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五章 流浪
二十三.稲葉山城、奪取〔二〕
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二月…。
京より薬を取り寄せて、荷駄を三つ作った中に武器具足を隠し入れて、準備は整った。
重虎は城に連れて行く者を決める。
翔隆を始め、矢佐介と美濃頭領の一人、忍成を念の為に入れて、あとは竹中家の家臣十三名を連れて行く事にした。
「中に入ったら、各々具足を着けて言われた場所に待機。太鼓の音が合図だ」
「はっ!」
「私は弟の部屋にいる…矢佐介は機を見計らい、合図を送れ」
「はい!」
それぞれが準備に掛かる中、翔隆だけが手持ち無沙汰で重虎に近寄る。
「それで、私は?」
「殿は………拙者と共に部屋に来て頂き、部屋の前で待機していて下され」
「分かった」
答えて翔隆は子供達を見る。
「これより稲葉山に行ってくる故、待っていてくれ」
「あい」と浅葱は素直に言うが、
「稲葉山に行きたいです!」
と、珍しく樟美が駄々をこねた。
翔隆はしゃがんで樟美の両肩に手を置く。
「樟美…ただ城に入る訳ではないのだ。刃を交える…」
「わたしも一族と戦ってきました!」
…樟美は過信している……。
今までの戦いでは、翔隆が庇っていたからこそ戦えたのだが…。
それがまだ、分かっていないのだ。
翔隆が何か言おうとすると、重虎が言う。
「ならば、荷駄に入っていなされ」
「半兵衛?!」
「ありがとう」
そう言い樟美は走っていってしまう。
「半兵衛……どういうつもりで…」
「良いではありませぬか。己の力量を計る機にもなりましょう」
「それはそうだが…」
「さあ、行きますぞ!」
そう言い重虎が行ってしまうので、翔隆もついていく…。
「どうぞ」
普通は荷を改めるのだが、ここ数日前から中身を見なくなっており、やっと身内である重虎が来た事もあり、早々に稲葉山城内に通された。
ここまでは順調…。
後はいつ討って出るか、である。
翔隆は荷物を手に、重虎と竹中重矩の寝室に向かう。
「私もついていって平気なのか?」
「貴方ならば、近習に見えまする故」
「………そうか」
何だか複雑な気分だ。
「入るぞ、久作」
重虎は不機嫌に言い、中に入る。
〈…?〉
翔隆はそれを不審に思いながらも中に入り、襖を閉めた。
二人が座ると、布団の中の重矩は上体を起こす。
「兄上……そちらの方は…」
「とても信頼のおける家臣だ。それよりも、大丈夫なのであろうな?」
「あ、はい…。しかし寝てばかりいると体が…」
「久作、黙っていろ」
「はい…」
言われて重矩は落ち込んだように黙ると、廊下を誰かが歩く音がした。
〈……もしや、仲が良くないのか…?〉
翔隆は二人をじっと見比べた。
顔立ちはとても似ているが、重矩はいかにも武人といった感じがする。
〈…そういえば、半兵衛の家族に会うのは、初めてだが……重矩殿も、一族なのだよな…?〉
ちらりと重虎を見ると、彼は障子の方を見ている。
重矩の方は、兄を見上げていた…。
〈………外は余り人が通らないようだな…〉
翔隆も様子を探り、持ってきた荷を置く。
これは改められてもいいように、本物の薬が入っている。…沈黙が重い…。
翔隆は、気になって重虎に《思考派》を送る。
⦅何か話し掛けた方が良いと思うぞ。怪しまれぬような…⦆
「…………」
すると重虎はこちらを向いた。
「体は、どうだ?」
「え……」
分かっていない様子の重矩に、翔隆がそっと耳打ちした。
(病の振りをなされておられるのですから、それなりの返答を…)
言うと、ああ、と気付いたように咳をして答える。
「寒くなったので、少々風邪を引いたようで」
「そうか。良い薬を持って来た故、飲むといい」
そう言い、薬の箱を開けて中身を取り出す。
…飲んでも害の無いただの粉と、本物の風邪に効く薬だ。
「水を、貰って参りましょう」
翔隆が立ち上がって襖を開けると、そそくさと去っていく人影が見えた。
…好奇心で様子を見に来たとみえる。
やはり、会話は続けて貰わねば…。
⦅まだ人が見に来るので、何か労りの言葉を掛けていた方がいい⦆
そう重虎に《思考派》を送ってから、翔隆は水を取りに行く。
そろそろ日が暮れる……矢佐介からの合図はまだ来ない…。
翔隆は重虎の隣りに座りながら、目を瞑って中の様子を探ってみる。
のんびりとした空気が漂う中で、近習達や侍女達は無駄な刻を過ごしており、重臣も見当たらない。
外の様子を探ってみると、近くの森に待機する安藤守就の一軍があった。
無論〔一族〕の姿は無い。
〈準備は全て整った………後は龍興の近辺〉
翔隆はちらりと重虎を見る。
重虎は頷いて太鼓を取り出し、いつでも討って出れるようにする…。
それを見て、重矩も緊張した面持ちで布団から様子を窺った。
⦅今です!⦆
矢佐介からの《思考派》と共に、重虎はバッと立ち上がり太鼓を打ち鳴らした。
翔隆は、瞬時に立ち上がり隠して持ってきた刀を取り出し、一本を重虎に渡してもう一本を抜き、外に出た。
「敵襲! 敵襲にござる!!」
他の家臣達とも合流し、近習達を斬り付けていく。
外では太鼓の音と共に、閂を外して安藤守就軍を迎え入れ、火矢を放って中に押し入っていた。
その中に、忍成と共に樟美の姿もあった。
「さ、行きますぞ!」
「ん!」
返事は良いが不安だ…。
その間に、中から逃げ出して来た侍女達や近習、小姓達がどっと押し寄せてくる。
「うわあああっ!」
「きゃああっ!」
「女共には構うな!」
守就の怒号が飛ぶ。
番兵や寵愛を受けている家臣達が、切り合いながらも次々と逃げていく。
その中で樟美は、人込みに飛ばされ、切るのもままならずに隅に追いやられて、悔しそうに歯噛みしていた。
そんな樟美に、忍成が近寄る。
「ここに居て下され。…戦は、もっと恐ろしいですぞ」
そう言い忍成は撹乱しに行ってしまう。
一方の城内では、翔隆と重虎が小姓達を斬り殺しつつ龍興の下へ向かっていた。
「旨く逃げていると思うが…」
「そうですな。龍興さえ居なくなれば良い事です」
重虎が答え、勢いよく襖を開けた。
…本丸には、既に誰もいない。
二人はニヤリとして見つめ合い、頷く。
龍興達は、敵襲と聞いた時点で小姓や侍女達と共に脱出していたのだ。
確認した後、重虎は再び太鼓を打ち鳴らして乗っ取った事を、外の安藤勢に伝えた。
えいえい、おーっ と、鬨の声が上がる。
これは、必然の勝利だ。
武辺者を城に控えさせず、難攻不落という安心感から起きた慢心による落城。
その後、安藤勢は引き上げていき、全ての閂を掛けてから籠城態勢に入った。
龍興は大軍勢が城内にいると思い込んでいるので、兵を置く必要がないのだ。
それともう一つ…守就自身が、罪を被らないようにする為でもあった…。
あちらこちらに家臣達は見張りとして散り、忍成が樟美を連れて本丸に来た。
翔隆を見た途端に、樟美は父に駆け寄って抱き着く。
「父上……」
「………樟美、怪我はないか?」
優しく樟美の頭を撫でてやりながら聞くと、樟美は顔を横に振ってしがみついた。
あちこちに擦り傷があるのだが、そんな事よりもこうしていたかったのだ。
何も出来ずに只もみくちゃにされて、刀すら落としてしまった自分が情けなくもあり、悔しくもあった。
そして……初めて戦いが〝怖い〟と感じたのだ…。
その心を押し隠すように、必死に父にしがみついた。
そんな樟美を抱き締めながら、翔隆は重虎を見る。
「……それで、どうする?」
「そうですな………取り敢えず軽く掃除をしてから飯にしましょう」
「ふっ……分かった」
これから城をどうするのかを聞いたのだが……掃除すると答えるとは思わなかった。
翔隆達は後から報告に来た矢佐介と共に、皆で散らかった物を片付けた。
それから、矢佐介が作った夕餉を食べる事にする。家臣は交替で来る事になっている。
「…さて、火は消した事だし…明日にも龍興や織田からの使者が来るだろう」
「御意」
家臣の一人が答える。
「龍興の使者は、まだ追い払え。織田の使者が来たら伝えよ」
「はっ」
家臣達は答えて己の配置に戻っていった。
すると、翔隆が溜め息を吐く。
「殿…いかが至した?」
「いや……牢人故に、な…」
重虎は、ああ、と頷く。
織田から誰か来るとすれば、前田利家か丹羽長秀か池田恒興、であろう。
ここで会うのは気が引けるというもの…。
「別に殿がお会いにならなくとも良いのですよ?」
「そ、そうだな…」
そう言いつつも、何故か落ち込んでいる様子…。
重虎はぷっと笑い掛けてしまう。
「会いたければ、会えば良いでしょう? 別に友と会うても誰も咎めませぬよ。信長公本人ではないのですから」
「う、うむ…」
