真面目ちゃんの裏の顔

てんてこ米

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第十章 不穏

17 進展

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 翌朝、呉宇軒ウーユーシュェンは幼馴染に事情を話した後、授業が終わると同時に女子たちに招集をかけた。それは昨日、出版サークルの情報通王茗ワンミンから聞いた噂話の真偽を確かめるためだ。

「女の子たち、ちょっと時間ある? 聞きたいことがあるんだけど」

 学園祭の準備で忙しいので、あまり集まってくれないのではと不安だったが、学部の女子たちはほとんどが残ってくれた。理由もまだ話していないのにこんなに集まるとは上々だ。
 最初に情報をくれた黄鈴沙ファンリンシァは、教室を出る前に女子の群れの間からちょこっと顔を出して、口パクで「頑張って!」と声援を送ってくれていた。
 わいわいと集まってきた女子たちに紛れ、何故か無関係な男子たちもやってくる。いつも彼が面白いことをしているので、野次馬をしに来たのだろう。呉宇軒ウーユーシュェンは彼らには触れずに言葉を続けた。

「俺と浩然ハオランの写真が載った紙が売られてたって聞いたんだけど、事情聴取に協力してくれる子いる? 現物見てみたいんだよね。時間ある子は手上げて!」

 片手を上げてそう呼びかけると、女の子たちは戸惑いながら友人と目配せしたり笑い合ったりしつつも、何故か誰も手を上げない。
 どうする?と視線を交わし、お互いに様子見しているようだ。きっと女子同士で抜け駆け禁止条約でも結んでいるのだろう。
 女子の結束が固いというのはこれか、と納得しながら、呉宇軒ウーユーシュェンは仕方なく奥の手を使うことにする。できれば使いたくなかったが、貝のように口を閉ざした彼女たちに話をさせる一番確実な方法だ。

「残念だなぁ……協力してくれた子には手料理を振る舞おうと思ってたんだけどなぁ」

 わざとらしく残念がって見せると、彼の言葉に細やかなざわめきは一瞬で水を打ったように静まり返る。彼女たちはハッとして呉宇軒ウーユーシュェンへ一斉に視線を向けたが、その瞳からはすでに仲間への遠慮だとか配慮などの言葉は一切消えていた。

「はいはい! 私持ってます!」

「あたしも持ってるし! なんでも話すよ!!」

軒軒シュェンシュェン、私すぐ出せるわよ!」

 先ほどまでの静けさはどこへやらで、彼女たちは急に元気よく手を上げて呉宇軒ウーユーシュェンの元へ殺到する。そのあまりの勢いに、興味本位で残っていた男子たちはドン引きして及び腰になっていた。
 バーゲンセールよろしく殺到する彼女たちの勢いは、混ざりに行こうものならたちまち弾き出されるほど強い。一歩引いて正解だ。
 だが、この手の事態に慣れている呉宇軒ウーユーシュェンは平然として、彼女たちをどうどうと宥めながら頭を悩ませた。

「結構多いなぁ……一人二人でいいんだけど。この後急ぎの用事ある子はいる? 怒られたら可哀想だから行っていいよ」

 事情聴取ならほんの数人残れば問題ないのに女子全員が来てしまったので、どうにか数を減らしたいとそう呼びかける。ところが、彼女たちは絶対に何か用事があるだろうに、一歩も引かずにとどまり続けた。まるで、今ここで帰ったら他の女子たちに彼を掻っ攫われるとでも言わんばかりだ。
 呉宇軒ウーユーシュェンは講義室の時計をちらりと見て、あまり時間がないことを確認すると、居残る気満々の彼女たちに呼びかけた。

