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101.お茶会は続く
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「ごめんなさい……アリス様が戻られたのは夢じゃないんだと思ったら急に込み上げてきて……」
「キャロライン様……」
ハンカチで目元を押さえるキャロラインを見ると、私まで胸に熱いものが込み上げてくる。
「キャロライン様にそんな風に思っていただけるなんて幸せです」
「アリス様……」
なんだか私の瞳も潤んできたみたいだ。
「アリス様……これからもまた仲良くしてくださいね」
「もちろんです」
そう答えると同時に涙腺が崩壊してしまった。
そんな私に無言でハンカチを差し出してくれたのはセスだった。
「ありが……と……ございます」
鼻をズビズビ鳴らしながらハンカチを受け取る私に向かって、セスは呆れたようにため息をついた。
「お友達ごっこは人がいない時にやれよな」
「すいません」
「……ったくやってられねーよ」
そう言うと、セスはさっさと部屋を出て行こうとする。そんなセスをキャロラインが呼び止めた。
「殿下、申し訳ありませんが少々お待ちくださいませんか?」
キャロラインが何か囁くと、アナベルはすぐに部屋を出て行った。
「……で? 俺をわざわざ呼び止めた理由は何だよ?」
再び席についたセスが警戒心を露わに、鋭い眼光でキャロラインを睨みつける。最初の丁寧な口調が嘘のようだ。
「セス殿下に少々頼まれていただきたい事がございまして」
「はぁ?」
「殿下に届けていただきたい荷物があるのです」
セスが怪訝そうに眉間に皺を寄せた。
「お前……俺に使い走りをさせようってのか?」
「使い走りではなく、おつかいをお願いしたいのです」
「一緒のことだろ」
不愉快そうに睨みつけるセスにも、キャロラインが動じる様子はない。
「荷物はアナベルが取りに行っていますので、どうかもう少しお待ちくださいませ」
「そんなもん、待ってられるかよ!!」
キャロライン様ってばどうしちゃったの?
いくらキャロラインが宰相を務める公爵の娘だからといっても、現国王の甥であるセスに荷物運びを命じるのは失礼になるんじゃないかしら。
そう思いつつも、無力な私は二人のやりとりをハラハラしながら見つめることしかできない。
我慢の限界を越えたセスが、ガタンと音を立てながら立ち上がった時、アナベルが部屋へと戻ってきた。どこに行っていたのか分からないけれど、余程急いで歩いたらしく呼吸に乱れがある。
キャロラインも立ち上がり、アナベルが持って来た箱をセスに差し出した。
「セス殿下、こちらをわたくしの兄、エドワードに届けていただけませんか?」
「エドワードに?」
キャロラインを無視して部屋を出て行こうとしていたセスが立ち止まって振り向いた。
「エドワードは例のカサラング公爵の件で忙しいんじゃないのか?」
「ええ。ですがわたくしからの預かり物を殿下がお持ちになったと知れば、兄本人が対応せざるをえませんので」
えっ? 受け取っちゃうの?
てっきり怒ってそのまま帰ってしまうかと思っていたのに。普通にキャロラインから箱を受け取っているセスに驚いてしまう。
「気を遣ってくださったお礼ですわ」
「お前って……ほんっと、食えねー女だな」
「褒め言葉と受け取っておきますわ」
にっこりと満面の笑みを浮かべたキャロラインを見てふっと口元を緩ませたセスが体を動かし、座ったままの私を見た。
「じゃあな。アイスティーごちそうさん」
「えっ、あっ、は、はい」
機嫌よく去っていくセスに戸惑いしかない。
いやまぁ、機嫌がよいのはいいことよ。いい事なんだけど……
「本当にセス殿下は分かりやすい方ですね」
どこが!?
クスクスとおかしそうに笑いながら椅子に戻ってきたキャロラインに、思わずつっこみそうになった。
どう考えても今の流れだとセスは怒るはずよ。それなのにいつもよりも上機嫌でおつかい引き受けるなんて不自然すぎでしょ!!
