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五章 流浪
十二.思いの丈
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大隅・日向・豊後を抜けて豊前に来ると、翔隆は道を外れて北西へ向かった。
そして、筑前へとやってきた…。
少し涼しい風になってきた八月も終わり…。
翔隆は包帯を取って溜め息を吐く。
目の前には、岩屋城が見える…。
ここまで来たのはいいが、何と言って会えばいいのか分からない…。
またあの厳しく吊り上がった目でまくし立てられたら、反論出来る自信が無いのだ。
何とも頼りない…と我ながら思い、翔隆は苦笑した。
〈いつまでもうろうろしていても埒が明かぬ。行くだけ、行くか…!〉
そう決断し、翔隆は影疾と樟美に浅葱を任せて廃屋で待ってもらい、城内に侵入した。
一刻程、屋根裏でうろつくと、下からあの猛者の声が響いてきた。
「笑い事ではなかです!」
翔隆は耳を傾け、そっと隙間から覗いた。
すると吉弘鎭種が、宿老と思しき男と話をしているのが見えた。
「弥七郎、そう気ば荒立てるな」
「貴方はあん男がどれ程薄っぺらな偽善者かば知らなかから、そう言えるばい!」
「まあまあ、落ち着け。良かではなかか。長年バラバラやった一族が、その男の下一つとなれば、和平への道も定まろう。その嫡子も、必死なのだ」
…どうやら、自分の事が話題らしい。
「……甘い…甘過ぎる! あ奴はっ」
「お主、その男を〝武士〟として、認めたくないのではなかんか?」
「え…?」
鎭種は驚いたように、その男を見た。
「我々武士として生まれてきた者であれば、確かに不忠。ばってん、そ奴は百姓でもなければ野武士でもなか。陰で動く〝一族〟ん長っちなるべくして生まれたのだ。自らどん方法が一番良かか考えた末、そん行動ばするのであろう? 掟で〝主君を持つは死罪〟っちあっけんの、そ奴は敢えてそいばしたばい……そいの何ん意味か、お主には分からんけんか?」
「分からんけん!」
「自分が人によって魅力があるか無いかを、分かっちいるんばい。敵に寝返られるけんあいば、まだ誰かに仕えていてくれた方の良か、っち考えてん事やないか?」
驚いた事に、この男は会った事も無いというのに、翔隆の考えをピタリと当てている…。
「そげな都合の良か事は考えていまい」
「そん男は主君を三・四人持つっちうやないか。それは敵ん魔手より少しでも多くの御家ば守ろうっちしてん行動やないのか? 武家ん信頼ば得るには、仕官しかなか。…違うとるか?」
「それは…」
「古き掟ば捨てるんは、こん戦乱ん世ば終わらせるんっち同じ道に繋がる。古か時代ば終わらせねば、真ん平和ば訪れんたい。そん男ん新しき一族ば束ねて、千五百年以上も続く長き戦に、終止符ば打っちくれるやもしれぬやろ?」
「ばってん…」
鎭種が何かを言い掛ける。
ここまで知らない人に肩を持たれて、黙ってはいられない。
翔隆は板を外して、ひらりと降り立った。それに対して鎭種は立ち上がる。
「貴様…!」
「私は、そんな思慮深くは無い…!」
「…はぁ?」
「確かに、信頼を得る為に仕えた。しかし…ただ守ろうとして、思いも掛けずに増えてしまい……。そんなに偉い事までは、考えていなかったのだ…」
その翔隆の言葉に鎭種は拍子抜けして、座る。
「…やはりうつけばい…」
「…その通りだと思う。ただ…私は、人が人に仕えるという事は、何らかの魅力があるからだと思い…責める資格も無ければ、問う権利も無いのだ。私は………好きで一族に生まれた訳では無く……私と同じ思いをする者もいるだろうと思ったのだ。ただ、一つでも多くの大名家が狭霧と関わるのを、防ぎたい一心で…旨くは言えないのだが…」
