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魔界暦975年 二の月
恐怖政治
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「陛下、南部の獣人族反乱の鎮圧、お見事でした。他地域での反乱の動きもおとなしくなったようです」
「ただ、直轄領の獣人族たちが恨みに思うだろうな」
サルトルが頷く。
「確かに。領内での獣人族たちの動きに警戒します」
ラウナス自ら、獣人族の反乱を鎮圧した結果、直轄領内外の反乱分子の動きは静かになった。
鎮圧というよりも、殲滅させたと言ったほうが適当だろう。それくらいの力があると魔王の威信を示す必要があった。
とは言え、魔物の中でも同種間の仲間意識が強いものもいるので、今回の獣人族の反乱鎮圧により、他の獣人族が結束して、新たな反乱に繋がらないとも限らない。
その時は殲滅するだけだが、獣人族は戦士タイプが多く、真面目なものが多いので、配下として有用なのでできれば上手く取り込みたいと考えていた。
「陛下、南部は直轄領に組み込みますか?それとも、これまでのように誰かにお任せに?」
「そうだな。農耕が得意なものを派遣する必要があるな」
「やはり、人間でしょうな、農耕ならば。ただ、陛下、人間を重用しすぎては他の魔物との軋轢を生むやもしれません。本来、魔界に人間の住む場所はなかったのですから」
ラウナスはサルトルの発言には常に耳を傾ける。
「やはり、人間界へ侵略し、魔物たちの鬱憤を晴らすべきかな」
「先代アフレイド様は人間界との争いを好みませんでしたので、ゲートを封印しましたが、人間界との交流は適宜行なっていました」
「密約か?」
ラウナスが鋭い視線を送った。
「相互不干渉条約」
サルトルがその言葉を口にした。ただし、先代魔王アフレイドの死により、それは破棄されたようなもので、人間界から魔王討伐を掲げる侵入者も増えている。
「人間の雑魚が魔界に来ても食糧の足しにもならないのだが」
「侮ってはなりませぬ。徐々に魔界の情報が人間界に流れてしまい、対策を練り始めるでしょう」
「厄介だな」
そこで二人は沈黙した。
衛兵が来訪者を知らせにやって来た。
「南の村落の獣人族ドグラが謁見を申し出ております」
「通せ」
ラウナスは言った。
すぐにドグラが現れる。
「陛下、我々、獣人族は今一度陛下に絶対の忠誠を誓います。何卒、獣人族の殲滅だけはお許しくださいませ」
彼は床に平伏した。
「面を上げよ。ドグラの村のものに、何ら罰を与えたりせぬ。我の事を恨んでいるものもいようが、それは構わぬ。ただ反乱だけは許さない。それだけだ」
「ありがたきお言葉。これまで以上に陛下の為に働きます」
「ドグラよ、そなたらは農耕は得意ではないな?」
「もちろん、個人差はありますが、狩猟のほうが得意かと」
ドグラは少し俯き、すぐに顔を上げた。
「ゴブリン族が適任かと。彼らは手先が器用で、農耕にも向いているかと」
「鬼人どもか。戦闘力が低いのが難点ではある」
「いえ、獣人族よりも、血縁の幅が広く、多種多様な才能を持ったゴブリンも存在します。陛下に推挙されれば、献身的に働くかと。元来、ゴブリンは柔和で無欲ですので、自らその能力を誇示することはないはずです」
サルトルが口を挟んだ。
「ドグラの提言、私も賛成致します。すぐにでも目ぼしいゴブリンを選抜します」
ラウナスは頷いた。
「ところで、ドグレアとドグリーナはどうしている?」
「仲睦まじく生活しています。陛下の優しさで生かされていることは分かっているはずでしょう」
「そうか、それなら良い。あの二人は良き夫婦だったので、子を沢山作り、獣人族を繁栄させて貰わねば」
ドグラとの謁見が終わり、サルトルの定例報告も終えて、後宮の自分の部屋に戻った。
ドグレアとドグリーナは媚薬による薬漬けにして、戦闘意欲を無くさせた。ただの繁殖用の獣人へと堕とした。
