デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

岩屋防衛

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 "家" が出来た。
食事も睡眠も不要なVRアバターである俺だが拠点が欲しくなるのは本能だろうか。
ヨーコから石弾の建材転用を聞いた時 『その手があったか!』 と思ったものだ。
尤もヨーコの案は複数の岩塊を並べ(重ね) て構造材にするというものだったが。
単一の岩塊を膨らませ それをくり抜く、というのは俺のアイデアだ。 

 半球状の岩塊を掘り削って作った内腔をWBで仕上げていたらMPが尽きた。
4度目の ”魔力切れ" が俺を襲う。 
滑らかになった内壁を眺めつつ俺は膝を付き、そしてそのまま地に伏せた。
( やはり屋根の下、というのは違うな ) 
お馴染みの脱力感に包まれながらも今回の俺はリラックスしている。
( 丁度いい。 少し休むか・・・ )
目を閉じると直ぐに心地よい眠りがやって来た。




「ふぅ」
目が覚めた。
「!」
MPが全回復している。 寝過ぎたか。
俺は出入り口を兼ねた円形の窓から岩塊の外の空を見上げた。
俺のMPが切れたのは日没頃だった筈だが空はまだ明るい。
「???」
俺は窓から飛び出した。
「うわ!」
半球型の岩屋の上に立って眺めると驚愕の光景が広がっていた。
俺の岩屋を守るように展開するウチのワーム連中を他のワーム達が包囲している。
その数は十匹以上、いや20匹近くいる。 凄い数だ。
同族同士だからかまだ戦闘には至っていない。 睨み合っているという感じ。

〔 ア マスター オキタ ? 〕
〔 ベツノ ヤツラ キタ ! 〕
〔 コイツラ バカ ダカラ 〕

 ウチのワーム連が報告?して来る。 
新たに寄って来たワームを今まで抑えてくれていたようだ。
だが、俺達を囲んでいるワーム達は俺が姿を現すと急激に殺気立った。
( それがランドワーム本来の性なんだろうが )
このままではウチのチームと倍以上の新参達との死闘が始まってしまう。

「皆、良く守ってくれたな! 後は俺がやる。 休んでてくれ」
岩屋を守る6匹を労う。 収納してやろう。

〔 マスターイイノ? 〕
〔 カズ  オオイヨ ? 〕
ワーム達が心配してくれている。 グッと来るな。

「ヨーコを呼ぶから」 俺は皆に告げる。

〔 ・・・・・・・・・・ 〕
〔 ・・シュウノウハイル 〕
ウチの連中が次々と収納に還っていく。  ・・・何なんだよ!

「ヨーコ、 カモン」 ボソッとした声でヨーコを呼んだ。
「お疲れ様でした!」 元気なヨーコが出て来た。
ワムタン達が居なくなったので新参ワーム達が岩屋に迫って来ている。
「拝見していましたが  良い仕上がりだと思います!」
・・この状況で、コイツには緊張感というものが無いのか?

「お世辞はイイからあいつらを何とかしろ」
俺は吐き捨てるように指示を出す。
「俺が手間を掛けた岩屋を傷つけないようにな!」
確かに良く仕上がったと思う。
自分でも気に入ってるからな。

「了解!」
返答と同時にヨーコは右手から炎の奔流を放ち俺の岩屋の周りを薙ぎ払った。
ファイアーブロウだ。まだ完熟してない筈だが。 ・・ブーストを掛けたのか。
岩屋の全周囲の地表が赤熱しワーム達は近付けないでいる。

「すぐ済みます。 マスターは此処で御覧になっていて下さい」
「・・いいのか?」 ( 正直、手伝いたくない )
「 16匹ですから。 問題ありません」 
「・・・・」
「では行ってき」
「待てヨーコ!」
戦闘を開始せんとするヨーコに慌てて声を掛けた。
「何か?」
振り向いた彼女の顔には 『ワカッテマスヨ』 と書いてあった。


「肝と牙を三つずつだ。 残りはテイムしてお前の手下にしろ」








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