まだ来てもいないのに迷うのがおかしかったらしく、重虎は楽しそうに笑った。
「…半兵衛……」
翔隆は苦笑して重虎を見た。
その夜、翔隆は布団で丸くなる樟美に話し掛ける。
「…どうだった?」
「………何も……出来なくて………」
「当然だ。出来る方が、凄いよ」
「でもっ…今まで………」
言い掛けて、樟美はこれまでの戦いを思い出す。
これまで一人で同等に戦ってきたつもりだった…。
けれど気付けばいつも、側には父の背中があり…守られていたのだ、と今更ながらに実感した。
それがまた悔しくて、樟美は声を押し殺して泣いた。
翔隆は苦笑して樟美の頭を撫でながら、外を見つめた。
〈私も…悔しくて泣いた頃があったな……〉
ふと幼少の頃を思い出す。
義成に刀術を習って、いつも怒鳴られて飛ばされて傷だらけになって……それでも、一撃でいいから返したくて泣いた…。
懐かしい日々。
ポタリ 雫が、手の甲に落ちた。
〈え……?〉
何故か、自分まで涙を流していた。
手で涙を拭い、翔隆は立ち上がって連子(城にある外を見る為の格子窓)から外を見る。
拭っても溢れる涙………。
信長が恋しいとか、悲しい訳ではない。
確かに恋しいが、この涙はそういったものではない。
…何故……?
義成や睦月達が恋しいのだろうか?
いや違う………翔隆は分からぬまま泣いていた。
翌日、一族がこの事を疾風に知らせた。
「何っ!? 兄者と竹中が…?!」
驚愕して、疾風は唸りながら考える。
〈…乱破奉行としての立場ならば、信長様にお知らせした方が良いが……兄者がいるとは…〉
竹中は元から翔隆の家臣だ…。信長はどう思うのであろうか…?
〈………兄者の事は、伏せておこう…〉
そう決断すると、疾風は信長に知らせに行った。すると信長は好機とばかりに稲葉山に使者を送る。
「ご開門あれ! 拙者、尾張織田家が家臣、前田又左衛門利家と申す! 使者として参った!」
利家が言うと、中から
「しばし待たれよ」
と返答があったので、利家は辺りを警戒しながら待った。
一方の本丸には、忍成が知らせに来た。
「織田信長が使者、前田又左衛門利家殿がお見えですが、いかが至しますか?」
「利家………!」
それを聞いて、翔隆はすぐに走って行った。そんな翔隆を見送り、重虎は苦笑する。
「やれやれ…。出迎えの用意を」
「はっ」
翔隆は何も考えずに何度も転びそうになりながらも城壁を伝って走り、利家の側に来た途端に足を滑らせて落ちた。
ガラガラ ドサッ
「と…翔隆?!」
利家も、側に落ちた翔隆自身も狼狽する。
「は…はは、いてて。元気、そうだな…利家」
苦笑いを浮かべて言うと、利家は涙を浮かべて馬から降り、抱き着いて翔隆の背を叩いた。
「お主…っよく無事で…!!」
「ん……」
感動の余り言葉も出ずに、二人は互いに抱き合い背を叩き合った。
それから利家を中に招き、三ノ丸で話をする。
「粗茶ですが、どうぞ」
と矢佐介が上等な茶を持ってきて置く。
重虎の隣りには、翔隆と樟美が並んでいる。
「…真に、ここを落としたのか…」
呟くように言うと、翔隆が微笑んで答える。
「竹中重虎がな。見事な策で落とした…力など使わずに」
「はあ…大したものだ」
利家は感心して重虎を見る。
以前に何度か会った事があるが、これ程の器であったとは…。
改めて座り直すと、利家は〝使者〟となる。
「主君、織田信長の言上を申し上げる。〝稲葉山を引き渡すのであれば、美濃半国を与える〟との由。悪い話ではないと思うのだが…?」
そう言うと、重虎はクスリと笑った。
「あ、失礼。余りの知行で驚きましたよ」
そう言いながらも、目が笑っていない。
重虎は真顔になって、利家を真っすぐ見据えた。
「…ご存じの通り、拙者は〔一族〕であり、翔隆様を唯一人の主と仰いでおりまする。…元々、龍興めが拙者を嘲弄した故に奪ってみせただけの事。国などを取る為にやったのではござらん。それに…」
言い掛けて、重虎は目を閉じる。
じっと見ていると、ギッと睨まれた。
「我が主を解任した者に渡す為にやったのではござらん!」
怒りを帯びた眼で言われ、利家は少したじろぐ。
幾つもの戦を越えてきたが、こんなにも強く激しい殺気を纏った眼をした男はいなかった…。
「どうしても、と仰せであれば、〝我が君〟を説き伏せなされ」
「…!」
それには利家も息詰まる。
ここで仮に翔隆に言って城を明け渡されたとしても、信長が知ったらどうなるであろうか…?