「分かった分かった、このノートに名前書いていって。忙しい子は後から話聞くから。浩然ハオラン、お前時間ある? 俺の代わりに話聞いてやってくれない?」

 美男美女コンテストのサプライズ女装の写真を撮るため、昼から撮影スタジオに向かわなければならないのだ。
 ちょうど講義室の中に王茗ワンミンとサークル仲間らしき眼鏡の青年が入ってきたので、呉宇軒ウーユーシュェンは幼馴染に後を託すことにした。と言っても、事前に出版サークルに協力を依頼しておいたので、李浩然リーハオランがすることといえばノートの回収くらいだ。

「分かった。ノートはいつ返せばいい?」

「今日の晩は? また用事ある?」

 幼馴染が密かに海老蒸し餃子を練習している疑惑があるため、呉宇軒ウーユーシュェンは期待せずに尋ねた。会えないのは寂しいが、一生懸命練習している彼の姿を思うとつい口元が緩む。すると、李浩然リーハオランはいつになく優しげに微笑んで口を開いた。

「いや、今夜は君の所に泊まっていく」

「本当に!?」

 思わぬ言葉に飛び上がりそうなほど驚き、呉宇軒ウーユーシュェンは目をキラキラと輝かせて幼馴染を見つめた。来てくれるだけでなく、泊まってくれるなんてこの上ない朗報だ。

「うん。夕飯は俺に任せておいて」

 いよいよ彼の練習の成果が見られるのか、と心の中でガッツポーズしながら、呉宇軒ウーユーシュェンはうんうんと頷いた。

「分かった! 楽しみにしてるな。あとはよろしく!」

 それから彼は喜びいっぱいに李浩然リーハオランを抱きしめると、柔らかな唇にちゅっちゅっと二回キスをする。その途端、女子たちの群れから黄色い悲鳴が上がった。

「やだ! 携帯構えておけばよかったぁ」

「見逃しちゃった! 何? 何があったの!?」

 思わぬファンサービスに、彼女たちは大騒ぎだ。そんな女子たちに笑顔で手を振ると、呉宇軒ウーユーシュェンはバス乗り場に向かうために大急ぎで走り出した。


 眩しい日差しが降り注ぐ中、呉宇軒ウーユーシュェンは駆け足で大学構内にあるバス用の駐車場へ向かっていたが、途中で並んで歩くイーサンと仁雷レンレイを見つけて声をかけた。イーサンの輝く金髪は遠目からでもよく目立つ。

「俺も混ぜて!」

 のんびり歩いていた二人の間に飛び込むように割って入ると、彼らは振り返って不思議そうな顔をした。

「うるさいと思ったらお前か。そんなに走ってどうしたんだ?」

 息を切らせてやってきた彼に、イーサンがそう尋ねる。呉宇軒ウーユーシュェンは深呼吸して息を整えると、やけにのんびりしている二人にあれ?と首を傾げた。

「バス間に合わなかったら困ると思って。お前らこそ、随分ゆっくりだな」

 まだ集合時間までは余裕があるが、早く行くに越したことはないだろう。しかし、そんな彼に仁雷レンレイは笑って言った。

「お前偉いな。どうせ誰かしら遅れてくるぞ?」

 せっかくだから途中で昼飯を買って行こうと誘われ、呉宇軒ウーユーシュェンは喜んで頷いた。昼のうちに移動するので、彼もどこかで食べ物を買って行こうと思っていたのだ。

「何食べるんだ?」

「イーサンのために中国風ハンバーガーを食べさせてやろうと思ってな。ちょうどそこの建物にあるんだよ」

 仁雷レンレイの指す方を見ると、潼関肉夾饃トングァンロージャーモーというのぼりが出ていた。
 元は中西部にある西安市の名物だが、手軽さと美味しさであちこちに広まりつつある。バンズ部分がクロワッサンのように層になったパリパリの生地で、食感も楽しい一品だ。ただ、呉宇軒ウーユーシュェンは南部出身なので、まだ一度も食べたことがない。

