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赤土帯
ヒール 3
しおりを挟む「何だと? もう一度言ってみろ」
聞き捨てならねぇな。
「マスターが人間形態で彼等6体を回復させるのは危険だと申し上げました」
ヨーコが答える。
「この俺が、人間形態だと奴らに後れをとるというのか?」
お前が圧倒出来たワームの群れが俺に御せないとでも?
図に乗ったかヨーコ!
「如何なマスターでもMP枯渇状態では回復した6体のワームに対抗できません」
「!」
「私は89%の確率でマスターが今回の憑依でMPを枯渇させると予想しました」
「・・・・」
こいつ、そこまで読んでいたのか。
「予測された危険をお報せするのは私の責務ですので」
「・・分かった」
俺はヨーコに背を向けてワーム達の方に向き直った。
「!マ・・」
「アキラフォーム! 装備解除!」
ヨーコの制止を無視して憑依を行う。 マルグリッドの鎧は解除した。
今の俺はゴブリンと同じ素っ裸だ。 騎士形態はワーム達が怖がるからな。
俺は裸のままワーム達に歩み寄って行く。
6匹のランドワームは皆 大人しく頭を並べて俺の "ヒール" を待っている。
彼らに当初抱いた嫌悪を何故か今は感じない。
ヨーコの零式に追い付かれないようヒールを掛けて回っていた時とも印象が違う。
〔 ・・・イタイ・・・・ 〕
〔 ・・・クルシイ・・ ・〕
〔 ・・・ユルシテ・・ ・〕
〔 ・・・タスケテ・・ ・〕
幽かにだが俺はワーム達の呻き声を聞いた。
「もう俺を襲わないと約束するなら助けてやるぞ! どうだ?」
6匹に向かって大声で伝える。
ヨーコの懸念通りになって 後々チクチク言われるのは嫌だからな。
〔 ・・・ケライ・・ナル・・ ・タスケテ・・〕
〔 ・・・イウコト・・キク・・ ・カラ・・・〕
気のせいじゃない。 拙いけれどやはりワームの言葉が聞き取れる。
こいつら6匹は揃って俺に恭順の意志を示し救いを求めている。
はっきりとそれが分かった。
「・・いいだろう!」
ならば、やる事は決まっている。
俺はまず、ワーム達の体に埋め込まれた岩塊を"収納" で取り除いていった。
俺の収納に回収されたSS零式の岩塊は48個。( ヨーコはマジ容赦ないな! )
体内から何トンもの重石を取り除かれたワーム達は身軽になって喜んだ。
〔 ・・・ラク・・ナッタ・・ ・アリガト・・〕
〔 ・・・ウゴケル・・・・ ウレシイ・・・・〕
うん。 聞こえる。 ワームの声が。 ( 俺はテイマーになったのか? )
それはどうでもイイ。 こいつらを手下にする気はサラサラない。
慈悲を請う者を虐げる下衆には堕ちたくなかっただけだ。
「・・散々痛い思いをさせて悪かったな」
顎を地に着けて大人しくしているワームを一撫でして詫びる。
「ちょっとだけ待ってくれ」
俺は"ペレットメーカー" で数十個の新ペレットを造りMP値を調整した。
「じゃあ、いくぞ!」
残りMP値はぴったりだ。 3倍チャージのヒール6回分。
最初のワームに手を触れて 俺は詠唱を開始した。
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