…まだかなり激怒しているのだから、逆に城を捨ててしまうのではないか?
「い、いや……それは出来ぬ…」
その返答に、重虎はにっこり笑う。
「さすがは翔隆様の友、よくお分かりで…。それに、近々龍興に返そうと思うので出来ぬ相談なのですよ。そうお伝えあれ」
「…分かり申した」
そう言い利家は頭を下げて、苦笑する。
「……竹中どのは、翔隆が好きなのだな」
「無論。心酔し敬愛し、命を捧げている主にござる」
胸を張って言うと、翔隆が照れ臭そうにする。
「半兵衛…。利家……その、力になれずに済まない。ここの総大将は竹中なのだ。私が口を挟む事では無いと思っているし、もう直出立する故……許せよ?」
翔隆が言うと、利家は微苦笑した。
「良いのだ。どうせ大殿も手に入るとは思うておらぬ。……お主に会えて、嬉しいぞ」
「私もだ」
そう言い合い、二人は笑った。
それから二刻程、酒を酌み交わして利家は尾張に帰っていった…。
見送る翔隆の背が、余りに寂しげだったので、重虎はその背をポンと叩く。
「殿、まだ北に行かれるのでしょう? 名残惜しいのは判りますが、もう行かれた方が宜しい」
「半兵衛…」
「……明日にでも鷺山城の龍興めに、城を返す旨の書を出そうかと思います」
「…それがいい」
答えて、翔隆は重虎と共に本丸へ向かった。
その夜、二人は本丸の頂上で酒を酌み交わしていた。
「見晴らしがいいな」
「ここからの眺めは最高ですが、主君は最悪です」
重虎が嫌悪感を露わにして言った。
翔隆はそれに苦笑する。
「……それで、城を返した後はどうするのだ?」
「集落と近江にある庵に住んで、隠遁しようかと」
「弟に家督を譲る事で、罪を逃れるのか…半兵衛らしい」
「元より罰しはしないでしょう。その様な才もありませぬ」
「それ程酷いのか…」
「それもありますが…家臣に城を乗っ取られて罰する主君なぞ、おりますまい? 近隣に知れ渡り、使者まで来たものをそのまま返すのですから、罰すればそれこそ恥」
「成る程…」
そこまでは考えていなかった翔隆は苦笑いした。
それを見て、重虎は溜め息を吐く。
「…殿……成る程ではござらん。思考が止まっておられるのか? これくらいの事は簡単に見抜けましょうに…」
「……済まん」
翔隆はしょんぼりと落ち込んだ。
その様子を見て、重虎は首を傾げる。
「何か、気掛かりな事でも?」
「………いや、いいのだ………何でもない」
…どう見ても、何でもないようには見えない。
重虎は翔隆に近寄り、正面からじっと眼を見つめる。
「…何が、ありました?」
「………」
「――――殿。軍師の拙者にも言えぬ事ですか?」
「堺で…三好義興を暗殺してきた…」
「暗殺? 何故?」
「《力》は使わぬ、と約束して旅に出たので……樟美と浅葱を質に取られ………将軍に汚名を着せてしまって……っ」
途切れ途切れの言葉だが、話しは分かった。
「質だけですか?」
「いや……金も貰った………だがっ! 将軍の名を汚してまで…っ」
そう言い蒼白する翔隆の両肩に、重虎はぽんと手を置く。
「殿がやらなければ、誰かがやった事でしょう。どのみちそれは、変わりありますまい」
「だが私は…っ」
「殿」
俯く翔隆の両肩をぐっと持って、顔を上げさせる。
「その事だけに捕らわれていては、これより先の旅に支障が出るでしょう。いえ、そんな調子では一族説得すらも出来ませぬ。気を、しっかりと持たれよ!」
「……ん、済まぬ……」
翔隆は苦笑して重虎の肩に手を置く。
「しっかりと、説得して回らねば…な」
「当然です。それでなければ、〝長〟とは言えぬでしょう?」
重虎が微笑んで言うと、翔隆もにこりと笑う。
その後、二人は展望台から下を見ながら、酒を呑んだ。
翌日。
重虎は書をしたため、翔隆は樟美を連れて矢佐介の集落に向かった。
するとすぐに浅葱が駆け寄ってきて、翔隆に抱き着く。
「ととさま! おかえりなさい」
「…ただいま。早速だが、城下で冬支度をしてから旅に出るぞ」
「あい」「はい」
浅葱と樟美が答えた。
京より薬を取り寄せて、荷駄を三つ作った中に武器具足を隠し入れて、準備は整った。
重虎は城に連れて行く者を決める。
翔隆を始め、矢佐介と美濃頭領の一人、忍成を念の為に入れて、あとは竹中家の家臣十三名を連れて行く事にした。
