鸞翔鬼伝 〜らんしょうきでん〜

紗々置 遼嘉

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四章 礎

四十七.外伝〜茶屋にて…一成〜

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茶屋にいた理由は、まだここでは明かせない。
いずれ本編の中で…。

うん、実は信長様と異父兄弟。
そして、翔隆の従兄弟。
疾風は、よく修隆のもとに居たから、色んな話を聞いていたので一成の事を知っていた。
だから一成が修隆の子だと見抜いたのだ。修隆に似ていたから。


…一成は、茶屋では普段客を取らずにいた。
ただ………ぼーっと生きていただけで。
どうでも良かった。
生きるのも、食べるのも、死ぬのも。
客が付いた事もある。
余りの無愛想さと、無反応で飽きられていた。

叩かれても何をされても…
それだけの理由があったがーーー誰にも話してはいない。
ただ、死のうとしたら…ここの女将に拾われただけだ。
客は取らなくていいと言われた。
だが、やっかむ者達に押し付けられたり、仕方無くそうなった。

洗濯もした。
女達に示しが付かないので働かなくてはならないからだ。
「ほら、これも丁寧に洗いなさいよ!」
「ニコリともしやしない」
「顔がいいからってねぇ!いい気になるんじゃないよ!」
…いつも、そう言われては腹や足を叩かれる。
女に叩かれても、何とも思わなかった。
ただただ、死を待っていたーーー。


それなのに、翔隆が大金を払い身請けされて…
感情が出てくるなんて…思いもよならかった。

屋敷を飛び出した時もーーー

こんなにも悲しく、虚しくなるなんて。
いっそ誰かに殺して貰おうと思ったのに…。

いいのか?
こんな自分でも…
必要とされる喜びを味わっていいのか?

ーーーーー生きて、いいのかーーー?

問いの答えなど無い。
ただ、翔隆ならば…例え何を賭けたとしても悔いたりしないと確信出来た…。
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