デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

ワーム第二群

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「了解!」
その言葉を残してヨーコは俺の前から消えた。
先般6匹のランドワームを1分掛からずに制圧したヨーコだが今回は16匹だ。
果たして前回の3倍近い数を捌けるのか。
俺は両手にGペレットを握りつつ岩屋の上から彼女の戦いを息を呑んで見守った。


 夕暮の中に零式の火球が灯る度にランドワームの虫体が切断されていく。
瞬く間に岩屋から近い順に6匹のワームの頭部を零式で吹き飛ばしたヨーコ。
彼女は先程俺がマスターしたウインドブレードの零式も使いこなしている。
30m超のWBの射程をワームの太さまで短縮して風刃のサイズを上げているのだ。
リキャストタイムの被らない別系統のスペルを切り替えて戦っている。
俺が提唱する 『近接魔法戦闘ネーアン・マギー』 の模範的実践だ。 教科書に使いたい。 




 俺の救援は必要無かった。
ヨーコは一匹のランドワームも近付ける事無く俺の岩屋を守り切った。
鬼神の如き強さだ。
周囲の地表には虫体の大半を失った10匹のワームが瀕死状態で転がっている。
そのワーム達のテイムに掛かろうとするヨーコ。

「ちょっと待て」
俺は声を掛けて彼女を止めた。
「回復しといてやろう」
仲間にするんだからな。 このままじゃ可哀そうだ。
それに、俺も何かしらやらないとな。 ぼ~っと眺めていただけだったし。

「お待ち下さい!!」
ヨーコが叫んだ。 何だ? 凄く慌ててるな。

「ここで彼等を回復したら、また戦わなければなりません!」
「え?  テイムするんじゃないの?」
きょとんとする俺。
「まだテイムしていません!」
ヨーコの表情が厳しい。 ちょっと怖い。
ああそうか。
元気になったらまた歯向かって来るってこと?
さっきの話でいう "降参/恭順モード" が解除されちゃう って訳か。
そりゃそうか。 HPが乏しいから大人しくなってるんだものな。
でも待てよ。
さっきはどうだったっけ?
ワムタン達は回復してやったら勝手に従魔になって来たんじゃなかったか?


「コラお前ら!」
俺は辛うじて生き延びている10匹のワームに向かって大声で呼び掛けた。
「傷を治してやるからコイツの舎弟になるんだ。 いいな?」
ヨーコを指して問う。
「分かったら返事をしろ!」

〔・・ワカタ・・・ 〕
〔・・ハヤク・・・ 〕
〔・・タスケテ・・ 〕

 ワーム達の返事が幽かに聞えた。 ワムタン達の時と同じだ。
そりゃあ、同じワームなんだから反応も同じになる理屈だよな。
でもワムタン達の時よりも反応が薄い、というか鈍い感じもする。
あの時はヨーコに何回もやられたのを俺がその度に回復してやってたからな。
こいつらはヨーコに一撃でやられたばかりだ。 切実感が浅い。

「逆らった奴は即アイテムにしてやるからな!」
俺はワーム達に "威圧" を掛けた。
〔〔〔〔〔〔〔〔〔〔 ヒィ! 〕〕〕〕〕〕〕〕〕〕
ワーム達が悲鳴を上げる。
まあこいつら10匹が皆全快してかかってきても どうってことないけどな!

「チャージ×4 ヒール!」
サービスで4倍チャージのヒールを掛けてやっている。
全てのワームはきっちり同じ割合で虫体を切断されていた。
頭側の2割程しか残っていない。 ( それで生きてるんだから大した生命力だが )
生存限界ギリギリだろう。 3倍チャージじゃ少し足りないと思う。

「ほら、ヨーコ。 テイムしてやれよ」
ワームを回復してやりながらボ~ッと突っ立ているヨーコに声を掛ける。 
何をしてるんだか。 彼女らしくもない。

「マスター?」
呆然とした表情でヨーコが声を掛けて来た。

「何をされたんですか? 彼ら全てが既に私の従魔になっているのですが!」


 




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