人探し探偵

餡脳(unknow)

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第一話

事後報告

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「結論をから言うと、真理さんは亡くなっています。」
「え?」
僕だけでなく、隣にいた哲哉も驚いているようだった。
「これで依頼完了ですね。では、報酬の方を、」
目黒さんが言うと、哲哉はいきなり立ち上がり、目黒さんのみぞおちにストレートを入れた。
「え?何してるの?」
気絶した目黒さんをみた川崎さんが、驚いてこっちに駆け寄ってきた。
哲哉はまたしても、川崎さんを殴り気絶させた。
「よし、失礼します。」
哲哉は目黒さんに触れた。
「ああ、そういうことか。」
「何かわかったの?」
「あの本が昔置いてあった古本屋は、町役場のところで間違いない。」
「うん。」
「店主が、自殺しただろ。あれの原因は、借金だったらしい。」
「借金?」
「うん。それで、結婚する娘に迷惑をかけないように、自殺しようとしたらしい。」
「そうだったんだ。この本が見ていた男の人は誰?」
「店主の娘の真理さんの婚約者。こいつ、結構なサイコパスだな。店主が自殺してるのを真理さんと目撃して、真理さんに凄いこと言ってる。」
「何て言ったの?」
これ死体、近くの川に落として溺れ死んだってことにしない?」
「は?」
「そうすれば、保険金が下りるだろ。」
「まあ、確かに。」
「その一言で真理さんに愛想尽かされて、婚約破棄されそうになったらしい。」
「で、真理さんを殺したと?」
「正解。」
「まじか。そんな事情があったなんて。」
「よし、じゃあ記憶消しときます。」
物の記憶がわかる。
そんな能力を持っていると知られれば、どんなことに利用されるかわからない。
目黒さんたちには、申し訳ないが今回の依頼は無かったことにしよう。
そこに、男の人がジュースとお菓子を持って、奥の部屋から出てきた。
「え?拓也その人誰?」
「え、わかんない。この前はいなかった。」
男の人は僕と哲哉の顔を見ながら、ニコッと笑って
「この前もいましたよ。」
と言った。
「そいつの記憶も消しておくか。その前にこいつをと。」
哲哉は、川崎さんにも触れた。
「よし、完了。次は、」
哲哉は男の人の方へと向かった。
そして、目黒さんや川崎さんの時と同じように、みぞおちめがけてストレートを放った。
しかし、男の人はそれをかわして、哲哉の背後に回った。
「今回の依頼のこと、忘れれば良いんですよね。あと、これ。」
男の人は僕の電話番号が書かれた紙を、僕にくれた。
「哲也、忘れてくれるって、言ってるからもういいんじゃないの?」
「わかったよ。」
哲哉は入り口の方向を見た。
かと思うと、急に後ろを振り向き男の人の顔に向かって拳を振りかぶった。
男の人は、咄嗟に腕でガードした。
哲哉の拳が、男の人の腕に触れた。
「え?」
哲哉は急に脱力し、驚いたような表情になった。
「哲哉、帰るぞ。」
俺は哲哉の手を引き、事務所を出た。


「哲哉、あの人の記憶見えた?」
「え、うん。」
「何か見えた?」
「あの人の記憶の中に音がなかった。」
「え?どういうこと?」
「たぶんあの人、音や声が聞こえてない。」
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