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開幕前――リュウの人生一発逆転計画
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俺の名はリュウ。
君らも住んでる現代世界の日本から転生し、この世界に来た。
この世界での俺の身分は、生まれた時からずっと『奴隷』。
――だが、俺はいつまでも奴隷の身に甘んじているつもりはないぜ!
なんとつい最近、この世界の重大な秘密に気付いてしまったからな。
……ってなことはとりあえず後にして。
俺の今、生きている、いわゆる「異世界」なんだけど……。
世界観的には、二百年くらい前のアジアによく似ている。
テクノロジーはまだ発達しておらず、車も飛行機もなく、一つの広い広い大陸で、大部分の人々は、厳しい自然と向かい合い、畑や田んぼを耕し、あるいは家畜を飼って暮らしている。
一握りの王族、貴族、それに商人達は都市で暮らしていて、貧富の差は無限大。
そんな大陸の殆どを占めるのは、多民族国家の大国「トゥーラン」。大昔の中国によく似た帝国だ。
人々の着ている服や髪型は、国や民族によって結構異なる。
トゥーランの男性は、チャイナドレスを寸胴にしたみたいな襟高の長袍を着て、髪型は、長く伸ばして三つ編みにするのが主流。
弁髪に似てるけど、この世界は文化が緩めで、頭の前半分を全部剃り落とす、みたいなことはないみたいだ。
俺みたいな北方出身の民族だと、馬に乗りやすいよう、左前の上衣にズボンを穿き、ベルトを締めた胡服を着ている。
北の人々の髪型はわりと自由だ。
伸ばしっぱなしとか、俺みたいにポニーテールにしてたり。
国の話に戻ると、トゥーランの周辺には、トゥーランの皇帝を盟主とする、七王家と呼ばれる王族が治める国がある。
トゥーランを含めた八つの王家は、昔からの濃い姻戚関係があり、女の子しか生まれなかったり後継が絶えると、他の王家が皇統を継いで、新しい王朝になることもあるらしい。
名前は覚える必要ないけど、七王家の治める国は、北方のダッタン、ソロン。
西のペルーサ、サマルカン。
南のヴァンラン、シュリ、ヴェーダ。
その一つ、北のダッタン国に奴隷として生まれた俺は、物心がつきだした頃、自分の前世を思い出した。
――生まれる前の俺は、このクラシカルな世界にはいなかったってことを。
召使でもなければ、奴隷でもない。
日本の、自由で平凡な、十六歳の男子だったんだ。
名前は伊勢崎龍
甲子園に何度も行っている野球の強豪高校の硬式野球部に所属する、坊主頭でガタイのいい野球部員。
そんな俺は、休み時間に友達同士、教室でふざけていた時に、うっかり窓から落ちて死んだらしい。
――高校一年時、男子校の校舎からの転落事故。
甲子園とレギュラー目指して野球一筋、彼女がいたこともなければ、女の子とキスすらしたことないまま。
普通の異世界転生なら、神様が憐んでくれて、チート能力だの、ハーレムだの、女の子とエッチなことをしてレベルが上がる式のダンジョンだの、望みの後世を恵んでくれそうなものだ。
ところが神様は俺を憐れむどころか、ビシバシと鞭打った。
生まれ変わった俺に与えられたチート能力は、「前世よりも見た目がまあまあ、いい」。
しかも、3年神様、2年凡人、1年奴隷と言われる高校野球で奴隷のまま死んだ俺が奴隷に生まれ変わるって、どんなギャグだ。
両親ははやり病でさっさと死ぬしで、チートどころかむしろマイナス・スタート。
そんな俺に残されたのは、この、お調子者で「まあ、なんとかなるさ」な楽観的な性格と、野球部の鬼の監督・悪魔の先輩に鍛えられて培った「ド根性」、そしてどんな試練にも耐えるドM体質だった。
とはいえ、せっかく前世の記憶もあることだし、この人生をただの奴隷では終わりたくない。
たまたま前世と同じ「リュウ」と名付けられた俺は、小さな頃から、仕えている家の息子の授業を盗み聞きして、こっそり文字を勉強した。
書物を盗み読んで、体も鍛え、見た目も態度も、奴隷臭くならないように一生懸命努力した。
お陰で成長した後は、まるでどこかの国の王子様のような美丈夫だと讃えられるようにもなったのだ。
出来る限り手入れした長い髪を頭の後ろで紐でくくり、颯爽と背筋を正して歩き、先輩……ならぬ、主人への気遣いも、礼儀正しい受け答えも完璧。
この努力と、体育会系で培ったコミュニケーション能力・鍛錬癖のお陰で、十代になったばかりの頃、俺はダッタン国の将軍の目に止まり、同じ奴隷でも最高ランクの「王宮の奴隷」になることが出来た。
そこからは、とんとん拍子の出世だ。
15歳になる頃、なんと俺は王様のそば近くに仕える召使にまでなった。
しかし、これで人生安泰かと思いきや、そうは問屋がおろさない。
俺が城で王様の召使になったのはほんの束の間。
悲しいことに、ダッタン国はトゥーランおよび七王家とは文化圏を異にする極北の大国、ロサとの戦争に敗れ、国ごと滅びたのだ。
王宮に大軍が攻め込んできて、王様の家来だった偉い人達は、全員命からがら、国境を越え、南のトゥーランへ逃げ出した。
後に残ったのは、高齢で身体も目も悪くなったヨボヨボの元・王様と、その世話をしていた、召使いの俺だけ。
王様の息子である王子すら、はぐれて、現在は行方不明。
余りにも可哀想なひとりぼっちの王様を、俺は見捨てられなかった。
だって俺、前世で、じいちゃん子だったんだもん。
しかも、俺を見初めて自分の召使にしてくれた、優しい爺さんなんだ。
まあ、優しすぎて、ちょっと、国を運営する能力が足りなかったんだけど……。
不可侵条約を結んでたはずのロサに裏切られ、盟主であるはずのトゥーラン、他の七王家は無視して助けてくれず――爺さんと俺も、国を離れた。
それからまるまる9年、大国トゥーランを西へ、東へ、俺は放浪したのだ。
街から、街へ。
主な稼ぎの手段は、目の見えない爺さんを隣に立たせての街頭での物乞いと(爺さんは腐っても王様だから、自分はダンマリだ)、俺の肉体労働。それでも足りない時は、綺麗な顔と身体、若さに恵まれた俺の、売春だ。
前世で俺の通ってた某野球の名門高校は、野球部員全員寮住まいが鉄則で。
あの、どこの野球部もそんな事案があるとは絶対思われたくないんだけど……今時、スマホもテレビも取り上げられるっていう地獄の寮生活のせいで、性欲処理に困ったヤバい先輩に、無理やり、アレをしゃぶらされたりなんてことがあった。
なのでまあ、そこまで抵抗はないというか、生きるためなら、仕方なく?
ちなみに、口は使っても尻を貸したことはない。そこは今でも自慢できる、ピカピカの童貞処女だ。
――そして、そんな極貧生活の末だった。
俺が、この世界の秘密を知ったのは。
それはトゥーラン国の、世にも恐ろしい姫君の噂を聞いた時だった。
俺は、この世界が、前世で知ったある物語にそっくりだということに気づいた――。
その名は『トゥーランドット』。
中学の時に音楽の授業で、アマチュアオペラ歌手の音楽教師に無理やりDVDを見させられた、イタリアオペラ劇だ。
主人公は、国を失った放浪の王子。
ヒロインは、自分に求婚する他国の王子達に謎に挑戦させ、間違ったら殺すっていう、氷のような冷たい心を持つ昔のお姫様。
その二人の、恋物語だ。
出てくる登場人物、状況……。
全てがあの物語に符合している。
そして俺のトゥーランドットおける役どころは……「主人公の王子に片想いを募らせた挙句、何一つ報われず、彼を守る為に自らの命を犠牲にして死ぬ、召使の娘・リュウ」だった。
氷のように冷たいドSのお姫様は、当て馬の俺が愛のため、王子を守って自ら死ぬのを見て動揺する。
で、その後、主人公のカラフ王子にチューされて、コロっと落ちる。
リュウは死んだけど、王子と姫は愛で結ばれて、めでたし、めでたしというストーリーだ(詳しくはウィキ○ディアでも検索して見てくれ)。
しかし、なんだその無理のある設定。
特にリュウ。嘘だろ。
悪役令嬢なら途中で死ぬのは分かるけど、なんでなんの罪もないリュウがそこで死ぬ?
