12 / 13
魔界暦975年 二の月
魔界の冬
しおりを挟む
魔界にも四季がある。それは人間界と同様であるが、空気中の魔素の量が四季の変化を促す為、魔界で戦争や紛争が起これば、気候変動が生じ易くなる。
ラウナスが南部の獣人族を魔法によって殲滅したことで、その地域の魔素のバランスが乱れ、急激な寒さが襲った。
「やり過ぎたか」
ラウナスはぼやいた。彼にしてみれば、さして強力な魔法を行使したわけでは無かった。
「気になさらずとも、大丈夫です、陛下」
サルトルは珍しく落ち込んでいるラウナスを慰めた。
「陛下の力が魔界全土に示される良い機会でした」
南方の地は開墾が必要で、多数のゴブリンを導入して、地域開発に当たらせた。同時に新たな交易地としての発展も必要であり、魔界にいる人間たちに仕事を割り振った。
人間には寒さが堪えるはずだが、それ故に、協調し対策を練り、懸命に働いていると報告が上がっている。
「ところで、人間界からの侵入者はどうだ?」
「ちらほらと。ただ、能力の低そうな者ばかりで、食糧にするくらいしか使い道がございません」
ラウナスの命令により、人間の女性は奴隷あるいは家畜として捕縛するようになっていた。弱い男性戦士や魔道士は、特別な才能がない限り、処分して構わないと指示を出してある。
「東の地域に異常は?」
「先代の血縁にあたるスカー将軍が軍備増強に努めているとか。あそこは寒冷地帯で、他地域との交流があまりなく、アンデット系の魔物が大多数生息しているはずです」
ラウナスが溜息を吐く。
「反乱の可能性は?」
「何とも。スカー将軍は先代の四魔将軍の一人。陛下が即位されてからも権限はそのままにしているはずですが、権力を欲するタイプではないかと思いますが」
「取り巻きが唆す可能性は?」
「内部にも密偵を放ちましょうか?」
「うーん、直に話しをしよう」
サルトルは同意した。将軍の地位にある者を信頼できないのは組織として非常事態であり、その実を正当に判断せねば、憂いが残る。
「では、召喚状を、直ちに」
「いや、私が自ら赴く」
「何と、それは危のうございます。いや、陛下の力は重々承知しておりますが、万が一もございます」
ラウナスは真っ直ぐサルトルを見つめた。
「魔将軍に敬意を払うだけだ。それに我が右腕になるか、直に見ておきたい」
「仰せのままに」
ラウナスは自分の部屋に戻った。マナミが甲斐甲斐しく身の回りの世話をしている。アリシアには剣技の訓練をさせている。
「マナミ、そなたも剣技や魔法の鍛錬を怠るなよ」
「もちろんです、陛下」
「身の回りの世話は他の者に任しても構わない」
「いえ、それも私の大切な務め」
ラウナスは彼女の髪に触れ、頬を撫でる。
「無理はするなよ」
「そのお言葉だけで充分でございます」
ラウナスが南部の獣人族を魔法によって殲滅したことで、その地域の魔素のバランスが乱れ、急激な寒さが襲った。
「やり過ぎたか」
ラウナスはぼやいた。彼にしてみれば、さして強力な魔法を行使したわけでは無かった。
「気になさらずとも、大丈夫です、陛下」
サルトルは珍しく落ち込んでいるラウナスを慰めた。
「陛下の力が魔界全土に示される良い機会でした」
南方の地は開墾が必要で、多数のゴブリンを導入して、地域開発に当たらせた。同時に新たな交易地としての発展も必要であり、魔界にいる人間たちに仕事を割り振った。
人間には寒さが堪えるはずだが、それ故に、協調し対策を練り、懸命に働いていると報告が上がっている。
「ところで、人間界からの侵入者はどうだ?」
「ちらほらと。ただ、能力の低そうな者ばかりで、食糧にするくらいしか使い道がございません」
ラウナスの命令により、人間の女性は奴隷あるいは家畜として捕縛するようになっていた。弱い男性戦士や魔道士は、特別な才能がない限り、処分して構わないと指示を出してある。
「東の地域に異常は?」
「先代の血縁にあたるスカー将軍が軍備増強に努めているとか。あそこは寒冷地帯で、他地域との交流があまりなく、アンデット系の魔物が大多数生息しているはずです」
ラウナスが溜息を吐く。
「反乱の可能性は?」
「何とも。スカー将軍は先代の四魔将軍の一人。陛下が即位されてからも権限はそのままにしているはずですが、権力を欲するタイプではないかと思いますが」
「取り巻きが唆す可能性は?」
「内部にも密偵を放ちましょうか?」
「うーん、直に話しをしよう」
サルトルは同意した。将軍の地位にある者を信頼できないのは組織として非常事態であり、その実を正当に判断せねば、憂いが残る。
「では、召喚状を、直ちに」
「いや、私が自ら赴く」
「何と、それは危のうございます。いや、陛下の力は重々承知しておりますが、万が一もございます」
ラウナスは真っ直ぐサルトルを見つめた。
「魔将軍に敬意を払うだけだ。それに我が右腕になるか、直に見ておきたい」
「仰せのままに」
ラウナスは自分の部屋に戻った。マナミが甲斐甲斐しく身の回りの世話をしている。アリシアには剣技の訓練をさせている。
「マナミ、そなたも剣技や魔法の鍛錬を怠るなよ」
「もちろんです、陛下」
「身の回りの世話は他の者に任しても構わない」
「いえ、それも私の大切な務め」
ラウナスは彼女の髪に触れ、頬を撫でる。
「無理はするなよ」
「そのお言葉だけで充分でございます」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる