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帝都デリドール
女神の使徒
しおりを挟む"抱っこ走り" は2回目だ。
一人目の ”会頭のお嬢” はホントに軽かった( 20㎏ 代くらいの印象)。
今度の "半盲少女" は 普通(40㎏代)だったが今回の方が楽だったように感じる。
* の恩恵だろう。
軽く流してもあっと言う間に例の教会の裏に着いた。
FQ世界には ”病院” というものがない。
病気やケガは教会で聖職者が治すことになっている。
( プレヤーやNPCが ”病気に罹る” などという事は稀なのだが )
但し失明の回復は帝都の最高位聖職者でも容易ではないらしい。
( プレヤーとして世話になったことは無いので詳しい設定は分からない )
俺は "収納" からエリクサーを取り出した。
如何なる身体損傷・機能障害も回復させる万能の霊薬だ。
誘拐屋一味の倉庫から失敬して来たものだ。(コレは見逃せなかった )
何の病気か知らないが後遺症での視力低下くらい楽勝だろう。
(・・おっとその前にする事があったな!)
少女の視力が回復する前に ”着替え” ておかないと。
俺はマルグリッドのプレートメイルを纏い、スカーフで頭と耳を覆い、神金と聖銀のマスクを着けてコイフを被った。 ( ゴブリン・ナイト形態! )
「これを飲めば目が見えるようになる」
少女の右手にエリクサー(の小瓶)を渡す。
「御両親が君に飲ませようとしていたお薬だ」
しっかり受け取られるのを確かめて手を放す。( 物凄く高価なモノだからな! )
「・・父が話していました。帝都には私の目を治せる霊薬がある、と」
両手で包むように小瓶を持つ少女。
「これがそうなのですね」
そう呟いて前に立つ俺の方に顔を上げる。
「よろしいのですか? とても貴重なお薬だと聞いています」
「案ずるな。 まだ沢山ある」
( あと3個もな! )
・・・まったく、誘拐団の親玉はどんだけ稼いでた、っちゅう話やね。
「貴方様は何故私にそこまで親切にして下さるのですか?」
少女が更に訊いて来る。
「さっき言っただろう。 神託を受けたのだ。 賊を討ち君を救え、と」
少女の頭をそっと撫でる。
「そして賊を倒す力と君の目を治す薬を授かった」
俺は彼女の耳元に口を寄せて囁く。
「・・俺の事はいいが、”女神様”のことは秘密だぞ?」
( 嘘だけど、真実よりは”本当ぽい”よな )
「さあ、女神様の霊薬を飲むがいい」
俺が促すと少女は顔を更に上げてエリクサーを口に注いだ。
一息に飲み込む。
タンクだった俺は激しい戦闘で何度もエリクサーの世話になったことがある。
ドームへ飛ばされずに得られる完全回復の効果は "強烈" だ。
「あああ!」
少女が小さな叫び声を上げた。
両目は固く閉じられ、両手は強く握り締められている。
聖堂の女神像が纏うのと同じ燐光が一瞬少女を包んだ。
「・・・・・」
空になった小瓶を両掌に載せて見詰る少女。
「・・見える。 はっきりと見えます! 」
歓喜に震える彼女の声が夜の路地に木霊した。
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