いくら俺がM入っててもそれはないぞ。
そもそも、俺は女じゃないし。顔は多少整っちゃいるが、チンコついてるし。
俺が片思いするという、主人公であるカラフ王子との接点は、王宮で一回、遠距離から見かけたことがあるくらいだ。
物語の中の王宮奴隷の召使「リュウ」は、そのたった一度見かけただけの相手が、自分に微笑んでくれた、それだけで熱く激しい恋をしてしまう。
ところが、この世界で「リュウ」として生まれた俺は、そんなに思い込み激しくないし、ハッキリ言って男にも興味がない。
確かに、目があった時にニコッとされたことはあるけど、流石にそれだけで、男になんか惚れねーよ。
そんな好きでもない主人公の為に、身体を張って死ぬなんて、俺は断じてごめんだ。
――けれどもしも、万が一。
トゥーランドットの物語の通り、主人公の「ダッタンの王子カラフ」と、「トゥーランの氷のような心の姫」が出会って、恋をしてしまったら……?
この物語は、残酷なハッピーエンドに向けて動き出してしまうかもしれない。
召使・リュウはもちろん、犠牲になって死ぬ方向へ行くことになる。
主人公の父親である、盲目の爺さんの面倒を9年も見てきた苦労人の俺、またも奴隷のまま虚しく散る……。
……いやいや!
今世でもそんなことになってたまるか!!
そもそも、この物語をこれから読もうとしてるそこの君だって、貧乏で健気なヒロイン(俺のことだ)が、老人介護と物乞いとフェラだけで人生が終わるのはどうかと思うだろ?
俺も納得がいかないよ。
幸い、俺は前世の記憶で、この物語の筋書きがどうなっていくのか、既に知っている。
――まずは、この都で始まるはずの「王子と姫の恋」を阻止して、俺の死亡フラグを折るつもりだ。
さらに――俺の計画は、それだけに止まらない。
王子の代わりに、俺がトゥーランのお姫様と恋に落ちて、玉の輿に乗ってみせる!
そんな訳で、俺の野望「異世界・人生一発逆転計画」、始まり始まりだ。
君らも住んでる現代世界の日本から転生し、この世界に来た。
この世界での俺の身分は、生まれた時からずっと『奴隷』。
――だが、俺はいつまでも奴隷の身に甘んじているつもりはないぜ!
なんとつい最近、この世界の重大な秘密に気付いてしまったからな。
……ってなことはとりあえず後にして。
俺の今、生きている、いわゆる「異世界」なんだけど……。
世界観的には、二百年くらい前のアジアによく似ている。
テクノロジーはまだ発達しておらず、車も飛行機もなく、一つの広い広い大陸で、大部分の人々は、厳しい自然と向かい合い、畑や田んぼを耕し、あるいは家畜を飼って暮らしている。
一握りの王族、貴族、それに商人達は都市で暮らしていて、貧富の差は無限大。
そんな大陸の殆どを占めるのは、多民族国家の大国「トゥーラン」。大昔の中国によく似た帝国だ。
人々の着ている服や髪型は、国や民族によって結構異なる。
トゥーランの男性は、チャイナドレスを寸胴にしたみたいな襟高の長袍を着て、髪型は、長く伸ばして三つ編みにするのが主流。
弁髪に似てるけど、この世界は文化が緩めで、頭の前半分を全部剃り落とす、みたいなことはないみたいだ。
俺みたいな北方出身の民族だと、馬に乗りやすいよう、左前の上衣にズボンを穿き、ベルトを締めた胡服を着ている。
北の人々の髪型はわりと自由だ。
伸ばしっぱなしとか、俺みたいにポニーテールにしてたり。
国の話に戻ると、トゥーランの周辺には、トゥーランの皇帝を盟主とする、七王家と呼ばれる王族が治める国がある。
トゥーランを含めた八つの王家は、昔からの濃い姻戚関係があり、女の子しか生まれなかったり後継が絶えると、他の王家が皇統を継いで、新しい王朝になることもあるらしい。
名前は覚える必要ないけど、七王家の治める国は、北方のダッタン、ソロン。
西のペルーサ、サマルカン。
南のヴァンラン、シュリ、ヴェーダ。
その一つ、北のダッタン国に奴隷として生まれた俺は、物心がつきだした頃、自分の前世を思い出した。
――生まれる前の俺は、このクラシカルな世界にはいなかったってことを。
召使でもなければ、奴隷でもない。
