デルモニア紀行

富浦伝十郎

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帝都デリドール

身上説明

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 立ち上がった俺は歩み去っていく二人に向かって頭を下げた。
「ありがとーございましたーっ!」
大きな声で礼を言う。
( 人としての基本だものな )

 頂いたチュニックに袖を通し、スカーフをバンダナのように頭に巻いた。
高級品だと分かる。( そもそも庶民が身に着けるモノじゃない )
スカーフもチュニックも濃いネイビーだから忍者みたいな見た目になった。
間近の軒先に跳び上がる。
屋根の上に屈んで周囲を伺う姿は傍から見れば忍者そのものだろう。
ゴブリンの肌は褐色系だから露出した四肢もそれ程目立たない。

 ”次の場所ポイント” を目指して屋根の上を音もなく走る。

 街中で身に纏う衣服を確保するのが第一の課題だった。
有無を言わせずボコりに来るのをボコり返して身包み剥いでやる心算だった。
それが、図らずもお恵み頂いてしまった。
此方から”お願い”する前にこの身を憐れんで向こうから譲ってくれたのだ。
・・・”太っ腹”というか、”漢” ?
何だか任侠映画に出演しているかのような感覚を味わってしまった。
あの兄貴の為なら鉄砲玉でもコソ泥でもやってやる、て気に一瞬なったもんな。
( ホントにNPCだったのか? )

 どうもゴブリン(PC)になってこのADサーバーに来てから、NPCに対する見方が変わったような気がする。 …というか此処のNPCは明らかにおかしい。
従来のオンラインプレイではプレイヤー同士の掛け合いや連携(戦闘)が主だった。
NPCはイベント上の流れで定型的なやりとりをする者 くらいの認識だったのだが此処で出会うNPCは妙に生々しいのだ。
”台本通り” 演じているようなあの ”人形臭” が感じられなくなっている。
大人数のログインプレイヤーが活動する通常サーバーと違ってこのADサーバーにはプレイヤーは俺一人しかいないらしい。
それが本当なら膨大な余剰リソースがNPCに割り振られていても不思議ではない。
( その辺りはもっと調査・検証が必要だな )




 ”もう一つの課題” も上手くいったと言えるだろう。

『悪い人にゴブリンにされちゃいました』  作戦だ。

 コワモテ系のNPCに通用したのだから成功と言って良いだろう。
人間と接触して会話をするには ”自分ゴブリンの立場” を説明する必要がある。
「ボランティアでエコノミープランって最底辺のテスターやってます」
と話す訳にはいかないからな。

他には、
『偉大な召喚士の使い魔として来ました』
『凄腕のテイマーの従魔として来ました』
作戦がある。

『僕、悪いゴブリンじゃないよ!』 
作戦は、  何処か長閑な田舎に行った時に試してみようと思っている。







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