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魔界暦975年 二の月
新たな侵入者
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ラウナスは四魔将軍スカーが治めるアイスキャビクと呼ばれる地域に出掛けた。アフレイド城下街、セントラルと呼ばれることが多い、から整備された街道が延びている。人間界のように街道整備をしたのが先代アフレイド魔王の功績の一つだ。人間界に比べれば治安は悪いように思えるが、魔物同士で争うことは少ないので、人間界のほうが人間同士で殺し合いをしてしまい、権力が及ばない無法地帯では治安が悪いかもしれない。
ラウナスはマナミとアリシアを連れて馬に乗り、街道を移動していた。
常に薄暗い魔界だが、景色の変化は楽しむことができる。
丸一日の間、移動し続けても、目的地までは半分くらいの距離しか達していない。
マナミが簡易の時空魔法でキャンプ道具一式をいつでも召喚できるので、ラウナスの一行の荷物は少ない。もちろんラウナス自身も時空魔法は使えるが、基本的に部下の仕事として任せてある。簡易魔法でも、魔術の訓練には効果的だ。
「それにしても平和だな」
ラウナスがぼやいた。
「陛下、戦いたいのですか?」
マナミがそう言って笑った。アリシアも微笑む。知らぬ間に二人はある程度仲良くなったようで、ラウナスにはそれが微笑ましかった。
アイスキャビク地方の南西にある街ウォールコールドには魔物と人間が共存していた。城塞都市であり、外敵に対して常に警戒を緩めない。そのおかげで、寒冷地帯にも関わらず、街の中は活気に満ちていた。
その街に四人組の人間のパーティが現れてから、街の中で不穏な気配が生まれた。
四人組の一人、黒髪の青年は凛々しい顔付きで、魔界にいる人間とは明らかに雰囲気が違った。どうやら彼がリーダーらしく、他の三人は彼の指示で何かしら街の人間に働きかけていると、街を治めるゴルディアという魔物の元にすぐに報告が入った。
見た目は大柄で、粗暴な印象を与える彼だが、基本的に争いを好まない。特に人間を嫌悪するわけでもないので、街には人間も住み付くようになった。
とは言え、侵入者には警戒しなければいけない。街の人間の住人たちもゴルディアには協力的だが、人間は希望を見出すと厄介な生き物だと聞いている。
四魔将軍スカーにも既に報告をしたが、特にこれと言った命令は無かった。
「侵入者たちの目的は?」
配下の一つ目の魔物に訊いた。
「人間界に現れた魔物を退治している冒険者のようで、魔王スカー討伐する為に魔界にやって来たとか」
「魔王スカー?将軍のことか?」
「おそらくは。人間界で悪さした魔物が将軍の名を口にしたのかもしれません」
「厄介な話だ、全く。人間は何かに付けて魔王討伐をしたがる」
ゴルディアは溜息を吐いた。
「いかがなさいますか?」
「見て見ぬ振りは」
「将軍に叱られますよ、ゴルディア様」
「だよなぁ」
もう一度溜息を吐いた。
ラウナスはマナミとアリシアを連れて馬に乗り、街道を移動していた。
常に薄暗い魔界だが、景色の変化は楽しむことができる。
丸一日の間、移動し続けても、目的地までは半分くらいの距離しか達していない。
マナミが簡易の時空魔法でキャンプ道具一式をいつでも召喚できるので、ラウナスの一行の荷物は少ない。もちろんラウナス自身も時空魔法は使えるが、基本的に部下の仕事として任せてある。簡易魔法でも、魔術の訓練には効果的だ。
「それにしても平和だな」
ラウナスがぼやいた。
「陛下、戦いたいのですか?」
マナミがそう言って笑った。アリシアも微笑む。知らぬ間に二人はある程度仲良くなったようで、ラウナスにはそれが微笑ましかった。
アイスキャビク地方の南西にある街ウォールコールドには魔物と人間が共存していた。城塞都市であり、外敵に対して常に警戒を緩めない。そのおかげで、寒冷地帯にも関わらず、街の中は活気に満ちていた。
その街に四人組の人間のパーティが現れてから、街の中で不穏な気配が生まれた。
四人組の一人、黒髪の青年は凛々しい顔付きで、魔界にいる人間とは明らかに雰囲気が違った。どうやら彼がリーダーらしく、他の三人は彼の指示で何かしら街の人間に働きかけていると、街を治めるゴルディアという魔物の元にすぐに報告が入った。
見た目は大柄で、粗暴な印象を与える彼だが、基本的に争いを好まない。特に人間を嫌悪するわけでもないので、街には人間も住み付くようになった。
とは言え、侵入者には警戒しなければいけない。街の人間の住人たちもゴルディアには協力的だが、人間は希望を見出すと厄介な生き物だと聞いている。
四魔将軍スカーにも既に報告をしたが、特にこれと言った命令は無かった。
「侵入者たちの目的は?」
配下の一つ目の魔物に訊いた。
「人間界に現れた魔物を退治している冒険者のようで、魔王スカー討伐する為に魔界にやって来たとか」
「魔王スカー?将軍のことか?」
「おそらくは。人間界で悪さした魔物が将軍の名を口にしたのかもしれません」
「厄介な話だ、全く。人間は何かに付けて魔王討伐をしたがる」
ゴルディアは溜息を吐いた。
「いかがなさいますか?」
「見て見ぬ振りは」
「将軍に叱られますよ、ゴルディア様」
「だよなぁ」
もう一度溜息を吐いた。
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