人探し探偵

第五話

過去のお話 3

妹の自殺から目を反らそうとした俺は、警察からの説明もろくに受けないままいた。
そんなある日、警察から電話がかかった。
「意識が戻ったそうです。」
俺は始め、相手が何を言っているのか理解できなかった。
妹は死んでるのに。
意識が戻ることなんてないのに。
俺は警察から伝えられた病院へ向かった。
病院の入口にこの事件を担当している刑事が立っていた。
刑事は俺を病室まで連れていってくれた。
その病室には誰もいなかった。
「あれ、おかしいな。」
刑事はそう言いながら、部屋の入口に貼ってある名前を確認していた。
そこには上田裕貴とかかれていた。
ゆうき...
だから、ゆうくんだったのか。
「ここであってるはずなんだけどな。」
俺は刑事が慌てているのを横目に、誰かがいたであろうベッドの側まで行ってみた。
病院服が綺麗に畳んで置かれていた。
その他に目立ったものはなかった。
俺は病院服のサイズを確認してみた。
妹のサイズより大きいものだった。
「しまったな。もしかしたら、脱走したのかも。」
刑事も病室に入ってきた。
俺は刑事に聞いてみた。
「誰が入院してたんですか。」
すると、刑事は不思議そうに俺を見つめた。
「あれ？言ってなかったかな。彼氏だよ。あんたの妹の彼氏。一緒に心中しようとして彼氏だけ生き残るなんて、皮肉だよね。」