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夜明けのうたごえ
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雲ひとつない紺に近い濃い青の空を、雪を被り白刃のように輝く峻厳な峰々が囲んでいる。
空に向かって切り立った崖の上から双眼鏡で下を覗くと、無数のテントの群れが山の中腹に散らばっていた。
マウラカ人の遊牧民の使う黒いテントではなく、シャイナの軍用の深緑色のそれだ。
俺は双眼鏡を下ろし、風でまといつく長い髪を背中の後ろに払った。
――俺とオルファンがミシディアから帰ってから、既に二年の月日が流れている。
マウラカ人の習慣に合わせて暮らすうちに、自然に髪が腰まで伸びていた。
服も、最早軍服や洋服を着ることは無い。
身につけているのは、高襟で、所々をくるみボタンで留めて着るように出来ているマウラカのジャケットとズボン、ブーツ、そして片肌脱ぎにした毛皮のコート……そして、かつてオルファンがヴァランカとして使っていた、顔の上半分を覆う鬼面を付けている。
かつての俺の顔を知る人間に、素性が知れるのを避ける為だった。
……肌が白いことで最初は怪しまれていたが、最近は都合良く、俺のことを神の使いだと勘違いしてくれる者が敵にも味方にも一定数いる。
自然と俺の新しい名前が決まった。
ヴァランカ・セト――白いヴァランカと。
最早、イアン・ハリスの名で俺を呼ぶ者はいない。
二人きりの時の、オルファンを除いては。
「ヴァランカ・セト。……そろそろ戻りましょう。オルファンが報告を待っています」
背後から話しかけてきたのは、美しい少年に成長したキリムだった。
まだ華奢だが、背丈はもう俺と殆ど変わらない。
月藍石を編み込んだ長く黒い髪と、赤と黒の文様の入った衣を片肌ぬぎにした姿で、影のようにそばに控えていた。
「ああ、行こう」
分厚いコートを翻して振り向く。
強い風に髪を靡かせながら、待たせていた葦毛の馬に跨った。
荒地を吹く風は乾いていて冷たい。
この厳しい神々の土地は、それゆえに未だにシャイナを退けていた。
オルファンが二年前、オルファン・ロカとしてこの地に帰った時に、帝国とシャイナの軍の衝突は既に始まっていた。
偽のヴァランカに騙され、また、帝国への憎悪から敢えてシャイナの軍に降った一族も多く、マウラカ人は完全に結束を失い、この国の命は大国の間で風前の灯となる所だった。
オルファンは敢えて総督府に文書を送り、自らの自由と引き換えに、マウラカの全ての族長の元を回り、偽物のヴァランカと繋がっている者に対しては、手を切るよう説得すると申し出た。
マウラカ人がこれ以上シャイナに取り込まれるのを防ぐ為には、長年各地の族長達と連絡を取り、信頼関係を築いてきたオルファン・ロカに頼るほかない――。
ミシディアで大規模な抵抗運動が始まり、新たな軍の派兵も難しくなっていた帝国側は、オルファンの逮捕を諦め、彼を利用する方向に舵を切るしかなかった。
そして一年近くを掛け、彼は族長達の間を回り、その大部分の意見を統一した上で、その盟主として帝国側に対し二つの宣言を突きつけた。
英雄ヴァランカを名乗るものを先頭に立て、マウラカの属国化を図るシャイナに対し、断固として戦うこと。
そして、シャイナを完全に掃討することができた暁には、この土地でマウラカ人による自治を行うこと。
シャールクの自治運動がますます隆盛している中、既にミシディアのことで手一杯の状態にあった帝国側には、最早選択肢が無かった。
マウラカの産出物がただの宝石で、いわゆる軍需品でなかったことも幸いした。
もう、オルファンが復讐の英雄になることはない。
呪いは解けたのだ。
――そして、今。
キリムと共にオルファンが拠点とする集落に戻った俺は、彼の寝起きする集落の中央の黒いテントに向かった。
入り口の布を持ち上げて潜ると、オルファンは丁度、若いマウラカの族長達を数人集め、会議をしている所だった。
俺と同じく刺繍で飾った衣を纏い、毛皮のコートを片肌脱ぎにして、髪は根元から先までをしっかりと編み込んでいる。
