331 / 362
第十三章 学園祭二日目
28 用意周到 ※ちょっとR18
しおりを挟む
らしくない失態に気付くと余計に恥ずかしくなり、呉宇軒は楽しげな眼差しから隠れるように両手で顔を覆った。手のひらに触れた頬は異様なほど熱を持っていて、さぞかし真っ赤に染まっていることだろう。
指の隙間から幼馴染を覗き見ながら、彼は弱々しい声でそっと尋ねた。
「……今の、忘れてくれる?」
「動画に残っているから無理だ」
すっかり忘れていたが、すぐ横でビデオカメラが回っていたのだった。呉宇軒はちらりとカメラを見て自分の顔が写っているわけではないと確認してから、心底楽しそうに笑っている李浩然に視線を戻す。
いつもの優等生然とした態度はどこへやらで、今日の李浩然は随分と悪ノリしている。まんまとしてやられた悔しさに歯噛みしたものの、呉宇軒は強気な態度を取り戻して、笑顔の幼馴染をキッと睨みつけた。
「わ……笑っていられるのも、今のうちだからな!」
恥ずかしさの滲んだ声には全く説得力がなかったが、ここで引き下がるわけにはいかなかった。悪戯の達人と名高い自分が、このまま真面目ちゃんにやられっぱなしで良いわけがない!
深呼吸してどうにか心を落ち着かせると、何か言う前に李浩然が静かに口を開いた。
「誕生日までひと月を切った」
李浩然の誕生日は十一月の二十三日で、確かにもうひと月を切っている。だが、それが今の状況と何の関係があるのだろう。
「……だな。それがどうした?」
「そろそろ準備を始めないと」
彼の答えはどこか要領を得ない。考えても分からず、何の準備だと尋ねようとするも、エアーマットに背中を預けていた李浩然が急に身を起こした。
二人の体がまた密着して、呉宇軒はまた彼が何か仕掛けてくるのではと思わず身構える。
ところが、李浩然は彼の更に後ろに手を伸ばし、何かを手に取ったようだった。それが何なのか確かめる間もなく尻の辺りに違和感を覚え、次の瞬間、腰に巻いているタオルがぺろりと捲られた。
「ちょっ、何してんだよ!」
突然尻を丸出しにされ、呉宇軒は抗議の声を上げる。向かい合わせだから相手からは見えないものの、先ほどまで尻を覆っていたものが無くなると変な感じだ。
李浩然は再び背もたれに体を預け、眉間にシワを寄せながら不満を訴えてくる幼馴染の腕をぐいと引く。そのせいで、呉宇軒はまたしても彼の胸にもたれかかる形になってしまった。
文句の一つでも言いたかったが、今日は彼にやられっぱなしで言いたいことがありすぎる。結局何も言えず、呉宇軒は急に傍若無人になった幼馴染をジト目で睨むにとどめた。
いつもの優等生は一体どこへ行ってしまったのだろうか。李浩然は抗議の視線を涼しい顔で受け流し、まるで意に介していない。
「今日から少しずつ慣らしていこうと思って」
「慣らす?」
「うん。君の体を」
先ほどからさっぱり話が見えなくて、呉宇軒は眉を顰めた。のらりくらりとはぐらかされ、質問をしたとしても答えてくれそうにない雰囲気だ。
散々弄ばれた上に仕返しもできず不貞腐れていると、不意に腰の辺りに生暖かい液体がつぅーっと垂れてくる。初めは天井の水滴が落ちてきたのだろうと思ったが、どうも様子がおかしい。
水滴が落ちてきたにしては粘り気があり、ゆっくりと肌を撫でるように滴っていく。それも止まることなく、結構な量が垂れてきているようなのだ。
その妙にとろみのある謎の液体は尾骨から尻の割れ目へと流れ落ち、まだ乾いたままの肌をしとどに濡らす。呉宇軒の頭の中に、ふとある映画のワンシーンが蘇った。
「浩然、風呂場にエイリアンがいる!」
そう叫ぶなり、呉宇軒は幼馴染に体当たりするように抱きついた。
その液体はまさしく、エイリアンの口から垂れてきた唾液のようだったのだ。ところが、李浩然は彼の悲痛な訴えにぷっと吹き出し、肩を震わせて笑い始める。
「なっ、なんだよ! 笑うなって!」
「阿軒、エイリアンはいない」