翔隆は俯きがちに、しかし自分の気持ちを必死に伝えようと喋っていた。
「…そいで?」
黙っている鎭種に代わり、その男が言う。
「……私は、何も知らずに育った。掟も、十五でやっと教えて貰って…だが、肝心な事は何も教えては貰えぬまま……集落を失い……信長様に助けられた…。あ、尾張の織田家なのだが…。それから…それから、一気に真実を知り、訳の分からぬままに………っ」
そこまで言い、翔隆は辛そうに目を瞑る。
…何があったか仔細は知らねども、その表情から窺えた。
「…父が………父が出来なかった事を、私まで見離してしまったら、京羅の、狭霧の思う壷だ。そうなれば…――――父や母を失う子供が増えて…集落が潰されていくのが判るから! そういう子を増やしたく無いのだっ! 私が死ぬまでに…こんな馬鹿げた戦を終わらせたいと…そう思うからこそっ戦うのだっ!」
翔隆は溢れる涙を拭い、尚も喋る。
「私は、この乱世も一族の戦いも同じものだと思っている。皆が協力し合えば、平和に近付くのだ。……どこでもいいから、大名が天下統一出来れば、平和になる。私は、その手助けがしたいのだ! そして一族も…皆が認めぬというのであれば、私一人で出来るだけ戦って統一していく! 私が力を付けて強くなれば、それだけ多く狭霧を倒せる…その分、大切な仲間が傷付いたり…死なずに済む。…………もう……っ、もう誰も私のせいで死んで欲しくは無いのだっ!! だからこそっ、長になろうと決めたのだ……っ!!」
そう言って、翔隆はボロボロと涙を流した。その涙は、今までどんな目に遇い、どんな覚悟でここに居るかを物語っている。
「もう、充分だろう?」
男が微笑して言うと、鎭種は苦笑いをする。
「道雪どん…」
「こん男は、良か武人やなかか。己ば守り盾っちなる者達ば、死なせたく無か故に、強くなる。そいは大将として充分な心構えじゃなかか」
戸次道雪(五十九歳)はそう言って笑った。どうやらこの二人は、父子のように仲が良いようである。
鎭種は、フーッと溜め息を吐いて翔隆を見る。
「では言うておくが……わしゃお主になんぞ、仕えなかぞ?」
「分かっている。そんな無理強いはしない。大友家に仕える身であろう? …ただ、私の代わりにこの領地と大友家を守って欲しいだけだ」
「ふん! 言われるまでもなくやっちおるわっ! 己はどげんなんだ!?」
「私は……考えない事にしている」
「何っ?!」
「私はただ、信じる道を進む事にしている…善悪を決めるのは、他の皆だから。……なんて…本当は、考えるときりが無くて…迷ってしまいそうで。私は情けないから…」
「チッ…本当に頼りない〝長〟たい」
「………長…って…」
「ハッ! 認めてやるっち言うてんだ………道雪どんに感謝せんね!」
そう言い鎭種は照れ臭そうに酒を呑んだ。
「…ありがとう存じます、道雪殿」
翔隆は本当に道雪にぺこりと頭を下げる。すると、道雪は笑いながら盃をくれた。
「ははは…拙者は何もしておらぬ。こん乱世で珍しいそん正直な、そなたん人柄であろう」
「ただのバカばいっ!」
まだ悪口を言いながらも、鎭種は酒を注いでくれた。どうやら、許してくれたようだ。
それから翔隆は一時程酒を酌み交わした。
酒の席で、立花道雪が若い頃に一族の《力》により雷に打たれて、以来下半身が自由に動かなくなり、それを己の至らなさと思い、鎭種はこの人に出来得る限りの事をしていると、話してくれる。
いつの間にか翔隆も持ち前の人懐っこさで、二人とすっかり仲良くなっていた。
この辺りの一族とも話してくれるという約束をした。
そして二人に別れを告げて、城の外に出る。