はっきりとした顔立ちに、マウラカの伝統的な戦化粧を施した姿は、彼本来の美しさが際立ち、ゾクリとするほどだ。
「ヴァランカ・セト」
その唇に名を呼ばれ、黒い毛皮の敷物の上に跪く。
「偽のヴァランカの拠点は見つかったか」
「――ああ。読み通り、奴らはターラ山の東側……渓谷に近い場所に隠れている」
「ご苦労だった。しばらく下がって休んでいろ」
赤銅色の肌をした青年達が、怪訝そうな顔で俺の方を見た。
今では現地人と殆ど遜色のない言葉を話せるが、物々しい仮面をしている上、肌も髪の色も、どう見ても彼らとは違う。
俺の素性は味方にも殆ど明かされていないから、無理からぬことだろう。
戦場では目立ちすぎて銃弾が集まるので、普段は身軽なキリムと共に殆ど単独で動き、斥候や物陰に隠れての狙撃が主な役割になっていた。
俺の寝起きするテントも、集落の他のテントからは大分距離の離れた場所にあり、オルファンとキリム以外はその所在を知らない。
……だが、俺の住まいにオルファンが訪ねて来たことは一度もなかった。
身体の関係は、この地に帰ってからは絶えて無かった。
もしかしたら、俺が言葉にしてねだれば彼は抱いてくれたのかも知れない。
けれど――彼と共にマウラカの数々の族長の元を訪ねる内に、そんなことを言い出すことは出来ない状況になっていた。
「……ヴァランカ・セト様」
キリムと別れ、一人で自分のテントに帰る途中で、黒髪を月藍石の飾りで結い上げた、たおやかな若い娘が俺に声を掛けてきた。
「どうかオルファン様をお守りください」
美しい娘が膝を下り、俺に向かって両の手を合わせる。
彼女は、オルファンの身の回りの世話をする為に、東の山を拠点とする一族から送られてきた女性だった。
――族長の娘であるその女性が、何のために送られてきたかは明白だ。
元々、マウラカ人は結婚が早い。
オルファンは例外的に身を固めて居なかっただけで、少年のキリムですら、既に年上の女を妻に迎えていた。
族長達がオルファンの配偶者のことをしきりに話題にするのも、今までそばで何度も見ている。
なぜ、年頃の娘を迎えないのかと。
俺は女を愛することは出来ないが、オルファンはそうではない。
その上今や、彼の体も人格も、もう彼一人のものではないということを、痛いほど俺は理解している。
マウラカの将来の為にも、結束を象徴する結婚は必要だ。
……何より、彼には幸せな家族を取り戻す権利がある。
俺は娘の両手を包むようにして触れ、立ち上がらせた。
「私がいる限り、彼を守る」
娘は頬を赤らめ、花の蕾の綻ぶような笑顔を見せた。
彼女はきっと、心からオルファンを愛しているのだろう。
そっと手を離してすぐに彼女と別れ、馬に乗った。
しばらく草原を走ると、ぽつんと離れた場所に自分の寝ぐらの黒いテントが見えてくる。
入り口の布をめくると、火の気のない、乱雑に物の置かれた我が家が目に入ってきた。
中に入って仮面を取り、地面に突き刺した木の杭に引っ掛ける。
手入れしたまま放っていた銃や、食料の入った麻袋などを避けて奥へ進み、ストーブの蓋を開け、あぐらをかきながら火を起こした。
炎に照らされ、守り神から素顔の自分に戻る、一人きりの静謐な時間。
寂しさが無いわけではないが、穏やかで安心する。
ここに居る間は、この世の誰とも違う俺の身体を、誰かに暴かれる心配もない。
大麦の粉の入った袋を開けて、それを手のひらに取り、ストーブで温めた茶に混ぜて練り、腹を満たす。
毎日代わり映えがないが、慣れれば美味いし別段苦ではない。
食事を終えると、夜に起きて見張りをする為に、俺は毛皮の敷かれた寝床に横になった。
目を閉じ、先刻見たオルファンの真剣な横顔を思い出して微笑む。
眠りに落ちかけながら、ふと考えた。
最近たびたび、俺という存在が消えて、ヴァランカ・セトという人格の中に飲み込まれていくような感覚がある。
オルファンもヴァランカでいた時に、こんな感覚を味わったのだろうか。
これも新しいヴァランカの呪いで、俺は魂の全てをこの国の為に費やし、最後には白く燃え尽きて消えていくのかもしれない。
未だ解くことのできない、この身体の呪いを負ったまま。
そうなるのなら、それでもいいと思う。
自分の選んだことだし、……オルファンを愛するのと同じくらい、俺はこの土地の雄大な大地と、空とを愛している。