「じゃあ何なんだよこれ! タマの裏まで流れてきてるんだけど!」
体勢のせいで、滴り落ちる液体はあらぬ所まで濡らし始めている。慌てふためく呉宇軒に、李浩然は笑いを堪えながら自分の手の中にあったものを見せた。
それは、中に白濁色の液体が入った透明なボトルだった。ご丁寧にもボトルの表面に『ラブローション』と片仮名で文字が書かれている。
謎の液体の正体がただのアダルトグッズだと分かってほっとしたものの、呉宇軒は書かれている日本語を改めて見て首を傾げた。
「なんで日本語?」
「国産のは信用できないから輸入した」
「輸入って、いつ買ったんだよ」
海外の物を買う時、注文してから届くまでにかなりの時間がかかるはずだ。ということは、彼はずっと前からこうすることを計画していたのだろう。それこそ、呉宇軒が彼のプロポーズを受ける前だった可能性もある。
色々なことがあって下半身の昂りは落ち着いてきたものの、李浩然の方はまだまだ元気いっぱいだ。呉宇軒はやっと一矢報いるチャンスが来たと口の端を吊り上げ、彼の手からボトルを奪い取った。
「これって、まだ他にもあんの?」
「うん。君のためにたくさん買っておいた」
彼の答えを聞いて、呉宇軒はますます笑みを深める。たくさんあるのなら、ちょっとくらい贅沢に使っても大丈夫だろう。
ボトルを傾けると、中の液体は粘度が高いのかゆっくりと動き始める。何をするのか不思議そうに見ている李浩然の目の前で、彼はこれ見よがしに高い位置から二人の密着した下半身に向かってローションを垂らした。
腰に巻いたタオルがローションを吸ってずっしりと重くなる。ボトルの中身をほとんど使い切る頃には、呉宇軒のタオルだけでなく、その下にある李浩然のタオルまでぐっちょりと濡れていた。
「然然、お前へのご褒美もまだだったよな?」
執事の格好をした李浩然をからかった時に、ご褒美をあげる約束をしていたのだ。悪戯っ子の顔をした呉宇軒は、彼の目を真っ直ぐに見つめて微笑み、すり寄るように身を寄せた。すると、二人の間でぐちゅりと卑猥な水音がして、余裕ぶっていた李浩然の表情が僅かに強張る。
たっぷり垂らしたローションは見事にその役目を果たしていた。呉宇軒がゆっくりと腰を揺らすと、潤滑油で滑りの良くなった体は引っかかることもなく滑らかに動く。
「こういうのは好き?」
下半身を擦り付けるような動きを繰り返しながら、呉宇軒は誘惑するように甘やかな声で尋ねた。
李浩然は小さく息を呑んだものの、押し黙ったままだ。ただ、今日はいつものように止めるように言う気はないようだった。
答えはなくとも、呉宇軒には彼の心が手に取るように分かった。覗き込んだ瞳の奥に欲望の炎が燃えている。下敷きにした李浩然のものは、返事の代わりにどんどん硬さを増していった。
「どう? 気持ちいい?」
ぬるぬるとした布の感触は、治まりかけていた呉宇軒の体にも再び火を点けた。擦れるたびに柔らかな刺激が敏感な部分を包み込み、何とも言えない甘い痺れをもたらす。いつしか彼の口からは甘い吐息が漏れ始めていた。
指の隙間から幼馴染を覗き見ながら、彼は弱々しい声でそっと尋ねた。
「……今の、忘れてくれる?」
「動画に残っているから無理だ」
すっかり忘れていたが、すぐ横でビデオカメラが回っていたのだった。呉宇軒はちらりとカメラを見て自分の顔が写っているわけではないと確認してから、心底楽しそうに笑っている李浩然に視線を戻す。
いつもの優等生然とした態度はどこへやらで、今日の李浩然は随分と悪ノリしている。まんまとしてやられた悔しさに歯噛みしたものの、呉宇軒は強気な態度を取り戻して、笑顔の幼馴染をキッと睨みつけた。
「わ……笑っていられるのも、今のうちだからな!」
恥ずかしさの滲んだ声には全く説得力がなかったが、ここで引き下がるわけにはいかなかった。悪戯の達人と名高い自分が、このまま真面目ちゃんにやられっぱなしで良いわけがない!
