人探し探偵

第二話

お母さんを探して

今回の依頼人は大学生の女の人。
「誰をお探しですか？」
俺はいつものように尋ねた。
「お母さんです。」
「お名前は？」
「お母さんの名前は、工藤くどう比佐子ひさこです。」
「いなくなった時の状況を詳しく教えてください。」
「あの、えっと、お母さんは病気で亡くなっているんです。七年前に。」
「は？」
「あ、いや、その、この前デパートに行ったら、居たんです。お母さんが。」
「見間違いでは？」
大和が言った。
「いえ、そんなはずはありません。」
「まあ、この世には似ている人が三人はいる、って言いますから。」
「そうなんですけど、私が声をかけたらどこかに走って行ってしまって。」
「わかりました。探してみましょう。」
「え？慶さん？」
「ありがとうございます。見つかったら、電話してください。」
女の人は立ち上がってお辞儀をした。
「わかりました。我々も出来る限り、努力します。」
「お願いします。」
女の人はそう言うと、事務所を出た。