「中に入ったら、各々具足を着けて言われた場所に待機。太鼓の音が合図だ」
「はっ!」
「私は弟の部屋にいる…矢佐介は機を見計らい、合図を送れ」
「はい!」
それぞれが準備に掛かる中、翔隆だけが手持ち無沙汰で重虎に近寄る。
「それで、私は?」
「殿は………拙者と共に部屋に来て頂き、部屋の前で待機していて下され」
「分かった」
答えて翔隆は子供達を見る。
「これより稲葉山に行ってくる故、待っていてくれ」
「あい」と浅葱は素直に言うが、
「稲葉山に行きたいです!」
と、珍しく樟美が駄々をこねた。
翔隆はしゃがんで樟美の両肩に手を置く。
「樟美…ただ城に入る訳ではないのだ。刃を交える…」
「わたしも一族と戦ってきました!」
…樟美は過信している……。
今までの戦いでは、翔隆が庇っていたからこそ戦えたのだが…。
それがまだ、分かっていないのだ。
翔隆が何か言おうとすると、重虎が言う。
「ならば、荷駄に入っていなされ」
「半兵衛?!」
「ありがとう」
そう言い樟美は走っていってしまう。
「半兵衛……どういうつもりで…」
「良いではありませぬか。己の力量を計る機にもなりましょう」
「それはそうだが…」
「さあ、行きますぞ!」
そう言い重虎が行ってしまうので、翔隆もついていく…。
「どうぞ」
普通は荷を改めるのだが、ここ数日前から中身を見なくなっており、やっと身内である重虎が来た事もあり、早々に稲葉山城内に通された。
ここまでは順調…。
後はいつ討って出るか、である。
翔隆は荷物を手に、重虎と竹中重矩の寝室に向かう。
「私もついていって平気なのか?」
「貴方ならば、近習に見えまする故」
「………そうか」
何だか複雑な気分だ。
「入るぞ、久作」
重虎は不機嫌に言い、中に入る。
〈…?〉
翔隆はそれを不審に思いながらも中に入り、襖を閉めた。
二人が座ると、布団の中の重矩は上体を起こす。
「兄上……そちらの方は…」
「とても信頼のおける家臣だ。それよりも、大丈夫なのであろうな?」
「あ、はい…。しかし寝てばかりいると体が…」
「久作、黙っていろ」
「はい…」
言われて重矩は落ち込んだように黙ると、廊下を誰かが歩く音がした。
〈……もしや、仲が良くないのか…?〉
翔隆は二人をじっと見比べた。
顔立ちはとても似ているが、重矩はいかにも武人といった感じがする。
〈…そういえば、半兵衛の家族に会うのは、初めてだが……重矩殿も、一族なのだよな…?〉
ちらりと重虎を見ると、彼は障子の方を見ている。
重矩の方は、兄を見上げていた…。
〈………外は余り人が通らないようだな…〉
翔隆も様子を探り、持ってきた荷を置く。
これは改められてもいいように、本物の薬が入っている。…沈黙が重い…。
翔隆は、気になって重虎に《思考派》を送る。
⦅何か話し掛けた方が良いと思うぞ。怪しまれぬような…⦆
「…………」
すると重虎はこちらを向いた。
「体は、どうだ?」
「え……」
分かっていない様子の重矩に、翔隆がそっと耳打ちした。
(病の振りをなされておられるのですから、それなりの返答を…)
言うと、ああ、と気付いたように咳をして答える。
「寒くなったので、少々風邪を引いたようで」
「そうか。良い薬を持って来た故、飲むといい」
そう言い、薬の箱を開けて中身を取り出す。
…飲んでも害の無いただの粉と、本物の風邪に効く薬だ。
「水を、貰って参りましょう」
翔隆が立ち上がって襖を開けると、そそくさと去っていく人影が見えた。
…好奇心で様子を見に来たとみえる。
やはり、会話は続けて貰わねば…。
⦅まだ人が見に来るので、何か労りの言葉を掛けていた方がいい⦆
そう重虎に《思考派》を送ってから、翔隆は水を取りに行く。
そろそろ日が暮れる……矢佐介からの合図はまだ来ない…。
翔隆は重虎の隣りに座りながら、目を瞑って中の様子を探ってみる。
のんびりとした空気が漂う中で、近習達や侍女達は無駄な刻を過ごしており、重臣も見当たらない。
外の様子を探ってみると、近くの森に待機する安藤守就の一軍があった。
無論〔一族〕の姿は無い。
〈準備は全て整った………後は龍興の近辺〉
翔隆はちらりと重虎を見る。