これで、九州の憂いは無くなった………ここまで来た甲斐があったというものだ。
戻って樟美と浅葱にそれを伝えると、翔隆はまた包帯をして、東に向かった。
そして、筑前へとやってきた…。
少し涼しい風になってきた八月も終わり…。
翔隆は包帯を取って溜め息を吐く。
目の前には、岩屋城が見える…。
ここまで来たのはいいが、何と言って会えばいいのか分からない…。
またあの厳しく吊り上がった目でまくし立てられたら、反論出来る自信が無いのだ。
何とも頼りない…と我ながら思い、翔隆は苦笑した。
〈いつまでもうろうろしていても埒が明かぬ。行くだけ、行くか…!〉
そう決断し、翔隆は影疾と樟美に浅葱を任せて廃屋で待ってもらい、城内に侵入した。
一刻程、屋根裏でうろつくと、下からあの猛者の声が響いてきた。
「笑い事ではなかです!」
翔隆は耳を傾け、そっと隙間から覗いた。
すると吉弘鎭種が、宿老と思しき男と話をしているのが見えた。
「弥七郎、そう気ば荒立てるな」
「貴方はあん男がどれ程薄っぺらな偽善者かば知らなかから、そう言えるばい!」
「まあまあ、落ち着け。良かではなかか。長年バラバラやった一族が、その男の下一つとなれば、和平への道も定まろう。その嫡子も、必死なのだ」
…どうやら、自分の事が話題らしい。
「……甘い…甘過ぎる! あ奴はっ」
「お主、その男を〝武士〟として、認めたくないのではなかんか?」
「え…?」
鎭種は驚いたように、その男を見た。
「我々武士として生まれてきた者であれば、確かに不忠。ばってん、そ奴は百姓でもなければ野武士でもなか。陰で動く〝一族〟ん長っちなるべくして生まれたのだ。自らどん方法が一番良かか考えた末、そん行動ばするのであろう? 掟で〝主君を持つは死罪〟っちあっけんの、そ奴は敢えてそいばしたばい……そいの何ん意味か、お主には分からんけんか?」
「分からんけん!」
「自分が人によって魅力があるか無いかを、分かっちいるんばい。敵に寝返られるけんあいば、まだ誰かに仕えていてくれた方の良か、っち考えてん事やないか?」
驚いた事に、この男は会った事も無いというのに、翔隆の考えをピタリと当てている…。
「そげな都合の良か事は考えていまい」
「そん男は主君を三・四人持つっちうやないか。それは敵ん魔手より少しでも多くの御家ば守ろうっちしてん行動やないのか? 武家ん信頼ば得るには、仕官しかなか。…違うとるか?」
「それは…」
「古き掟ば捨てるんは、こん戦乱ん世ば終わらせるんっち同じ道に繋がる。古か時代ば終わらせねば、真ん平和ば訪れんたい。そん男ん新しき一族ば束ねて、千五百年以上も続く長き戦に、終止符ば打っちくれるやもしれぬやろ?」
「ばってん…」
鎭種が何かを言い掛ける。
ここまで知らない人に肩を持たれて、黙ってはいられない。
翔隆は板を外して、ひらりと降り立った。それに対して鎭種は立ち上がる。
「貴様…!」
「私は、そんな思慮深くは無い…!」
「…はぁ?」
「確かに、信頼を得る為に仕えた。しかし…ただ守ろうとして、思いも掛けずに増えてしまい……。そんなに偉い事までは、考えていなかったのだ…」
その翔隆の言葉に鎭種は拍子抜けして、座る。
「…やはりうつけばい…」
「…その通りだと思う。ただ…私は、人が人に仕えるという事は、何らかの魅力があるからだと思い…責める資格も無ければ、問う権利も無いのだ。私は………好きで一族に生まれた訳では無く……私と同じ思いをする者もいるだろうと思ったのだ。ただ、一つでも多くの大名家が狭霧と関わるのを、防ぎたい一心で…旨くは言えないのだが…」
翔隆は俯きがちに、しかし自分の気持ちを必死に伝えようと喋っていた。
「…そいで?」
黙っている鎭種に代わり、その男が言う。
