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帝都デリドール
ゴブリンの黙考
しおりを挟むガルドス一家のアジトの近くまで戻った俺は ”騎士形態” を解除した。
アジトの酒場に居た一味の服装を身に着ける。 武器はまた ”ファルカタ”だ。
( ・・・しかし、”不意打ち” というのも如何なものかね )
今の俺のジョブである アサシン は対象に気付かれずに倒すのが特徴だ。
スキルレベルを上げる為に ”不意打ち” を多用すれば俺の ”検証作業” の趣旨を外れていく怖れがある。 俺に気付かずに死ねば俺を覚えている筈がないからな。
通常のリポップと区別が付かなくなってしまう訳だ。
これはちょっと悩ましいところだよな。。
”ゲーマー” としては折角就いたジョブであるから 極めてみたい。
”テスター” としてはNPCの単なるリポップは可及的に避けたい。
具体的な数字では表せないが、アサシンのジョブスキルの効果はかなり強力だ。
獲得して間もない初期段階なのにゴブリンが帝都の街中で普通に活動出来ている。
極めればどれ程のものになるのか空恐ろしくさえある。
( このジョブは極めるべきでない のかもしれない )
悩んでいる俺の脳裏に ”全く別の考え” が浮かんで来た。
ガルドスのアジトにはまだ50人近い賊が残っていると思われる。
それらの賊をスキルを使って端からPして行けば俺は中級に上がれる。
・・・当初はそんな風に思っていた。
人殺しの悪党共とは言え、寝入っている者の喉を掻き切り、頭を潰して回る。
それはもう人間のする事ではない。 悪鬼羅刹の所業ではないか。
・・・と、今は思うようになった自分がいる。
少し前までは 悪役NPC を ”ポイント源” のように見ていた。
けれども ”兄貴" や "親玉" 、ノーラやジェームズと話してみて考えが変わった。
『NPCも生きている』 と思うようになったのだ。
彼らNPCは儚く虚ろな存在かもしれない。”全き存在”ではないかもしれない。
だがスキルアップの為のポイントとして見做すのみであるならば、力を求めて悪魔召喚の為に生贄を捧げるサタニストと変わらないのではないか。
・・・・・
『 ”アサシン” はアップ自体を目的とすべきジョブではない』
暫しの黙考の末に俺はそう結論付けた。
”寝首を掻く” のはヤメだ。
一味の一人の恰好を解除して三度の”警備騎士”の装備を纏う。
それに加えてシュトロハイムの小手と脛当を装着した。 動き易い。
角を曲がってガルドスのアジトが見える通りに出た。
入口の前で男達が五人程ウロウロ徘徊している。
見張りの( それともノーラの、か )失踪に気付いたのだろう。
だらけた雰囲気だった先程の三人と違って殺気立っているのが分かる。
俺はアジトに向かってゆっくりと歩き始めた。
アサシンゴブリン 推して参る !!
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