重虎は頷いて太鼓を取り出し、いつでも討って出れるようにする…。
それを見て、重矩も緊張した面持ちで布団から様子を窺った。
⦅今です!⦆
矢佐介からの《思考派》と共に、重虎はバッと立ち上がり太鼓を打ち鳴らした。
翔隆は、瞬時に立ち上がり隠して持ってきた刀を取り出し、一本を重虎に渡してもう一本を抜き、外に出た。
「敵襲! 敵襲にござる!!」
他の家臣達とも合流し、近習達を斬り付けていく。
外では太鼓の音と共に、閂を外して安藤守就軍を迎え入れ、火矢を放って中に押し入っていた。
その中に、忍成と共に樟美の姿もあった。
「さ、行きますぞ!」
「ん!」
返事は良いが不安だ…。
その間に、中から逃げ出して来た侍女達や近習、小姓達がどっと押し寄せてくる。
「うわあああっ!」
「きゃああっ!」
「女共には構うな!」
守就の怒号が飛ぶ。
番兵や寵愛を受けている家臣達が、切り合いながらも次々と逃げていく。
その中で樟美は、人込みに飛ばされ、切るのもままならずに隅に追いやられて、悔しそうに歯噛みしていた。
そんな樟美に、忍成が近寄る。
「ここに居て下され。…戦は、もっと恐ろしいですぞ」
そう言い忍成は撹乱しに行ってしまう。
一方の城内では、翔隆と重虎が小姓達を斬り殺しつつ龍興の下へ向かっていた。
「旨く逃げていると思うが…」
「そうですな。龍興さえ居なくなれば良い事です」
重虎が答え、勢いよく襖を開けた。
…本丸には、既に誰もいない。
二人はニヤリとして見つめ合い、頷く。
龍興達は、敵襲と聞いた時点で小姓や侍女達と共に脱出していたのだ。
確認した後、重虎は再び太鼓を打ち鳴らして乗っ取った事を、外の安藤勢に伝えた。
えいえい、おーっ と、鬨の声が上がる。
これは、必然の勝利だ。
武辺者を城に控えさせず、難攻不落という安心感から起きた慢心による落城。
その後、安藤勢は引き上げていき、全ての閂を掛けてから籠城態勢に入った。
龍興は大軍勢が城内にいると思い込んでいるので、兵を置く必要がないのだ。
それともう一つ…守就自身が、罪を被らないようにする為でもあった…。
あちらこちらに家臣達は見張りとして散り、忍成が樟美を連れて本丸に来た。
翔隆を見た途端に、樟美は父に駆け寄って抱き着く。
「父上……」
「………樟美、怪我はないか?」
優しく樟美の頭を撫でてやりながら聞くと、樟美は顔を横に振ってしがみついた。
あちこちに擦り傷があるのだが、そんな事よりもこうしていたかったのだ。
何も出来ずに只もみくちゃにされて、刀すら落としてしまった自分が情けなくもあり、悔しくもあった。
そして……初めて戦いが〝怖い〟と感じたのだ…。
その心を押し隠すように、必死に父にしがみついた。
そんな樟美を抱き締めながら、翔隆は重虎を見る。
「……それで、どうする?」
「そうですな………取り敢えず軽く掃除をしてから飯にしましょう」
「ふっ……分かった」
これから城をどうするのかを聞いたのだが……掃除すると答えるとは思わなかった。
翔隆達は後から報告に来た矢佐介と共に、皆で散らかった物を片付けた。
それから、矢佐介が作った夕餉を食べる事にする。家臣は交替で来る事になっている。
「…さて、火は消した事だし…明日にも龍興や織田からの使者が来るだろう」
「御意」
家臣の一人が答える。
「龍興の使者は、まだ追い払え。織田の使者が来たら伝えよ」
「はっ」
家臣達は答えて己の配置に戻っていった。
すると、翔隆が溜め息を吐く。
「殿…いかが至した?」
「いや……牢人故に、な…」
重虎は、ああ、と頷く。
織田から誰か来るとすれば、前田利家か丹羽長秀か池田恒興、であろう。
ここで会うのは気が引けるというもの…。
「別に殿がお会いにならなくとも良いのですよ?」
「そ、そうだな…」
そう言いつつも、何故か落ち込んでいる様子…。
重虎はぷっと笑い掛けてしまう。
「会いたければ、会えば良いでしょう? 別に友と会うても誰も咎めませぬよ。信長公本人ではないのですから」
「う、うむ…」
まだ来てもいないのに迷うのがおかしかったらしく、重虎は楽しそうに笑った。
「…半兵衛……」
翔隆は苦笑して重虎を見た。
その夜、翔隆は布団で丸くなる樟美に話し掛ける。