「……私は、何も知らずに育った。掟も、十五でやっと教えて貰って…だが、肝心な事は何も教えては貰えぬまま……集落を失い……信長様に助けられた…。あ、尾張の織田家なのだが…。それから…それから、一気に真実を知り、訳の分からぬままに………っ」
そこまで言い、翔隆は辛そうに目を瞑る。
…何があったか仔細は知らねども、その表情から窺えた。
「…父が………父が出来なかった事を、私まで見離してしまったら、京羅の、狭霧の思う壷だ。そうなれば…――――父や母を失う子供が増えて…集落が潰されていくのが判るから! そういう子を増やしたく無いのだっ! 私が死ぬまでに…こんな馬鹿げた戦を終わらせたいと…そう思うからこそっ戦うのだっ!」
翔隆は溢れる涙を拭い、尚も喋る。
「私は、この乱世も一族の戦いも同じものだと思っている。皆が協力し合えば、平和に近付くのだ。……どこでもいいから、大名が天下統一出来れば、平和になる。私は、その手助けがしたいのだ! そして一族も…皆が認めぬというのであれば、私一人で出来るだけ戦って統一していく! 私が力を付けて強くなれば、それだけ多く狭霧を倒せる…その分、大切な仲間が傷付いたり…死なずに済む。…………もう……っ、もう誰も私のせいで死んで欲しくは無いのだっ!! だからこそっ、長になろうと決めたのだ……っ!!」
そう言って、翔隆はボロボロと涙を流した。その涙は、今までどんな目に遇い、どんな覚悟でここに居るかを物語っている。
「もう、充分だろう?」
男が微笑して言うと、鎭種は苦笑いをする。
「道雪どん…」
「こん男は、良か武人やなかか。己ば守り盾っちなる者達ば、死なせたく無か故に、強くなる。そいは大将として充分な心構えじゃなかか」
戸次道雪(五十九歳)はそう言って笑った。どうやらこの二人は、父子のように仲が良いようである。
鎭種は、フーッと溜め息を吐いて翔隆を見る。
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「分かっている。そんな無理強いはしない。大友家に仕える身であろう? …ただ、私の代わりにこの領地と大友家を守って欲しいだけだ」
「ふん! 言われるまでもなくやっちおるわっ! 己はどげんなんだ!?」
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「何っ?!」
「私はただ、信じる道を進む事にしている…善悪を決めるのは、他の皆だから。……なんて…本当は、考えるときりが無くて…迷ってしまいそうで。私は情けないから…」
「チッ…本当に頼りない〝長〟たい」
「………長…って…」
「ハッ! 認めてやるっち言うてんだ………道雪どんに感謝せんね!」
そう言い鎭種は照れ臭そうに酒を呑んだ。
「…ありがとう存じます、道雪殿」
翔隆は本当に道雪にぺこりと頭を下げる。すると、道雪は笑いながら盃をくれた。
「ははは…拙者は何もしておらぬ。こん乱世で珍しいそん正直な、そなたん人柄であろう」
「ただのバカばいっ!」
まだ悪口を言いながらも、鎭種は酒を注いでくれた。どうやら、許してくれたようだ。
それから翔隆は一時程酒を酌み交わした。
酒の席で、立花道雪が若い頃に一族の《力》により雷に打たれて、以来下半身が自由に動かなくなり、それを己の至らなさと思い、鎭種はこの人に出来得る限りの事をしていると、話してくれる。
いつの間にか翔隆も持ち前の人懐っこさで、二人とすっかり仲良くなっていた。
この辺りの一族とも話してくれるという約束をした。
そして二人に別れを告げて、城の外に出る。
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