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グリュン大森林
草刈り魂
しおりを挟む栗鼠の一匹も見掛けず小鳥の囀りも聞こえない森はある意味砂漠に似ている。
襲われないのは良い事だけど、狼達のいた荒野の方が命の気配が濃かった。
このまま森に籠ってヨーコと穏やかに暮らす、という選択肢は俺には無いからな。
さっさと抜けてしまおう、 と俺は決めた。
問題は『何方に抜けるか』だ。
当初はゲルプ平原から帝都に至った延長で西南諸国を目指す心算だった。
しかし、都市部に入れずNPCと接触出来ないのでは行ってもすることがない。
予定を変更して北方に向かうことにした。
この森もそうだが 俺は帝国北部にはあまり足を踏み入れた事がない。
俺のFQプレイスタイルは ”メジャーイベント(スポット)優先” だった。
如何なプレイヤーもFQの膨大なイベント・クエストを全てこなす事は出来ない。
俺は『これは外せない』 という事項を外さないようにFQをプレイして来た。
ジョブも最初から ”剣士” 一筋でパーティの軸となるタンクを務めて来た。
自分で言うのも何だが所謂 "王道プレイ" というやつだ。
しかしプレイヤーの中には違う道を行く者もいる。
選ばれる事の少ないジョブに付き、滅多に使われぬ武器(アイテム)を携え、
訪れる者の稀なエリアを巡るプレイヤーが。
語り尽くされた攻略を踏襲することを拒み未知の領域を求めて止まない者達。
誰が呼んだか ” ウィーダーズ " 。
・・・俺もその道を征こうと思う。
”王道プレイ” は前世? でかなりの処まで極めたからな。
今生ではゴブリンから始まってタンクと真反対のアサシンになったことだし。
プレイスタイルもリバースして然るべきなんだろう。
『何もない』 と見做されている場所にこそ激レアイベントが発生じ得る、
てのは先程ヨーコから実例を聞いたばかりだからな。
この大森林だって只 抜けるだけじゃなく その通過コースは厳にチェックする。
( 『何かイイ事があるかもしれない』 てのが "ウィーダーズスピリット" だ )
そして, この森を抜けた暁には。
あの ”踏破不能” と云われたバーリンガム連峰を越えてやろうじゃないの。
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