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第十章 不穏
16 事件再び?
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突如発覚した事実に、呉宇軒は思わず足を止める。女子はみんな持っているなんて、一体どこまで広まっているのだろう。
あまりのことに絶句する彼を見て、黄鈴沙はようやく何かがおかしいと気付き、恐る恐る尋ねた。
「……もしかして、知らなかった?」
呉宇軒が普段から悪ふざけをよくするため、彼女は彼が自分でその紙をばら撒いたと思ったらしい。
確かにSNSには幼馴染との仲睦まじい画像を山ほど上げているので、何も知らない彼女がそう思ってしまうのも頷ける。ただ、そのせいで発覚が遅れてしまうとはなんとも皮肉な話だ。
「うん。それって、結構出回ってる感じ? 君持ってる?」
「私は持ってないけど、うちの学部には持ってる子多いみたい」
実物を見てみたかったが、残念ながら黄鈴沙は持っていなかった。
例の捏造チラシの事件を彷彿とさせるものの、現物を見ないことにはなんとも言えず、呉宇軒はうーん、と深く考え込む。
学園祭の準備で忙しいので、みんな散り散りにどこかへ行ってしまっている。そのため、今から学部の子たちを集めて事情聴取をするのは無理だろう。
聞き込みは明日に回すことにして、呉宇軒はすぐに気持ちを切り替えて歩き出した。そして彼女の妙な勘違いを訂正するべきか一瞬迷ったが、やはり恋のライバルには正直に話すべきと思い直す。
「俺と浩然、別に付き合ってはないよ」
「そうなの? じゃあもしかして、女の子達が持ってた紙って例の事件絡み?」
思いの外察しがよく、彼女はすぐにこの前の『軒軒偽者事件』との類似に気が付いた。ただし、二人は本当にキスする仲なので、女子達が持つという紙を見てみないことには断定できない。
「捏造かどうかは見てみないと分かんないけど、例の件が関係してる可能性は高いかも。模倣犯が現れてるって可能性も捨て切れないけどな」
何か事件が起こると模倣犯が現れるのは世の常だ。特に呉宇軒のようにファンもアンチも大勢いる有名人は、事件が起こると便乗犯が現れやすい。
有名人の思わぬ苦労を知って、黄鈴沙はため息と共に呉宇軒へ同情の眼差しを向けた。
「有名になるって大変なのね」
「俺はもう慣れたから大丈夫だよ。そういえば、鈴鈴って実家が飲食店なんだろ? どこにあるんだ?」
黄鈴沙は紙を持っていないので、これ以上例の事件について話しても実りはないだろう。そう思ってさり気なく話題を変えると、彼女は嬉しそうにぱっと顔を明るくさせて答えた。
「学生街の方よ! 結構評判いいんだ。おすすめは手作りの海老蒸し餃子! 今度友だちと食べに来てね」
餃子の生地まで手作りしていて、美味しいと評判らしい。しっかり店の宣伝をした彼女の言葉に、呉宇軒は思わずあっと声を出す。
彼女が李浩然に渡した紙に書かれていた海老という文字の正体が、今になってやっと分かった。あれは海老蒸し餃子の海老部分だったに違いない!
急に驚いた声を出した呉宇軒に、彼女は怪訝そうな目を向けた。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。俺、海老蒸し餃子大好きなんだ。絶対食べに行くよ!」
きっと、李浩然は幼馴染の大好物を手作りするために特訓中なのだろう。そうと分かると彼はたちまち上機嫌になり、放置されて寂しかった気持ちもどこへやらで、今にも鼻歌でも歌い出しそうなほど舞い上がってしまう。
黄鈴沙はふふふ、と可愛らしく笑った。
「友だちいっぱい連れて来てね」
それから二人はお菓子作りサークルの活動場所へ着くまで、料理談義に花を咲かせた。
小さな頃から家の手伝いをしている黄鈴沙の話は、呉宇軒にとっても実に興味深いものがあった。彼女の家は北京料理が中心なものの、手作りの海老蒸し餃子を始め、他の地域の料理も色々と出しているらしい。
互いに上手に作るコツや隠し味を教え合っていると、あっという間に目的地に到着してしまった。呉宇軒も前にクッキー作りをするために借りた、立派なオーブンが設置されている教室だ。
普段は料理サークルやお菓子作りサークルが交代で借りていて、学園祭の準備で忙しい今は合同で何か作っているらしく、中をそっと覗くと人で溢れていた。
「それじゃあ、俺はこの辺で帰ろうかな」
部屋の前で足を止め、呉宇軒はそう言った。料理系のサークルは女子率が高いので、そんな所に噂の人気モデルが現れると大パニックになるだろう。
「そうね、軒軒が来たら大騒ぎになっちゃう。荷物ありがとう」
部屋の入り口で荷物を受け渡し、呉宇軒はまた明日と別れの挨拶をして踵を返す。日差しは少しずつ傾いてきているが、心はいつになく晴れやかだった。
寮の部屋に戻ってくると、珍しく机に向かう王茗の姿があった。
