デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

ヒール 2

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  俺のヒールで回復したランドワームがヨーコの零式で焼断されていく。
彼女がワームの虫体に掌を触れた瞬間、眩く輝く巨大な火球が出現する。
火球が消えた時はもうワームの虫体は完全に切断されているのだ。
先回のLvアップで俺達の零式は更に強化されている。
ヨーコはもうその零式を完全に使い熟している。
僅か二戦目にして6匹ものワームを手玉に取った。
畏怖すべき戦闘センスだ。

「チャージ×3 ヒール!」
俺はヨーコに切断されたランドワームを3倍チャージのヒールで回復している。
後半身を失って苦痛に悶えるワーム達はもう俺が回復に赴いても襲って来ない。
心なしか俺にヒールを掛けて貰うのを待ち受けているようにも思える。
『ヨーコによる切断 ⇒ 俺による回復』 を何度も繰り返して学習したのか。
あれ程気色悪かったワーム達が今は少し哀れにさえ思えるから不思議なものだ。




 ヨーコに傷つけられた6匹のランドワームを20回近く回復して回った。
「ヨーコ、もういい」
俺が最後に回復したワームの胴体を焼き切ったヨーコに声を掛ける。
眼前には頭側 1/3 にされた6匹のワーム達が俺の回復をじっと待っている。
何故か俺にはそれが分かった。

 俺はヒールを完熟カンストした。   マスターしたという感触はある。
しかしファイアボール(FB) やストーンショット(SS) のように調整アジャストできない。
できない、というより調整の仕方が分からないのだ。 イメージが湧かない。
『HP容量の1/4 を回復する』
というヒールの効能はレベルによって変化しないからだ。
FBやSSのようにレベルが上がると威力も上がる、というスペルではない。
敢えて言えば上がるのはコスパだ。
レベル1の魔導士にとってはほぼ全てのMPを費やして回復するHPは2だけ。
レベル34ゴブリンの俺は僅か10のMP消費で7万ものHPを得られる。
・・・そういうものなのか??
普通のスペルでない事は確かだ。

 まあ "調整" の方法については後から検討すればいい。
ヒールにはHP回復以外にも 副効果みたいなものがあるかもしれないしな。
取り敢えず "ボーナス獲得" に取り掛かるとしようか。

「ヨーコ。また "憑依" を使うぞ」
ヒールの消費MPが大きいと云ってもゴブリンのMP値を枯らす事は出来ない。
アキラモードで人間形態にならないと。

「マスター、お待ち下さい!」
突然ヨーコが急いた口調で俺を制止した。 ?ん、 何だ?



「御再考を。 それは非常に危険です」






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