吸血族の棲む森 ~美少年、美貌領主に犯されて堕ちていく~

AYAME

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Chapter05

05-01

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「それでお前は、わざわざ俺へと直訴しにきたというわけか」

 執務室の床に敷き詰められた絹の絨毯の上に、全裸のまま荒縄で縛られた少年が、その身を取り押さえた従者から背中を圧迫されて蹲っていた。

「地下室を抜け出し、騒ぎを起こして捕まり、俺への面通りを願い出てまで訊ねたかったことは、それだけか?」

 ようやく訪れた千載一遇の脱出機会をご破算にしてでも、ダニエルは問い質さずにはいられなかった。

「だったら何だ! いいから答えろ、ラドゥ! メルヴェイユ領の南……おれの家がある地域が魔物に襲われたってのは、本当なのか?」

 召し獲られていても尚、闘志を失わぬ少年の無垢なる双眸を見下ろして、その丁子茶の瞳の中に燃ゆる変わらぬ反逆心の炎に満足げな笑みを漏らし、領主は答える。

「どこでそれを耳にしたかは敢えて問わないでおこう。大方、お喋りな下人どもから聞いたのであろう。……で、お前の質問だが、端的に回答するならば、『そうらしい』といったところか」
「ふざけるなッ!」

 猛然たる咆哮で以てダニエルは憤怒を露にした。

「おれの家族を護るって、約束したはずだろ! 魔物どもから襲撃を受けても、お前やお前の家来たちが、姉ちゃんたちを守護するって……そういう契約だったはずだろ!」

 この契約の不履行に関しては、単に呆気なく反故にされたという屈辱の念よりも、専ら姉の身に危害が及んだという許しがたい事実に対してのみ、憤りの憎念が向けられていた。
 自己に対しては、何をされても耐えてみせると心に決めていたから、どんなに侮蔑的な扱いを受けようと、欲望の捌け口として人以下の仕打ちを受けようと、構わないと割り切ることができていた。それで救われる命があるのならば――愛しい家族を、姉の平穏を、守護してもらえるのならば、構わないと割り切ることができていた。
 それなのに!

「防衛の義務は確かにあった。我々も日夜、使い魔たちに見張らせ、有事の際は即座にしもべたちを向かわせて魔物の殲滅を行っていたさ」

 詫びの辞も無しに淡々と応じるラドゥへと向かって、ダニエルは堪えきれない激情を叩きつけていく。

「嘘を吐け! 襲われたんだろ、その魔物たちに! お前らのせいだ! お前らがしっかりしてなかったから、魔王の手先が、領内に攻め入ってきて……おれの、家族を……ッ!」
「しかし少年よ。そうは言っても、お前はその両の目で、実情を確かめたわけではあるまい?」

 帳の降ろされた窓を背に鋭い指摘を向けてきたラドゥに対し、さすがのダニエルも俄かに語勢を弱めてしまう。

「で……でも、おれは聞いたぞ。下人から……、慌てて問い詰めたら、相当の被害、だとか……」
「そこまで言うのならば、自らのまなこで確かめてくるがよい。事と次第によっては、俺がお前の身を弄ぶ大義が無くなるのだからな」
「え……?」

 予想も期待もしていなかった主からの申し出に、従者に押さえつけられたままのダニエルは呆然となってしまう。

「服を着ろ。陽射しは眩しいであろうし、我が領内を裸で闊歩されては品位を疑われる」
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