デルモニア紀行

富浦伝十郎

文字の大きさ
99 / 160
グリュン大森林

設定された記憶

しおりを挟む


「していません」
ヨーコはケロッとした顔で答えた。
「マスターなら分かると思いますが、それは私の ”設定” にすぎません」
( やはりな )
感情の表出を抑えた俺の初期設定もあってヨーコの語りはフラットな印象だ。

『何よ!ワタシがそんな事するハズないでショ! プンプン#』
・・・みたいな反応もパラメーター調整によっては有り得るのだ。
( そんなヨーコも面白いかもな )


「マスター?」
ヨーコに呼び掛けられて我に返る。
いけない。暫し妄想の世界を彷徨ってしまったようだ。

「おぉ。 そうだったのか。 そうだと思ってたけどな ! 」
慌てて取り繕う。
・・・でもこれは、これから訪れるFQ世界(現在の未踏領域)の重要問題だ。

「お前はデリドールの市街には入ってないのか ? 」
改めてヨーコに問う。
「入っていません。  幻術等を用いて無銭飲食もしていません」
ヨーコは淡々と語る。
「”ガルドス一味”でお分かりになったように”設定”と”実際” は異なるのです」
俺のログを持ってるのか?
「 "妖狐" というキャラが そういう存在として設定されているだけです」
成程な。 俺もそうだと思ってたが。
「二人組のハンターを揶揄ったりとかは?」
「彼等の事は知っていますが絡んだことはありません」
・・知っている、だと?
「 『マスターを妖狐の化身と見做し攻撃する』 それが彼等の設定シナリオでした」
・・・オイ。
「ヨーコ。 お前なんだか ”中の人” みたいな物言いになってるぞ !? 」

 NPCの設定を ”シナリオ” 呼ばわりかよ。
ヨーコはスマホエージェントだったから”デルモニアの外から来た” 外来種だ。
こちらプレイヤー側の存在であり、通常のNPCとは立場が違うのは確かなんだが。
( 明らかに今 NPCを ”上から” 語ったよな ? )

「マスターの御指摘は御尤もです」
ヨーコはいつものサラッとした表情で言った。

「先程マスターにお会いするまで私は TF の FQ 企画開発室にいたのですから」









.
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...