安らかな気持で目を閉じると、いつの間にか意識を失い、深い眠りに落ちた。
空に向かって切り立った崖の上から双眼鏡で下を覗くと、無数のテントの群れが山の中腹に散らばっていた。
マウラカ人の遊牧民の使う黒いテントではなく、シャイナの軍用の深緑色のそれだ。
俺は双眼鏡を下ろし、風でまといつく長い髪を背中の後ろに払った。
――俺とオルファンがミシディアから帰ってから、既に二年の月日が流れている。
マウラカ人の習慣に合わせて暮らすうちに、自然に髪が腰まで伸びていた。
服も、最早軍服や洋服を着ることは無い。
身につけているのは、高襟で、所々をくるみボタンで留めて着るように出来ているマウラカのジャケットとズボン、ブーツ、そして片肌脱ぎにした毛皮のコート……そして、かつてオルファンがヴァランカとして使っていた、顔の上半分を覆う鬼面を付けている。
かつての俺の顔を知る人間に、素性が知れるのを避ける為だった。
……肌が白いことで最初は怪しまれていたが、最近は都合良く、俺のことを神の使いだと勘違いしてくれる者が敵にも味方にも一定数いる。
自然と俺の新しい名前が決まった。
ヴァランカ・セト――白いヴァランカと。
最早、イアン・ハリスの名で俺を呼ぶ者はいない。
二人きりの時の、オルファンを除いては。
「ヴァランカ・セト。……そろそろ戻りましょう。オルファンが報告を待っています」
背後から話しかけてきたのは、美しい少年に成長したキリムだった。
まだ華奢だが、背丈はもう俺と殆ど変わらない。
月藍石を編み込んだ長く黒い髪と、赤と黒の文様の入った衣を片肌ぬぎにした姿で、影のようにそばに控えていた。
「ああ、行こう」
分厚いコートを翻して振り向く。
強い風に髪を靡かせながら、待たせていた葦毛の馬に跨った。
荒地を吹く風は乾いていて冷たい。
この厳しい神々の土地は、それゆえに未だにシャイナを退けていた。
オルファンが二年前、オルファン・ロカとしてこの地に帰った時に、帝国とシャイナの軍の衝突は既に始まっていた。
偽のヴァランカに騙され、また、帝国への憎悪から敢えてシャイナの軍に降った一族も多く、マウラカ人は完全に結束を失い、この国の命は大国の間で風前の灯となる所だった。
オルファンは敢えて総督府に文書を送り、自らの自由と引き換えに、マウラカの全ての族長の元を回り、偽物のヴァランカと繋がっている者に対しては、手を切るよう説得すると申し出た。
マウラカ人がこれ以上シャイナに取り込まれるのを防ぐ為には、長年各地の族長達と連絡を取り、信頼関係を築いてきたオルファン・ロカに頼るほかない――。
ミシディアで大規模な抵抗運動が始まり、新たな軍の派兵も難しくなっていた帝国側は、オルファンの逮捕を諦め、彼を利用する方向に舵を切るしかなかった。
そして一年近くを掛け、彼は族長達の間を回り、その大部分の意見を統一した上で、その盟主として帝国側に対し二つの宣言を突きつけた。
英雄ヴァランカを名乗るものを先頭に立て、マウラカの属国化を図るシャイナに対し、断固として戦うこと。
そして、シャイナを完全に掃討することができた暁には、この土地でマウラカ人による自治を行うこと。
シャールクの自治運動がますます隆盛している中、既にミシディアのことで手一杯の状態にあった帝国側には、最早選択肢が無かった。
マウラカの産出物がただの宝石で、いわゆる軍需品でなかったことも幸いした。
もう、オルファンが復讐の英雄になることはない。
呪いは解けたのだ。
――そして、今。
キリムと共にオルファンが拠点とする集落に戻った俺は、彼の寝起きする集落の中央の黒いテントに向かった。
入り口の布を持ち上げて潜ると、オルファンは丁度、若いマウラカの族長達を数人集め、会議をしている所だった。
俺と同じく刺繍で飾った衣を纏い、毛皮のコートを片肌脱ぎにして、髪は根元から先までをしっかりと編み込んでいる。
はっきりとした顔立ちに、マウラカの伝統的な戦化粧を施した姿は、彼本来の美しさが際立ち、ゾクリとするほどだ。
「ヴァランカ・セト」
その唇に名を呼ばれ、黒い毛皮の敷物の上に跪く。
「偽のヴァランカの拠点は見つかったか」
「――ああ。読み通り、奴らはターラ山の東側……渓谷に近い場所に隠れている」