「いいね! 俺も一回食べてみたかったんだ」

 美味しかったら李浩然リーハオランと一緒に行ってみようと思っていると、イーサンが意外そうな顔をして話に入ってきた。

「へえ、お前でも食べたことないものあるんだな」

「中国は広いからな。端から端まで食べ尽くす人なんて、それこそ玄薄シュェンバオ仙人くらいのもんだよ」

 人気ドラマ華侠かきょう仙神伝せんじんでんでは、主人公の一人の玄薄シュェンバオ仙人が文字通り食い倒れの旅をしている。しかし、それはあくまでフィクションで、一般の人が実際にやろうと思っても、金も時間も全く足りない。
 外に面した持ち帰り用の窓口で注文を済ませて待っていると、昼時で準備していたのか、思いの外早く出てくる。袋を受け取った三人は、バスの中でゆっくり食べることにして再び歩き出した。

「そうそう、俺の偽者事件にちょっと進展あったんだけど聞きたい?」

 道すがら、ちょうどいい雑談として話を切り出すと、仁雷レンレイが早速食い付いた。

「おっ、やっと進展あったのか。犯人は見つかりそうか?」

「犯人はまだだけど、また紙がばら撒かれてたっぽい。今浩然ハオランたちが女子から事情聞いてくれてるよ」

 それから彼は黄鈴沙ファンリンシァ王茗ワンミンから聞いた話をそっくりそのまま二人に話した。すると、彼らは初めて聞いたと驚いて、呉宇軒ウーユーシュェンの話に聞き入った。
 やはり密かに売られた例の紙は女子の間だけで出回っていて、仁雷レンレイやイーサンの耳には入っていないようだ。

「売った奴が犯人とは限らない、か。今日の晩には詳細が分かるといいな」

「お前いい奴だな!」

 普段はライバルとして何かと張り合ってくるイーサンが心配そうにそう言ったので、呉宇軒ウーユーシュェンは感激して彼を抱きしめた。腕を回してぎゅっとすると、彼は大慌てで暴れ出し、持っていた袋がブンブンと激しく揺れる。

「やめろやめろ、気色悪い! そういうことは李浩然リーハオランにやれ!」

 幸い彼が持っていたのは肉夾饃ロージャーモーの入った袋だったため、中身が飛び散る大惨事だけは免れる。呉宇軒ウーユーシュェンは嫌がる彼からさっと離れると、久しぶりに幼馴染が泊まりにきてくれる嬉しい出来事を彼に話した。

浩然ハオランといえば、あいつ今日泊まってくれるんだって!」

 そう言った後で、彼は前にイーサンに頼んだ盗み見の件を思い出す。

「そういえば、お前が前に見てくれた海老の字の正体が分かったぞ」

 あの時はさっぱり意味が分からなかったが、昨日黄鈴沙ファンリンシァと話してやっと判明したのだ。
 彼女から聞いた海老蒸し餃子の話を伝えると、イーサンはしかめっ面をして呉宇軒ウーユーシュェンの背中をどつく。

「ほらみろ! 僕の見間違いじゃなかっただろ!」

「悪かったって、そんなに怒るなよ」

 結構な力でどつかれたので、背中がジンジンした。
 イーサンはしばらくぶつぶつと文句を言っていたが、ふと彼の携帯が着信を告げる。画面を見たイーサンは僅かに眉をひそめ、それから何故か呉宇軒ウーユーシュェンになんとも言えない視線を向けた。

「どうした?」

「いや、李浩然リーハオランからみんなで夕飯食べようって」

「いいじゃん! 浩然ハオラン特製の海老蒸し餃子が食べられるかもしれないぞ? あいつこっそり練習してたっぽいし」

 やっと幼馴染と夕飯を共にできる喜びでご機嫌な呉宇軒ウーユーシュェンに、イーサンは冷めた視線を向ける。少し前まで寂しい寂しいと騒いでたくせに、手のひらを返したようにご機嫌になった彼に呆れているのだ。
 バス用の駐車場は近くにあったらしく、雑談をしているとあっという間に到着する。まばらに車が止まる駐車場には、仁雷レンレイの言っていたように半分しか参加者が集まっていなかった。
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