デルモニア紀行

富浦伝十郎

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グリュン大森林

森へ入る

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  その他のスキルを見ると  ”不意打ち” と ”対獣格闘” がカンストしていた。
第一支部ガルドスのアジトの制覇もあるけども、モンスターゴブリンの甘々条件と近郊条件初心者フィールド”のお陰だろう。
今なら無手でも狼と戦えそうな気がする 。

 対人格闘も6まで上がった。
人間相手に態々 ”素手” で戦わなければならない局面はそう多くない。
剣士ジョブを得た今はもう滅多な事で対人戦に後れを取る事は無いだろうし。
しかしこのスキルと ”不意打ち”、そして ”疾駆” の相乗効果は凄まじい。
武器を手にせずとも一瞬で武装した人間を無力化できるのだから。
・・これは嘗て俺が知らなかった領域だ。

 野球の経験が”投石”に、松濤館での経験がKFを経て”対人格闘”に結実している。
弓がメインウエポンだった”あのゲーム”での経験もこの世界で花開くかもしれない。
忌避さえ感じたアサシンがしっくり来たように魔導士だってハマるかもしれない。
宛がい扶持のクエストではなく自ら定めた”FQ世界改変”という難題を解く為には
選り好みなんかしてられない。 どんなスキルでも取って磨いて行かないと。




 南へ北へと折り返しつつ獲物を狩って草原を西進して来たので大森林は目の前だ。
日本でお馴染みの杉林のように高い直木が揃って立ち並んでいるのではない。
巨木がウネウネと各々の枝を絡み合わせるように茂っている。
言い伝えられる通り人の侵入を拒むかのような印象を受ける。
下生えが濃く倒木も多いので ”疾駆” で突っ込むのは躊躇われる。
勿論馬で駆け抜ける事は出来ない。
( まあ”ジャングル”だな )

 ゴブリンと密林のマッチングの良否については詳しくない。
( ゲルプ平原では狼に一度ヤられてしまったんだよな )
ゴブリンとは草原や山岳、里山ぽい所でよく遭遇したような気がする。
適不適は兎も角、密林がゴブリンのフィールド というイメージは無い。
こういうジャングル風な処では虎や大蛇が出て来そうな感じがするわな。
( 気を引き締めて行こう ! )


  俺は目の前の巨木に取り付いて登り始めた。
木登りは子共の頃に近所の恵比寿公園や横須賀の叔父さんの家でしたくらいだ。
( 俺は何方かと言えば”体育会系”だけど ”アウトドア”系とは言えないからな )

・・"樹上のゴブリン"。 いいじゃないの。
今までのFQプレイヤーのアクティビティには無かった領域だ。


 ( なってやるよ。 〇ーザンに !! )







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