深呼吸してどうにか心を落ち着かせると、何か言う前に李浩然が静かに口を開いた。
「誕生日までひと月を切った」
李浩然の誕生日は十一月の二十三日で、確かにもうひと月を切っている。だが、それが今の状況と何の関係があるのだろう。
「……だな。それがどうした?」
「そろそろ準備を始めないと」
彼の答えはどこか要領を得ない。考えても分からず、何の準備だと尋ねようとするも、エアーマットに背中を預けていた李浩然が急に身を起こした。
二人の体がまた密着して、呉宇軒はまた彼が何か仕掛けてくるのではと思わず身構える。
ところが、李浩然は彼の更に後ろに手を伸ばし、何かを手に取ったようだった。それが何なのか確かめる間もなく尻の辺りに違和感を覚え、次の瞬間、腰に巻いているタオルがぺろりと捲られた。
「ちょっ、何してんだよ!」
突然尻を丸出しにされ、呉宇軒は抗議の声を上げる。向かい合わせだから相手からは見えないものの、先ほどまで尻を覆っていたものが無くなると変な感じだ。
李浩然は再び背もたれに体を預け、眉間にシワを寄せながら不満を訴えてくる幼馴染の腕をぐいと引く。そのせいで、呉宇軒はまたしても彼の胸にもたれかかる形になってしまった。
文句の一つでも言いたかったが、今日は彼にやられっぱなしで言いたいことがありすぎる。結局何も言えず、呉宇軒は急に傍若無人になった幼馴染をジト目で睨むにとどめた。
いつもの優等生は一体どこへ行ってしまったのだろうか。李浩然は抗議の視線を涼しい顔で受け流し、まるで意に介していない。
「今日から少しずつ慣らしていこうと思って」
「慣らす?」
「うん。君の体を」
先ほどからさっぱり話が見えなくて、呉宇軒は眉を顰めた。のらりくらりとはぐらかされ、質問をしたとしても答えてくれそうにない雰囲気だ。
散々弄ばれた上に仕返しもできず不貞腐れていると、不意に腰の辺りに生暖かい液体がつぅーっと垂れてくる。初めは天井の水滴が落ちてきたのだろうと思ったが、どうも様子がおかしい。
水滴が落ちてきたにしては粘り気があり、ゆっくりと肌を撫でるように滴っていく。それも止まることなく、結構な量が垂れてきているようなのだ。
その妙にとろみのある謎の液体は尾骨から尻の割れ目へと流れ落ち、まだ乾いたままの肌をしとどに濡らす。呉宇軒の頭の中に、ふとある映画のワンシーンが蘇った。
「浩然、風呂場にエイリアンがいる!」
そう叫ぶなり、呉宇軒は幼馴染に体当たりするように抱きついた。
その液体はまさしく、エイリアンの口から垂れてきた唾液のようだったのだ。ところが、李浩然は彼の悲痛な訴えにぷっと吹き出し、肩を震わせて笑い始める。
「なっ、なんだよ! 笑うなって!」
「阿軒、エイリアンはいない」
「じゃあ何なんだよこれ! タマの裏まで流れてきてるんだけど!」
体勢のせいで、滴り落ちる液体はあらぬ所まで濡らし始めている。慌てふためく呉宇軒に、李浩然は笑いを堪えながら自分の手の中にあったものを見せた。
それは、中に白濁色の液体が入った透明なボトルだった。ご丁寧にもボトルの表面に『ラブローション』と片仮名で文字が書かれている。
謎の液体の正体がただのアダルトグッズだと分かってほっとしたものの、呉宇軒は書かれている日本語を改めて見て首を傾げた。
「なんで日本語?」
「国産のは信用できないから輸入した」
「輸入って、いつ買ったんだよ」
海外の物を買う時、注文してから届くまでにかなりの時間がかかるはずだ。ということは、彼はずっと前からこうすることを計画していたのだろう。それこそ、呉宇軒が彼のプロポーズを受ける前だった可能性もある。
色々なことがあって下半身の昂りは落ち着いてきたものの、李浩然の方はまだまだ元気いっぱいだ。呉宇軒はやっと一矢報いるチャンスが来たと口の端を吊り上げ、彼の手からボトルを奪い取った。
「これって、まだ他にもあんの?」
「うん。君のためにたくさん買っておいた」
彼の答えを聞いて、呉宇軒はますます笑みを深める。たくさんあるのなら、ちょっとくらい贅沢に使っても大丈夫だろう。
ボトルを傾けると、中の液体は粘度が高いのかゆっくりと動き始める。何をするのか不思議そうに見ている李浩然の目の前で、彼はこれ見よがしに高い位置から二人の密着した下半身に向かってローションを垂らした。
腰に巻いたタオルがローションを吸ってずっしりと重くなる。ボトルの中身をほとんど使い切る頃には、呉宇軒のタオルだけでなく、その下にある李浩然のタオルまでぐっちょりと濡れていた。
「然然、お前へのご褒美もまだだったよな?」
執事の格好をした李浩然をからかった時に、ご褒美をあげる約束をしていたのだ。悪戯っ子の顔をした呉宇軒は、彼の目を真っ直ぐに見つめて微笑み、すり寄るように身を寄せた。すると、二人の間でぐちゅりと卑猥な水音がして、余裕ぶっていた李浩然の表情が僅かに強張る。
たっぷり垂らしたローションは見事にその役目を果たしていた。呉宇軒がゆっくりと腰を揺らすと、潤滑油で滑りの良くなった体は引っかかることもなく滑らかに動く。
「こういうのは好き?」
下半身を擦り付けるような動きを繰り返しながら、呉宇軒は誘惑するように甘やかな声で尋ねた。
李浩然は小さく息を呑んだものの、押し黙ったままだ。ただ、今日はいつものように止めるように言う気はないようだった。
答えはなくとも、呉宇軒には彼の心が手に取るように分かった。覗き込んだ瞳の奥に欲望の炎が燃えている。下敷きにした李浩然のものは、返事の代わりにどんどん硬さを増していった。
「どう? 気持ちいい?」
ぬるぬるとした布の感触は、治まりかけていた呉宇軒の体にも再び火を点けた。擦れるたびに柔らかな刺激が敏感な部分を包み込み、何とも言えない甘い痺れをもたらす。いつしか彼の口からは甘い吐息が漏れ始めていた。
17
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー
夏目碧央
BL
強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。
一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる