デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

虫の王

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「・・お前で最後だな!」
6匹目のワームを回復した。
「これでチャラにしてくれ。  後は ・・好きにしろ」
俺を喰うなら喰え。
どうせドームで復活だ。  ( ヒールのボーナスはゲットできたぜ! ) 
体から力が抜けてゆく。
地に倒れ行く俺をワーム達が取り囲むように移動し始めたのが見えた。
俺達(てか主にヨーコだが)がこいつ等に与えた苦痛を考えれば、な。 
まぁ  仕方が無いか。
( ヨーコ、スマン。法具はお預けだ ) 



「!」
目が覚めた。
俺は寝ていたのか。
色々と諦めて目を開けているのも怠くて閉眼したら眠ってしまったようだ。
・・・FQの世界にも”睡眠” はあったのか。 ( 初めて体験した ) 

 そんなことより!
俺は跳び起きて自分のMPをチェックした。 もう半分近く回復している。
( そんなに長い間この状態で! )
周囲を確認する。
聖堂ではない。 さっきと同じ赤土帯だ。 俺は無事だったのか。
ワーム達が俺に尻を向けて等間隔(等角度) で展開している。
 上空から見たら雪の結晶の様に見えるだろう。
その中心に俺がいる。
守っていてくれたのか。 この俺を。

「・・・・・」
言葉が出て来ない。

〔 マスターオキタ! 〕
〔 オキタノ? 〕
〔 マスターガ 〕
ワーム達が騒めくのが聞こえた。 今は明瞭に聞こえる。 
完全に回復してやったからか?

「おう。 今起きた」
ゴブリンに戻った俺はワーム達に呼び掛けた。
「俺を看ててくれてありがとうな!」
世話になった礼を言う。
「俺はもう大丈夫だ。 皆、行っていいぞ 」
解散を促す。
俺はまた、ヨーコと魔導修行だ。

〔 マスターノソバ イル 〕
〔 イッショ イク 〕
〔 ケライ ナタ カラ 〕
ワーム達は散るどころか俺にすり寄って来た。 ・・こ、これは!?

「俺、家来要らない」
思わずワーム語?になってしまった。
「さっきのバカ強い女、いるから」
エサ代は掛からないとはいえ巨大なワームを6匹も連れて歩けるか。

〔 モー ケライ ナタ 〕
〔 マスター ツイテク 〕
〔 メイワクカケナイ 〕
〔 シュウノウハイル 〕

・・・もう間違いない。
俺はこいつらを従魔にしちまったようだ。








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