ラウナスの恐怖政治の一つとして、反乱に対しては徹底的に死を与えることが、獣人族反乱を機に魔界に広く知れ渡った。魔王アフレイドに比べると統治に甘さが目立ったが、それが意図的なものなのかもしれないと配下の中には密かに思うものもいた。
「ただ、直轄領の獣人族たちが恨みに思うだろうな」
サルトルが頷く。
「確かに。領内での獣人族たちの動きに警戒します」
ラウナス自ら、獣人族の反乱を鎮圧した結果、直轄領内外の反乱分子の動きは静かになった。
鎮圧というよりも、殲滅させたと言ったほうが適当だろう。それくらいの力があると魔王の威信を示す必要があった。
とは言え、魔物の中でも同種間の仲間意識が強いものもいるので、今回の獣人族の反乱鎮圧により、他の獣人族が結束して、新たな反乱に繋がらないとも限らない。
その時は殲滅するだけだが、獣人族は戦士タイプが多く、真面目なものが多いので、配下として有用なのでできれば上手く取り込みたいと考えていた。
「陛下、南部は直轄領に組み込みますか?それとも、これまでのように誰かにお任せに?」
「そうだな。農耕が得意なものを派遣する必要があるな」
「やはり、人間でしょうな、農耕ならば。ただ、陛下、人間を重用しすぎては他の魔物との軋轢を生むやもしれません。本来、魔界に人間の住む場所はなかったのですから」
ラウナスはサルトルの発言には常に耳を傾ける。
「やはり、人間界へ侵略し、魔物たちの鬱憤を晴らすべきかな」
「先代アフレイド様は人間界との争いを好みませんでしたので、ゲートを封印しましたが、人間界との交流は適宜行なっていました」
「密約か?」
ラウナスが鋭い視線を送った。
「相互不干渉条約」
サルトルがその言葉を口にした。ただし、先代魔王アフレイドの死により、それは破棄されたようなもので、人間界から魔王討伐を掲げる侵入者も増えている。
「人間の雑魚が魔界に来ても食糧の足しにもならないのだが」
「侮ってはなりませぬ。徐々に魔界の情報が人間界に流れてしまい、対策を練り始めるでしょう」
「厄介だな」
そこで二人は沈黙した。
衛兵が来訪者を知らせにやって来た。
「南の村落の獣人族ドグラが謁見を申し出ております」
「通せ」
ラウナスは言った。
すぐにドグラが現れる。
「陛下、我々、獣人族は今一度陛下に絶対の忠誠を誓います。何卒、獣人族の殲滅だけはお許しくださいませ」
彼は床に平伏した。
「面を上げよ。ドグラの村のものに、何ら罰を与えたりせぬ。我の事を恨んでいるものもいようが、それは構わぬ。ただ反乱だけは許さない。それだけだ」
「ありがたきお言葉。これまで以上に陛下の為に働きます」
「ドグラよ、そなたらは農耕は得意ではないな?」
「もちろん、個人差はありますが、狩猟のほうが得意かと」
ドグラは少し俯き、すぐに顔を上げた。
「ゴブリン族が適任かと。彼らは手先が器用で、農耕にも向いているかと」
「鬼人どもか。戦闘力が低いのが難点ではある」
「いえ、獣人族よりも、血縁の幅が広く、多種多様な才能を持ったゴブリンも存在します。陛下に推挙されれば、献身的に働くかと。元来、ゴブリンは柔和で無欲ですので、自らその能力を誇示することはないはずです」
サルトルが口を挟んだ。
「ドグラの提言、私も賛成致します。すぐにでも目ぼしいゴブリンを選抜します」
ラウナスは頷いた。
「ところで、ドグレアとドグリーナはどうしている?」
「仲睦まじく生活しています。陛下の優しさで生かされていることは分かっているはずでしょう」
「そうか、それなら良い。あの二人は良き夫婦だったので、子を沢山作り、獣人族を繁栄させて貰わねば」
ドグラとの謁見が終わり、サルトルの定例報告も終えて、後宮の自分の部屋に戻った。
ドグレアとドグリーナは媚薬による薬漬けにして、戦闘意欲を無くさせた。ただの繁殖用の獣人へと堕とした。
ラウナスの恐怖政治の一つとして、反乱に対しては徹底的に死を与えることが、獣人族反乱を機に魔界に広く知れ渡った。魔王アフレイドに比べると統治に甘さが目立ったが、それが意図的なものなのかもしれないと配下の中には密かに思うものもいた。
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