私の頭の中を飛び回る「???」は顔まで溢れ出ていたらしい。
「全然分からないというお顔をされてますね」
私の顔を見ながらキャロラインがより一層笑い声を大きくした。キャロラインがこういった笑い方をするのは、いつも私以外の人がいない時だ。きっとこれがキャロラインの素の部分なのだろう。
いつもの女神のような眩い笑顔も素敵だけど、このあどけなさを感じさせる笑い顔もとてもチャーミングだ。こんな素敵な笑顔を見るのが私だけなんてもったいと思うと同時に、キャロラインが私に心を開いてくれていることを嬉しくも感じた。
「キャロライン様は、以前からセス様と仲がよろしかったんですか?」
「いいえ。セス殿下は普段王都にはいらっしゃいませんので、春喜宴で何度かお会いしたことがあるだけです」
今まで当たり障りのない挨拶しかしたことがなかったから、セスがあんなに口が悪くて怒りっぽいとは知らなかったとキャロラインは言う。
「でも口は悪くてもお優しい方なのでしょうね。わたくし達の様子を見て、二人でゆっくり話せるよう気を遣って帰っていかれたのですから」
「気を遣っていただいたお礼ってそういう意味だったんですね」
さすがキャロライン。これだけ短い時間でセスの分かりにくい優しさに気付けるんだから大したもんだ。私なんてしばらくセスはただの乱暴者だとしか思ってなかったもんな。
「あれ? でもお礼にお使いって、何だかおかしくありませんか?」
「ああ、あれは……セス殿下に、エドワード兄様の所へ行く口実を差し上げたんですわ」
「そうだったんですか?」
あのおつかいにそんな理由があったのかと驚いた私を見て、キャロラインは笑いながら言葉を続けた。
「セス殿下は兄の事がお好きなようですから。というより熱狂的なファンと言った方が正しいかもしれませんね」
セスがエドワードの熱烈なファン……頭の中にエドワードの名入り団扇とペンライトを持って絶叫しているセスの姿を想像する。
「分かるような気がします……」
確かにセスの言葉から、エドワードを敬愛する気持ちがビシバシ伝わってきていた。
「セス殿下が王都にいらっしゃるのは春喜宴の時だけですから、少しでも兄様の側に行かれたいのだと思いますよ」
「春喜宴の時だけって、セス様はあまりこちらにいらっしゃらないんですね?」
「それは……」
キャロラインが少し困った表情を浮かべた。言いにくい事なのだろうか、少しだけ間をとり、言葉を選ぶようにゆっくりと続けた。
「わたくしの口から詳しいことは申し上げられませんが……ジャニス様とそのご家族の方々は、一年に一度、春喜宴の時のみ王宮にいらっしゃることが許されているというか、認められているというか……」
ジャニスとその家族ということは、セスだけでなくオリヴィアやラウルも一年に一度しか王宮に来れないことになる。
なぜ?
理由は気になったが、キャロラインが言い渋るということは、これ以上踏み込んで聞かない方がいい話なのかもしれない。
「あのぅアリス様……少しよろしいでしょうか?」
「ん? 何、アナベル? どうかしたの?」
声をかけるタイミング待っていたのか、すすすっと側に寄って来たアナベルが口を開く。
「結局ラウル様は変わった性癖をお持ちだったんですか?」
へっ?
