ある人の人生の話

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思春期

初めての『いじめ』

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中学に入学した。


当然、周りの生徒に知っている相手など居ない。そんな中、入学式後クラスで自己紹介が行われ明日から使う教材を取りに何人か行く時、自分も行く為席を立った。教科書が何冊も束になった物がいくつもあった中、自分は片手に一束持ちもう片手にも一束持ち教室まで運んだ。
明日から新しい学校生活。
そんな事思っていたが、入学翌日からある男子率いるグループからのちょっかいがあった。小学校の時もよく男子に絡まれていた為、気にしなかった。しかし、その男子の行動は加速していき段々クラス全体が自分を避ける様になっていた。だが、味方が居なかった訳じゃない。2人の女子が味方になってくれていた。それだけで心強いかった。しかし、避ける・無視するだけならまだしも…広いクラスの教室に味方をしてくれている女子と共にプリントが回ってくるのも難しい距離ほどの隅に、席を移動させられたのだ。教師は、見るからな『いじめ』に何も言ってこないまま授業を進めた。流石にやり過ぎていると思い、担任に相談した。そしたら
「知ってる?いじめられる側にも原因があるんだよ?それを治してみたら、無くなるじゃない?」
…理解まで数秒かかった。入学翌日から始まったこの事に、『自分に原因がある』と言われ考えてみたが…覚えが無かった。入学式で本当にクラス全員『初めまして』状態だった自分が、ちょっかいをかけてきた男子相手に何か不快な思いをさせた事など思い出す限り無かったのだ。
2学期始めまで続くいじめに、味方が居るとはいっても精神は疲労していった。偶然自分の席の所まで転がってきたクラスの子の物を拾い届けようと手を伸ばすと
「触るなや!バイ菌が移るわ!!」
と大声で言われた。…何をしたら、相手に此処まで言われる程嫌われるのか判らなかった。考えても考えても、判らなかった。だから、担任を交えて話し合いの場を作った。そして、聞きたかった事を聞いたのだ。
「自分の何処が嫌いなのか?原因があるなら、直すから。いじめる理由を教えて欲しい」
と……そして、聞かれた男子が答えた言葉は

「…なんとなく」

………は?
理解が出来なかった。
何か原因があっていじめがあった、自分が何か悪い事をしてそれでいじめられていると思っていて、色々と考えていた。なのに、相手が答えた理由は……「なんとなく」だった。
意味が判らない。
直しようがないじゃないか。
何が「いじめられる側にも原因がある」だ
「なんとなく」でいじめられていた自分に
『非』なんて何処にも無かったではないか
そんな理由で、自分は…自分の味方をしてくれている2人は、あんなクラスの隅に追いやられて無視されてきたのか。…怒りよりも、理解出来ない答えの言葉を頭の中でグルグル回る感覚だけに支配されていた。そして、担任に言ったのだ
「…こんな理由でも、私に…原因がありますか?」
担任は困った様な顔をしていた。他の教師もそうだ、あんな隅に追いやられプリントを席から離れないと取れない距離にいる自分達3人を、『不思議』だとか『おかしい』だとか思わなかったのか。担任は、本当に『自分にも原因があるから、いじめが起きている』と思いながらその光景を『良し』としていたのか?



まったく、意味の判らない事だった





中2になる時は、クラス替えがあり主犯の男子とは離れたクラスになった。
味方になってくれた2人とも、バラバラのクラスになった。
が、それのおかげかいじめは無くなった。




『いじめられる方にも原因がある』





なんて言葉、誰が決めたのやら。
『原因不明』でいじめられた私は…その言葉に、今でも信用ならないでいる
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