彼は最近出版サークルの取材で忙しくてほとんど寮に居なかったので、呉宇軒はいいタイミングで帰ってきたと声をかける。先ほど黄鈴沙から聞いた、女子の間で出回っている紙について聞こうと思ったのだ。
ところが、振り返った王茗はげっそりとやつれてそれどころではなさそうな雰囲気だった。
「だ、大丈夫か?」
心配になって尋ねると、彼はたちまち顔をくしゃくしゃにして悲痛な声を出した。
「軒兄ちゃあん……肩凝りすぎて体がバッキバキだよう」
手書きにせよパソコンで打ち込むにせよ、同じ姿勢で座り続けることになる。彼は記事をまとめるために長時間集中していたせいで、体が凝り固まってしまったようだ。
「しょうがねぇな。ちょっとベッドに上がんな。兄ちゃんがマッサージしてやるよ」
可愛い末っ子のために人肌脱いでやろうとそう言えば、王茗は僅かに元気を取り戻し、大喜びで両手を上げた。
「やったぁ! さっすが軒兄ちゃん!」
いそいそと二段ベッドに上がっていった王茗に続いて上へ行くと、散々な有様が目に入る。
ぐちゃぐちゃに丸められた布団は、そこに誰かが寝ているかのようにこんもりと山を作っていた。おまけに脱ぎ散らかしたままの洗濯物があちこちに散乱している。マッサージをするには体を真っ直ぐにする必要があるので、散らかり放題な彼のベッドに上がったのは失敗だった。
「相変わらず汚ねぇな、お前のベッドは。また子星に怒られるぞ?」
呉宇軒は文句を言いつつ絡まり合った布団を綺麗に畳み、毛布の中から出てきた洗濯物をベッドの隅にまとめていく。二匹に増えた安眠の友のテディベアを並べて端に寄せると、やっとマッサージできるだけのスペースが空いた。
広くなったベッドの上に、王茗は力尽きたようにぱたりと倒れ込む。かなりお疲れなようで、呉宇軒はさっそくマッサージに取りかかった。
「そうそう、お前のサークルで何か情報掴んでない? 例の偽者事件の話」
彼は黄鈴沙の話をそっくりそのまま王茗に伝えた。王茗の所属する出版サークルは、呉宇軒が振った女子の素性まで調べ上げていたので、なにか知っていると思ったのだ。
王茗は気持ちよさそうに声を漏らしてすっかりリラックスしていたが、彼の質問にそういえば、と話し始めた。
「まだ調査中なんだけど、軒兄と然兄がイチャついてる写真が載った紙が出回ってるらしいって。学園祭の取材で忙しいし、女子の結束が固くて詳しい話聞けてないみたい」
やはり学園祭の準備でバタバタしているタイミングでは、あまり情報が入ってこないらしい。この様子だと、出版サークルも紙の現物は手に入れられていないだろう。
だが、そこは天下の清香出版だ。王茗は追加の情報を持っていた。
「なんか、女子たちに紙を売った人がいるみたい。あっという間に売れちゃったから、うちのサークルでは手に入れられなかったんだぁ」
「俺たちの写真で金稼いだ奴がいんのか。ってことは、例の事件の犯人とは別か?」
情報が少ないのはそのせいか、と納得する。密かに売られていたなら、いくら出版サークルの情報網が大学中を網羅していても出遅れてしまうのは仕方がない。
売るなら少しは分け前を寄越せよな、と文句を言いながらマッサージを続けていると、王茗がそっち?と笑って言葉を続けた。
「別かどうかはまだ分かんないよ? 撒かれたチラシを集めて売ったのかもしれないし」
「どっちにしろ、現物見るまではなんとも言えねぇな」
前と犯人が同じなら、見れば分かるだろう。
呉宇軒は有益な情報をくれた王茗に労いのマッサージをたっぷりしてやり、他のルームメイトたちが帰ってくる前に夕飯の支度を始めた。
あまりのことに絶句する彼を見て、黄鈴沙はようやく何かがおかしいと気付き、恐る恐る尋ねた。
「……もしかして、知らなかった?」
呉宇軒が普段から悪ふざけをよくするため、彼女は彼が自分でその紙をばら撒いたと思ったらしい。
確かにSNSには幼馴染との仲睦まじい画像を山ほど上げているので、何も知らない彼女がそう思ってしまうのも頷ける。ただ、そのせいで発覚が遅れてしまうとはなんとも皮肉な話だ。
「うん。それって、結構出回ってる感じ? 君持ってる?」
「私は持ってないけど、うちの学部には持ってる子多いみたい」
実物を見てみたかったが、残念ながら黄鈴沙は持っていなかった。
例の捏造チラシの事件を彷彿とさせるものの、現物を見ないことにはなんとも言えず、呉宇軒はうーん、と深く考え込む。
学園祭の準備で忙しいので、みんな散り散りにどこかへ行ってしまっている。そのため、今から学部の子たちを集めて事情聴取をするのは無理だろう。
聞き込みは明日に回すことにして、呉宇軒はすぐに気持ちを切り替えて歩き出した。そして彼女の妙な勘違いを訂正するべきか一瞬迷ったが、やはり恋のライバルには正直に話すべきと思い直す。
「俺と浩然、別に付き合ってはないよ」
「そうなの? じゃあもしかして、女の子達が持ってた紙って例の事件絡み?」
思いの外察しがよく、彼女はすぐにこの前の『軒軒偽者事件』との類似に気が付いた。ただし、二人は本当にキスする仲なので、女子達が持つという紙を見てみないことには断定できない。