日本の、自由で平凡な、十六歳の男子だったんだ。
名前は伊勢崎龍
甲子園に何度も行っている野球の強豪高校の硬式野球部に所属する、坊主頭でガタイのいい野球部員。
そんな俺は、休み時間に友達同士、教室でふざけていた時に、うっかり窓から落ちて死んだらしい。
――高校一年時、男子校の校舎からの転落事故。
甲子園とレギュラー目指して野球一筋、彼女がいたこともなければ、女の子とキスすらしたことないまま。
普通の異世界転生なら、神様が憐んでくれて、チート能力だの、ハーレムだの、女の子とエッチなことをしてレベルが上がる式のダンジョンだの、望みの後世を恵んでくれそうなものだ。
ところが神様は俺を憐れむどころか、ビシバシと鞭打った。
生まれ変わった俺に与えられたチート能力は、「前世よりも見た目がまあまあ、いい」。
しかも、3年神様、2年凡人、1年奴隷と言われる高校野球で奴隷のまま死んだ俺が奴隷に生まれ変わるって、どんなギャグだ。
両親ははやり病でさっさと死ぬしで、チートどころかむしろマイナス・スタート。
そんな俺に残されたのは、この、お調子者で「まあ、なんとかなるさ」な楽観的な性格と、野球部の鬼の監督・悪魔の先輩に鍛えられて培った「ド根性」、そしてどんな試練にも耐えるドM体質だった。
とはいえ、せっかく前世の記憶もあることだし、この人生をただの奴隷では終わりたくない。
たまたま前世と同じ「リュウ」と名付けられた俺は、小さな頃から、仕えている家の息子の授業を盗み聞きして、こっそり文字を勉強した。
書物を盗み読んで、体も鍛え、見た目も態度も、奴隷臭くならないように一生懸命努力した。
お陰で成長した後は、まるでどこかの国の王子様のような美丈夫だと讃えられるようにもなったのだ。
出来る限り手入れした長い髪を頭の後ろで紐でくくり、颯爽と背筋を正して歩き、先輩……ならぬ、主人への気遣いも、礼儀正しい受け答えも完璧。
この努力と、体育会系で培ったコミュニケーション能力・鍛錬癖のお陰で、十代になったばかりの頃、俺はダッタン国の将軍の目に止まり、同じ奴隷でも最高ランクの「王宮の奴隷」になることが出来た。
そこからは、とんとん拍子の出世だ。
15歳になる頃、なんと俺は王様のそば近くに仕える召使にまでなった。
しかし、これで人生安泰かと思いきや、そうは問屋がおろさない。
俺が城で王様の召使になったのはほんの束の間。
悲しいことに、ダッタン国はトゥーランおよび七王家とは文化圏を異にする極北の大国、ロサとの戦争に敗れ、国ごと滅びたのだ。
王宮に大軍が攻め込んできて、王様の家来だった偉い人達は、全員命からがら、国境を越え、南のトゥーランへ逃げ出した。
後に残ったのは、高齢で身体も目も悪くなったヨボヨボの元・王様と、その世話をしていた、召使いの俺だけ。
王様の息子である王子すら、はぐれて、現在は行方不明。
余りにも可哀想なひとりぼっちの王様を、俺は見捨てられなかった。
だって俺、前世で、じいちゃん子だったんだもん。
しかも、俺を見初めて自分の召使にしてくれた、優しい爺さんなんだ。
まあ、優しすぎて、ちょっと、国を運営する能力が足りなかったんだけど……。
不可侵条約を結んでたはずのロサに裏切られ、盟主であるはずのトゥーラン、他の七王家は無視して助けてくれず――爺さんと俺も、国を離れた。
それからまるまる9年、大国トゥーランを西へ、東へ、俺は放浪したのだ。
街から、街へ。
主な稼ぎの手段は、目の見えない爺さんを隣に立たせての街頭での物乞いと(爺さんは腐っても王様だから、自分はダンマリだ)、俺の肉体労働。それでも足りない時は、綺麗な顔と身体、若さに恵まれた俺の、売春だ。
前世で俺の通ってた某野球の名門高校は、野球部員全員寮住まいが鉄則で。
あの、どこの野球部もそんな事案があるとは絶対思われたくないんだけど……今時、スマホもテレビも取り上げられるっていう地獄の寮生活のせいで、性欲処理に困ったヤバい先輩に、無理やり、アレをしゃぶらされたりなんてことがあった。
なのでまあ、そこまで抵抗はないというか、生きるためなら、仕方なく?