真剣な顔で言いにくそうにしてたから、てっきり真面目な話かと思ってたのに。
もうアナベルったら……
熱い瞳で私の返事を待つアナベルを見ていると、自然と笑みがこぼれてくる。
「聞いてないから分からないわ」
「聞いてないんですか!?」
わぉっ。
アナベルの勢いに気圧されてしまう。
「アナベルってばそんなに知りたかったの?」
「当たり前じゃないですか。あのラウル様のセクシャルな話題ですよ。考えただけでよだれが出ちゃうほど聞きたいに決まってるじゃないですか」
いやいや、よだれじゃなくて、興奮しすぎて唾飛んでるから。
「あーぁ……ラウル様にディープな性癖があればいいなって期待してましたのに……」
ため息をつくアナベルは、目に見えてガッカリしている。
そんなに落ち込まなくても……
キャロラインと二人、アナベルにかける言葉が見つからず、ただ顔を見合わせて苦笑いをするしかなかった。
「キャロライン様……」
ハンカチで目元を押さえるキャロラインを見ると、私まで胸に熱いものが込み上げてくる。
「キャロライン様にそんな風に思っていただけるなんて幸せです」
「アリス様……」
なんだか私の瞳も潤んできたみたいだ。
「アリス様……これからもまた仲良くしてくださいね」
「もちろんです」
そう答えると同時に涙腺が崩壊してしまった。
そんな私に無言でハンカチを差し出してくれたのはセスだった。
「ありが……と……ございます」
鼻をズビズビ鳴らしながらハンカチを受け取る私に向かって、セスは呆れたようにため息をついた。
「お友達ごっこは人がいない時にやれよな」
「すいません」
「……ったくやってられねーよ」
そう言うと、セスはさっさと部屋を出て行こうとする。そんなセスをキャロラインが呼び止めた。
「殿下、申し訳ありませんが少々お待ちくださいませんか?」
キャロラインが何か囁くと、アナベルはすぐに部屋を出て行った。
「……で? 俺をわざわざ呼び止めた理由は何だよ?」
再び席についたセスが警戒心を露わに、鋭い眼光でキャロラインを睨みつける。最初の丁寧な口調が嘘のようだ。
「セス殿下に少々頼まれていただきたい事がございまして」
「はぁ?」
「殿下に届けていただきたい荷物があるのです」
セスが怪訝そうに眉間に皺を寄せた。
「お前……俺に使い走りをさせようってのか?」
「使い走りではなく、おつかいをお願いしたいのです」
「一緒のことだろ」
不愉快そうに睨みつけるセスにも、キャロラインが動じる様子はない。
「荷物はアナベルが取りに行っていますので、どうかもう少しお待ちくださいませ」
「そんなもん、待ってられるかよ!!」
キャロライン様ってばどうしちゃったの?
いくらキャロラインが宰相を務める公爵の娘だからといっても、現国王の甥であるセスに荷物運びを命じるのは失礼になるんじゃないかしら。
そう思いつつも、無力な私は二人のやりとりをハラハラしながら見つめることしかできない。
我慢の限界を越えたセスが、ガタンと音を立てながら立ち上がった時、アナベルが部屋へと戻ってきた。どこに行っていたのか分からないけれど、余程急いで歩いたらしく呼吸に乱れがある。
キャロラインも立ち上がり、アナベルが持って来た箱をセスに差し出した。
「セス殿下、こちらをわたくしの兄、エドワードに届けていただけませんか?」
「エドワードに?」
キャロラインを無視して部屋を出て行こうとしていたセスが立ち止まって振り向いた。
「エドワードは例のカサラング公爵の件で忙しいんじゃないのか?」
「ええ。ですがわたくしからの預かり物を殿下がお持ちになったと知れば、兄本人が対応せざるをえませんので」
えっ? 受け取っちゃうの?
てっきり怒ってそのまま帰ってしまうかと思っていたのに。普通にキャロラインから箱を受け取っているセスに驚いてしまう。
「気を遣ってくださったお礼ですわ」
「お前って……ほんっと、食えねー女だな」
「褒め言葉と受け取っておきますわ」
にっこりと満面の笑みを浮かべたキャロラインを見てふっと口元を緩ませたセスが体を動かし、座ったままの私を見た。
「じゃあな。アイスティーごちそうさん」
「えっ、あっ、は、はい」
機嫌よく去っていくセスに戸惑いしかない。
いやまぁ、機嫌がよいのはいいことよ。いい事なんだけど……
「本当にセス殿下は分かりやすい方ですね」
どこが!?
クスクスとおかしそうに笑いながら椅子に戻ってきたキャロラインに、思わずつっこみそうになった。
どう考えても今の流れだとセスは怒るはずよ。それなのにいつもよりも上機嫌でおつかい引き受けるなんて不自然すぎでしょ!!
