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グリュン大森林
核心的問題
しおりを挟むヨーコはTFのFQ部門でバーチャルOLをしていたという。
スマホスクリーン上の存在であるエージェントをFQ世界で活動可能な存在とする為のステップだったのだろう。 更にその後には正規のサーバーではないがFQ環境をエリア規模で再現出来るシミュレーターで様々な実証実験も行われたようだ。
その段階で既にヨーコは開発チームのマスコット的存在になっていたらしい。
いわば ”身内” 感覚であったという。
そして "Agent to Assistant"コンバージョンプロトコル確立の立役者となった。
そのプロジェクトには帝都に於ける俺の行動の影響が大きかったらしい。
『NPCをイベント(シナリオ)から解放しよう』 という俺の試みだ。
FQのシステム的に見ればやはりそれは難しいのだという。
開発チームのスタッフ達と協業して来たヨーコはその過程で知り得た情報を
当初から只一人ADサーバーに投入されている俺に伝える事を許されていた。
( AI 本体に話を聞ける、という事自体も貴重な情報源な訳だが )
自身がAIであるヨーコが具に語ったFQに於ける ”アシスタント” と "NPC" との相違についての内容を纏めると以下の如くであった。
【アシスタント】 【 NPC 】
Origin スマホエージェント 旧来のシナリオNPC
Engine 価値評価AI シアターAI
Episode 無し 有り
Will 無し 有り
Emotion 無し(付加可) 有り
Death 無し 有り(→リポップ)
EXP/SP 無し 有り
Learning 有り 有り
Activity 常時 イベント内のみ
Memory 蓄積 シーン毎(→リセット)
ヨーコもマルグリッドもガルドスも、レンダリングや言語IFの機構は共通だ。
アシスタントとNPCで異なるのは各々を駆動するAIエンジンらしい。
KCを含むNPCを駆動する ”シアターAI” はTFが持つ映画・ドラマの膨大なデータを学習しており、プレイヤーとの掛け合いを解析し現場状況に最もマッチした行動・台詞をNPCに採らせるというものらしい。
これによりNPCは極めて”人間らしく” ナチュラル且つドラマチックに振る舞う。
プレイヤーは恰も自分が名作映画に入り込んだような錯覚に陥るのだという。
一方アシスタントをドライブするのは基本的に 『何が主にとって重要か』 を判定する ”価値評価AI” だ。 『"最適な解(答)”を主に提示する』というのが彼等本来の役割であるのは従来から変わらない。
ガルドス達NPCが(大雑把ではあるけれども)其々に生い立ち等のエピソードを持ち、各自の行動の指針(意志)を設定されているのに対し、アシスタントはそのような物を持たない。 白紙で生まれて来る。( アシスタントの意志は一様に『主への奉仕』であるとも云えるが )
NPCが各々の ”役割設定” により基調となる感情( 義憤・野望・諦観 etc )を抱いているのに対し、スマホエージェントは基本的に感情を持たない存在だった。
近年は主に商業的理由からエージェントにも喜怒哀楽の感情表現機能が付加されるようになって来ているものの、 それはあくまで『主の興を惹く』 為のものであり"装飾的演技" の範疇に留まる。 エージェント由来のアシスタントもそれは同様だ。
彼らが主に対し害意を抱く事は無い。
・・・ヨーコもマルグリッドも同じ鎧を纏えばその姿は似たようなものだ。
会話することも剣を交わす事も出来るだろう。
しかしNPCはやはり俺ともヨーコとも異なる存在だったのを俺は思い知る。
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