「…どうだった?」
「………何も……出来なくて………」
「当然だ。出来る方が、凄いよ」
「でもっ…今まで………」
言い掛けて、樟美はこれまでの戦いを思い出す。
これまで一人で同等に戦ってきたつもりだった…。
けれど気付けばいつも、側には父の背中があり…守られていたのだ、と今更ながらに実感した。
それがまた悔しくて、樟美は声を押し殺して泣いた。
翔隆は苦笑して樟美の頭を撫でながら、外を見つめた。
〈私も…悔しくて泣いた頃があったな……〉
ふと幼少の頃を思い出す。
義成に刀術を習って、いつも怒鳴られて飛ばされて傷だらけになって……それでも、一撃でいいから返したくて泣いた…。
懐かしい日々。
ポタリ 雫が、手の甲に落ちた。
〈え……?〉
何故か、自分まで涙を流していた。
手で涙を拭い、翔隆は立ち上がって連子(城にある外を見る為の格子窓)から外を見る。
拭っても溢れる涙………。
信長が恋しいとか、悲しい訳ではない。
確かに恋しいが、この涙はそういったものではない。
…何故……?
義成や睦月達が恋しいのだろうか?
いや違う………翔隆は分からぬまま泣いていた。
翌日、一族がこの事を疾風に知らせた。
「何っ!? 兄者と竹中が…?!」
驚愕して、疾風は唸りながら考える。
〈…乱破奉行としての立場ならば、信長様にお知らせした方が良いが……兄者がいるとは…〉
竹中は元から翔隆の家臣だ…。信長はどう思うのであろうか…?
〈………兄者の事は、伏せておこう…〉
そう決断すると、疾風は信長に知らせに行った。すると信長は好機とばかりに稲葉山に使者を送る。
「ご開門あれ! 拙者、尾張織田家が家臣、前田又左衛門利家と申す! 使者として参った!」
利家が言うと、中から
「しばし待たれよ」
と返答があったので、利家は辺りを警戒しながら待った。
一方の本丸には、忍成が知らせに来た。
「織田信長が使者、前田又左衛門利家殿がお見えですが、いかが至しますか?」
「利家………!」
それを聞いて、翔隆はすぐに走って行った。そんな翔隆を見送り、重虎は苦笑する。
「やれやれ…。出迎えの用意を」
「はっ」
翔隆は何も考えずに何度も転びそうになりながらも城壁を伝って走り、利家の側に来た途端に足を滑らせて落ちた。
ガラガラ ドサッ
「と…翔隆?!」
利家も、側に落ちた翔隆自身も狼狽する。
「は…はは、いてて。元気、そうだな…利家」
苦笑いを浮かべて言うと、利家は涙を浮かべて馬から降り、抱き着いて翔隆の背を叩いた。
「お主…っよく無事で…!!」
「ん……」
感動の余り言葉も出ずに、二人は互いに抱き合い背を叩き合った。
それから利家を中に招き、三ノ丸で話をする。
「粗茶ですが、どうぞ」
と矢佐介が上等な茶を持ってきて置く。
重虎の隣りには、翔隆と樟美が並んでいる。
「…真に、ここを落としたのか…」
呟くように言うと、翔隆が微笑んで答える。
「竹中重虎がな。見事な策で落とした…力など使わずに」
「はあ…大したものだ」
利家は感心して重虎を見る。
以前に何度か会った事があるが、これ程の器であったとは…。
改めて座り直すと、利家は〝使者〟となる。
「主君、織田信長の言上を申し上げる。〝稲葉山を引き渡すのであれば、美濃半国を与える〟との由。悪い話ではないと思うのだが…?」
そう言うと、重虎はクスリと笑った。
「あ、失礼。余りの知行で驚きましたよ」
そう言いながらも、目が笑っていない。
重虎は真顔になって、利家を真っすぐ見据えた。
「…ご存じの通り、拙者は〔一族〕であり、翔隆様を唯一人の主と仰いでおりまする。…元々、龍興めが拙者を嘲弄した故に奪ってみせただけの事。国などを取る為にやったのではござらん。それに…」
言い掛けて、重虎は目を閉じる。
じっと見ていると、ギッと睨まれた。
「我が主を解任した者に渡す為にやったのではござらん!」
怒りを帯びた眼で言われ、利家は少したじろぐ。
幾つもの戦を越えてきたが、こんなにも強く激しい殺気を纏った眼をした男はいなかった…。
「どうしても、と仰せであれば、〝我が君〟を説き伏せなされ」
「…!」
それには利家も息詰まる。
ここで仮に翔隆に言って城を明け渡されたとしても、信長が知ったらどうなるであろうか…?