「捏造かどうかは見てみないと分かんないけど、例の件が関係してる可能性は高いかも。模倣犯が現れてるって可能性も捨て切れないけどな」
何か事件が起こると模倣犯が現れるのは世の常だ。特に呉宇軒のようにファンもアンチも大勢いる有名人は、事件が起こると便乗犯が現れやすい。
有名人の思わぬ苦労を知って、黄鈴沙はため息と共に呉宇軒へ同情の眼差しを向けた。
「有名になるって大変なのね」
「俺はもう慣れたから大丈夫だよ。そういえば、鈴鈴って実家が飲食店なんだろ? どこにあるんだ?」
黄鈴沙は紙を持っていないので、これ以上例の事件について話しても実りはないだろう。そう思ってさり気なく話題を変えると、彼女は嬉しそうにぱっと顔を明るくさせて答えた。
「学生街の方よ! 結構評判いいんだ。おすすめは手作りの海老蒸し餃子! 今度友だちと食べに来てね」
餃子の生地まで手作りしていて、美味しいと評判らしい。しっかり店の宣伝をした彼女の言葉に、呉宇軒は思わずあっと声を出す。
彼女が李浩然に渡した紙に書かれていた海老という文字の正体が、今になってやっと分かった。あれは海老蒸し餃子の海老部分だったに違いない!
急に驚いた声を出した呉宇軒に、彼女は怪訝そうな目を向けた。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。俺、海老蒸し餃子大好きなんだ。絶対食べに行くよ!」
きっと、李浩然は幼馴染の大好物を手作りするために特訓中なのだろう。そうと分かると彼はたちまち上機嫌になり、放置されて寂しかった気持ちもどこへやらで、今にも鼻歌でも歌い出しそうなほど舞い上がってしまう。
黄鈴沙はふふふ、と可愛らしく笑った。
「友だちいっぱい連れて来てね」
それから二人はお菓子作りサークルの活動場所へ着くまで、料理談義に花を咲かせた。
小さな頃から家の手伝いをしている黄鈴沙の話は、呉宇軒にとっても実に興味深いものがあった。彼女の家は北京料理が中心なものの、手作りの海老蒸し餃子を始め、他の地域の料理も色々と出しているらしい。
互いに上手に作るコツや隠し味を教え合っていると、あっという間に目的地に到着してしまった。呉宇軒も前にクッキー作りをするために借りた、立派なオーブンが設置されている教室だ。
普段は料理サークルやお菓子作りサークルが交代で借りていて、学園祭の準備で忙しい今は合同で何か作っているらしく、中をそっと覗くと人で溢れていた。
「それじゃあ、俺はこの辺で帰ろうかな」
部屋の前で足を止め、呉宇軒はそう言った。料理系のサークルは女子率が高いので、そんな所に噂の人気モデルが現れると大パニックになるだろう。
「そうね、軒軒が来たら大騒ぎになっちゃう。荷物ありがとう」
部屋の入り口で荷物を受け渡し、呉宇軒はまた明日と別れの挨拶をして踵を返す。日差しは少しずつ傾いてきているが、心はいつになく晴れやかだった。
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彼は最近出版サークルの取材で忙しくてほとんど寮に居なかったので、呉宇軒はいいタイミングで帰ってきたと声をかける。先ほど黄鈴沙から聞いた、女子の間で出回っている紙について聞こうと思ったのだ。
ところが、振り返った王茗はげっそりとやつれてそれどころではなさそうな雰囲気だった。
「だ、大丈夫か?」
心配になって尋ねると、彼はたちまち顔をくしゃくしゃにして悲痛な声を出した。
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ぐちゃぐちゃに丸められた布団は、そこに誰かが寝ているかのようにこんもりと山を作っていた。おまけに脱ぎ散らかしたままの洗濯物があちこちに散乱している。マッサージをするには体を真っ直ぐにする必要があるので、散らかり放題な彼のベッドに上がったのは失敗だった。
「相変わらず汚ねぇな、お前のベッドは。また子星に怒られるぞ?」
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だが、そこは天下の清香出版だ。王茗は追加の情報を持っていた。
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「俺たちの写真で金稼いだ奴がいんのか。ってことは、例の事件の犯人とは別か?」
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売るなら少しは分け前を寄越せよな、と文句を言いながらマッサージを続けていると、王茗がそっち?と笑って言葉を続けた。
「別かどうかはまだ分かんないよ? 撒かれたチラシを集めて売ったのかもしれないし」
「どっちにしろ、現物見るまではなんとも言えねぇな」
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