそうですが、念には念をです」
「気を付けるわ、ところで、どこに行ってたの?」
口を尖らせ拗ねているような態度を取っていたララの表情が一瞬にして一変する。ローゼリアは何事かと目をぱちぱちっと瞬かせた。
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コメントありがとうございますL(´▽`L )
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