…まだかなり激怒しているのだから、逆に城を捨ててしまうのではないか?
「い、いや……それは出来ぬ…」
その返答に、重虎はにっこり笑う。
「さすがは翔隆様の友、よくお分かりで…。それに、近々龍興に返そうと思うので出来ぬ相談なのですよ。そうお伝えあれ」
「…分かり申した」
そう言い利家は頭を下げて、苦笑する。
「……竹中どのは、翔隆が好きなのだな」
「無論。心酔し敬愛し、命を捧げている主にござる」
胸を張って言うと、翔隆が照れ臭そうにする。
「半兵衛…。利家……その、力になれずに済まない。ここの総大将は竹中なのだ。私が口を挟む事では無いと思っているし、もう直出立する故……許せよ?」
翔隆が言うと、利家は微苦笑した。
「良いのだ。どうせ大殿も手に入るとは思うておらぬ。……お主に会えて、嬉しいぞ」
「私もだ」
そう言い合い、二人は笑った。
それから二刻程、酒を酌み交わして利家は尾張に帰っていった…。
見送る翔隆の背が、余りに寂しげだったので、重虎はその背をポンと叩く。
「殿、まだ北に行かれるのでしょう? 名残惜しいのは判りますが、もう行かれた方が宜しい」
「半兵衛…」
「……明日にでも鷺山城の龍興めに、城を返す旨の書を出そうかと思います」
「…それがいい」
答えて、翔隆は重虎と共に本丸へ向かった。
その夜、二人は本丸の頂上で酒を酌み交わしていた。
「見晴らしがいいな」
「ここからの眺めは最高ですが、主君は最悪です」
重虎が嫌悪感を露わにして言った。
翔隆はそれに苦笑する。
「……それで、城を返した後はどうするのだ?」
「集落と近江にある庵に住んで、隠遁しようかと」
「弟に家督を譲る事で、罪を逃れるのか…半兵衛らしい」
「元より罰しはしないでしょう。その様な才もありませぬ」
「それ程酷いのか…」
「それもありますが…家臣に城を乗っ取られて罰する主君なぞ、おりますまい? 近隣に知れ渡り、使者まで来たものをそのまま返すのですから、罰すればそれこそ恥」
「成る程…」
そこまでは考えていなかった翔隆は苦笑いした。
それを見て、重虎は溜め息を吐く。
「…殿……成る程ではござらん。思考が止まっておられるのか? これくらいの事は簡単に見抜けましょうに…」
「……済まん」
翔隆はしょんぼりと落ち込んだ。
その様子を見て、重虎は首を傾げる。
「何か、気掛かりな事でも?」
「………いや、いいのだ………何でもない」
…どう見ても、何でもないようには見えない。
重虎は翔隆に近寄り、正面からじっと眼を見つめる。
「…何が、ありました?」
「………」
「――――殿。軍師の拙者にも言えぬ事ですか?」
「堺で…三好義興を暗殺してきた…」
「暗殺? 何故?」
「《力》は使わぬ、と約束して旅に出たので……樟美と浅葱を質に取られ………将軍に汚名を着せてしまって……っ」
途切れ途切れの言葉だが、話しは分かった。
「質だけですか?」
「いや……金も貰った………だがっ! 将軍の名を汚してまで…っ」
そう言い蒼白する翔隆の両肩に、重虎はぽんと手を置く。
「殿がやらなければ、誰かがやった事でしょう。どのみちそれは、変わりありますまい」
「だが私は…っ」
「殿」
俯く翔隆の両肩をぐっと持って、顔を上げさせる。
「その事だけに捕らわれていては、これより先の旅に支障が出るでしょう。いえ、そんな調子では一族説得すらも出来ませぬ。気を、しっかりと持たれよ!」
「……ん、済まぬ……」
翔隆は苦笑して重虎の肩に手を置く。
「しっかりと、説得して回らねば…な」
「当然です。それでなければ、〝長〟とは言えぬでしょう?」
重虎が微笑んで言うと、翔隆もにこりと笑う。
その後、二人は展望台から下を見ながら、酒を呑んだ。
翌日。
重虎は書をしたため、翔隆は樟美を連れて矢佐介の集落に向かった。
するとすぐに浅葱が駆け寄ってきて、翔隆に抱き着く。
「ととさま! おかえりなさい」
「…ただいま。早速だが、城下で冬支度をしてから旅に出るぞ」
「あい」「はい」
浅葱と樟美が答えた。
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