デルモニア紀行

富浦伝十郎

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グリュン大森林

治療するゴブリン

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「な なる! (手下に)なるから・・・」
男は何とか顔を起こしてそれからまた頭を下げた。
もう一人は起き上がって来ない。 というか動けないようだ。
「こいつも、俺が、ちゃんとするんで!」
( 分った  分かった っての )

「よ~し。 良く言った!」
俺はIFを開きジョブ欄で ”魔導士” を先頭に持って来た。
スキルレベル1 でも発動出来る ”ヒール” を選択する。
( ポーションもいいが 今の俺には ”魔術” スキルがあるからな )

 ヒールの消費MPは10だ。
HP総量の1/4 を回復させるヒールは低レベルプレイヤーには効率が悪い。
Lv1の人間ヒューマンだと回復するHPは3に過ぎないのにMPが枯渇してしまう。
( 初期装備の”魔導士マント”はMP+1の効果しかないのだ )
だから一桁Lvのプレイヤーは普通 HPを20回復させるポーションを使う。
替わりに消費MP2のファイアボールを5回撃った方が有利に戦えるからだ。
( 単独での戦闘の場合  )
しかし今の俺は結構MPが多いからな。

 ??? ヒールを選択したIFの画面に【消費MP値】の欄があるぞ。
デフォ値で 10 が表示されている。
( ああ、これが”ブースト” か! )
MP容量が使用スペルのMP消費値の100倍以上ある時に表示されるという。
初めて見た。 使ってみようか。
10 ∧ 20 ∧ 30 ∧ 40  。 ( ・・これで4回分、てことになるのか? ) 

「ヒール!」
俺はハンターの男にヒールを使った。
( どうかな? )

「・・・・」
当のハンターは両手両膝を地に着いて無言のままだ。
「  どうだ? ・・・大丈夫か?」
思わず声を掛けてしまった。
ヒーラーなんてやったこと無いからな。 回復魔法なんて殆ど素人だ。
マズイな。 下手を打ってしまったかもしれない。
・・・なんか、地面に血が垂れて来てるし。
ハンターの顔の下にポタリ、ポタリと赤い血が滴っている。
( やっちまったか !? )
「おい! しっかりしろ!! 」
慌ててポーションを片手にハンターの傍に屈みこむ俺。

「・・ふぁい。 治った・・みたい です」

 頭を起こして此方を向いたハンターの顔は血色が良くツヤツヤてかテラテラしていた。
片方の鼻孔からは一筋の鼻血が垂れていた。







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