「ご苦労だった。しばらく下がって休んでいろ」
赤銅色の肌をした青年達が、怪訝そうな顔で俺の方を見た。
今では現地人と殆ど遜色のない言葉を話せるが、物々しい仮面をしている上、肌も髪の色も、どう見ても彼らとは違う。
俺の素性は味方にも殆ど明かされていないから、無理からぬことだろう。
戦場では目立ちすぎて銃弾が集まるので、普段は身軽なキリムと共に殆ど単独で動き、斥候や物陰に隠れての狙撃が主な役割になっていた。
俺の寝起きするテントも、集落の他のテントからは大分距離の離れた場所にあり、オルファンとキリム以外はその所在を知らない。
……だが、俺の住まいにオルファンが訪ねて来たことは一度もなかった。
身体の関係は、この地に帰ってからは絶えて無かった。
もしかしたら、俺が言葉にしてねだれば彼は抱いてくれたのかも知れない。
けれど――彼と共にマウラカの数々の族長の元を訪ねる内に、そんなことを言い出すことは出来ない状況になっていた。
「……ヴァランカ・セト様」
キリムと別れ、一人で自分のテントに帰る途中で、黒髪を月藍石の飾りで結い上げた、たおやかな若い娘が俺に声を掛けてきた。
「どうかオルファン様をお守りください」
美しい娘が膝を下り、俺に向かって両の手を合わせる。
彼女は、オルファンの身の回りの世話をする為に、東の山を拠点とする一族から送られてきた女性だった。
――族長の娘であるその女性が、何のために送られてきたかは明白だ。
元々、マウラカ人は結婚が早い。
オルファンは例外的に身を固めて居なかっただけで、少年のキリムですら、既に年上の女を妻に迎えていた。
族長達がオルファンの配偶者のことをしきりに話題にするのも、今までそばで何度も見ている。
なぜ、年頃の娘を迎えないのかと。
俺は女を愛することは出来ないが、オルファンはそうではない。
その上今や、彼の体も人格も、もう彼一人のものではないということを、痛いほど俺は理解している。
マウラカの将来の為にも、結束を象徴する結婚は必要だ。
……何より、彼には幸せな家族を取り戻す権利がある。
俺は娘の両手を包むようにして触れ、立ち上がらせた。
「私がいる限り、彼を守る」
娘は頬を赤らめ、花の蕾の綻ぶような笑顔を見せた。
彼女はきっと、心からオルファンを愛しているのだろう。
そっと手を離してすぐに彼女と別れ、馬に乗った。
しばらく草原を走ると、ぽつんと離れた場所に自分の寝ぐらの黒いテントが見えてくる。
入り口の布をめくると、火の気のない、乱雑に物の置かれた我が家が目に入ってきた。
中に入って仮面を取り、地面に突き刺した木の杭に引っ掛ける。
手入れしたまま放っていた銃や、食料の入った麻袋などを避けて奥へ進み、ストーブの蓋を開け、あぐらをかきながら火を起こした。
炎に照らされ、守り神から素顔の自分に戻る、一人きりの静謐な時間。
寂しさが無いわけではないが、穏やかで安心する。
ここに居る間は、この世の誰とも違う俺の身体を、誰かに暴かれる心配もない。
大麦の粉の入った袋を開けて、それを手のひらに取り、ストーブで温めた茶に混ぜて練り、腹を満たす。
毎日代わり映えがないが、慣れれば美味いし別段苦ではない。
食事を終えると、夜に起きて見張りをする為に、俺は毛皮の敷かれた寝床に横になった。
目を閉じ、先刻見たオルファンの真剣な横顔を思い出して微笑む。
眠りに落ちかけながら、ふと考えた。
最近たびたび、俺という存在が消えて、ヴァランカ・セトという人格の中に飲み込まれていくような感覚がある。
オルファンもヴァランカでいた時に、こんな感覚を味わったのだろうか。
これも新しいヴァランカの呪いで、俺は魂の全てをこの国の為に費やし、最後には白く燃え尽きて消えていくのかもしれない。
未だ解くことのできない、この身体の呪いを負ったまま。
そうなるのなら、それでもいいと思う。
自分の選んだことだし、……オルファンを愛するのと同じくらい、俺はこの土地の雄大な大地と、空とを愛している。
安らかな気持で目を閉じると、いつの間にか意識を失い、深い眠りに落ちた。
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