私の頭の中を飛び回る「???」は顔まで溢れ出ていたらしい。
「全然分からないというお顔をされてますね」
私の顔を見ながらキャロラインがより一層笑い声を大きくした。キャロラインがこういった笑い方をするのは、いつも私以外の人がいない時だ。きっとこれがキャロラインの素の部分なのだろう。
いつもの女神のような眩い笑顔も素敵だけど、このあどけなさを感じさせる笑い顔もとてもチャーミングだ。こんな素敵な笑顔を見るのが私だけなんてもったいと思うと同時に、キャロラインが私に心を開いてくれていることを嬉しくも感じた。
「キャロライン様は、以前からセス様と仲がよろしかったんですか?」
「いいえ。セス殿下は普段王都にはいらっしゃいませんので、春喜宴で何度かお会いしたことがあるだけです」
今まで当たり障りのない挨拶しかしたことがなかったから、セスがあんなに口が悪くて怒りっぽいとは知らなかったとキャロラインは言う。
「でも口は悪くてもお優しい方なのでしょうね。わたくし達の様子を見て、二人でゆっくり話せるよう気を遣って帰っていかれたのですから」
「気を遣っていただいたお礼ってそういう意味だったんですね」
さすがキャロライン。これだけ短い時間でセスの分かりにくい優しさに気付けるんだから大したもんだ。私なんてしばらくセスはただの乱暴者だとしか思ってなかったもんな。
「あれ? でもお礼にお使いって、何だかおかしくありませんか?」
「ああ、あれは……セス殿下に、エドワード兄様の所へ行く口実を差し上げたんですわ」
「そうだったんですか?」
あのおつかいにそんな理由があったのかと驚いた私を見て、キャロラインは笑いながら言葉を続けた。
「セス殿下は兄の事がお好きなようですから。というより熱狂的なファンと言った方が正しいかもしれませんね」
セスがエドワードの熱烈なファン……頭の中にエドワードの名入り団扇とペンライトを持って絶叫しているセスの姿を想像する。
「分かるような気がします……」
確かにセスの言葉から、エドワードを敬愛する気持ちがビシバシ伝わってきていた。
「セス殿下が王都にいらっしゃるのは春喜宴の時だけですから、少しでも兄様の側に行かれたいのだと思いますよ」
「春喜宴の時だけって、セス様はあまりこちらにいらっしゃらないんですね?」
「それは……」
キャロラインが少し困った表情を浮かべた。言いにくい事なのだろうか、少しだけ間をとり、言葉を選ぶようにゆっくりと続けた。
「わたくしの口から詳しいことは申し上げられませんが……ジャニス様とそのご家族の方々は、一年に一度、春喜宴の時のみ王宮にいらっしゃることが許されているというか、認められているというか……」
ジャニスとその家族ということは、セスだけでなくオリヴィアやラウルも一年に一度しか王宮に来れないことになる。
なぜ?
理由は気になったが、キャロラインが言い渋るということは、これ以上踏み込んで聞かない方がいい話なのかもしれない。
「あのぅアリス様……少しよろしいでしょうか?」
「ん? 何、アナベル? どうかしたの?」
声をかけるタイミング待っていたのか、すすすっと側に寄って来たアナベルが口を開く。
「結局ラウル様は変わった性癖をお持ちだったんですか?」
へっ?
真剣な顔で言いにくそうにしてたから、てっきり真面目な話かと思ってたのに。
もうアナベルったら……
熱い瞳で私の返事を待つアナベルを見ていると、自然と笑みがこぼれてくる。
「聞いてないから分からないわ」
「聞いてないんですか!?」
わぉっ。
アナベルの勢いに気圧されてしまう。
「アナベルってばそんなに知りたかったの?」
「当たり前じゃないですか。あのラウル様のセクシャルな話題ですよ。考えただけでよだれが出ちゃうほど聞きたいに決まってるじゃないですか」
いやいや、よだれじゃなくて、興奮しすぎて唾飛んでるから。
「あーぁ……ラウル様にディープな性癖があればいいなって期待してましたのに……」
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