ちなみに、口は使っても尻を貸したことはない。そこは今でも自慢できる、ピカピカの童貞処女だ。
――そして、そんな極貧生活の末だった。
俺が、この世界の秘密を知ったのは。
それはトゥーラン国の、世にも恐ろしい姫君の噂を聞いた時だった。
俺は、この世界が、前世で知ったある物語にそっくりだということに気づいた――。
その名は『トゥーランドット』。
中学の時に音楽の授業で、アマチュアオペラ歌手の音楽教師に無理やりDVDを見させられた、イタリアオペラ劇だ。
主人公は、国を失った放浪の王子。
ヒロインは、自分に求婚する他国の王子達に謎に挑戦させ、間違ったら殺すっていう、氷のような冷たい心を持つ昔のお姫様。
その二人の、恋物語だ。
出てくる登場人物、状況……。
全てがあの物語に符合している。
そして俺のトゥーランドットおける役どころは……「主人公の王子に片想いを募らせた挙句、何一つ報われず、彼を守る為に自らの命を犠牲にして死ぬ、召使の娘・リュウ」だった。
氷のように冷たいドSのお姫様は、当て馬の俺が愛のため、王子を守って自ら死ぬのを見て動揺する。
で、その後、主人公のカラフ王子にチューされて、コロっと落ちる。
リュウは死んだけど、王子と姫は愛で結ばれて、めでたし、めでたしというストーリーだ(詳しくはウィキ○ディアでも検索して見てくれ)。
しかし、なんだその無理のある設定。
特にリュウ。嘘だろ。
悪役令嬢なら途中で死ぬのは分かるけど、なんでなんの罪もないリュウがそこで死ぬ?
いくら俺がM入っててもそれはないぞ。
そもそも、俺は女じゃないし。顔は多少整っちゃいるが、チンコついてるし。
俺が片思いするという、主人公であるカラフ王子との接点は、王宮で一回、遠距離から見かけたことがあるくらいだ。
物語の中の王宮奴隷の召使「リュウ」は、そのたった一度見かけただけの相手が、自分に微笑んでくれた、それだけで熱く激しい恋をしてしまう。
ところが、この世界で「リュウ」として生まれた俺は、そんなに思い込み激しくないし、ハッキリ言って男にも興味がない。
確かに、目があった時にニコッとされたことはあるけど、流石にそれだけで、男になんか惚れねーよ。
そんな好きでもない主人公の為に、身体を張って死ぬなんて、俺は断じてごめんだ。
――けれどもしも、万が一。
トゥーランドットの物語の通り、主人公の「ダッタンの王子カラフ」と、「トゥーランの氷のような心の姫」が出会って、恋をしてしまったら……?
この物語は、残酷なハッピーエンドに向けて動き出してしまうかもしれない。
召使・リュウはもちろん、犠牲になって死ぬ方向へ行くことになる。
主人公の父親である、盲目の爺さんの面倒を9年も見てきた苦労人の俺、またも奴隷のまま虚しく散る……。
……いやいや!
今世でもそんなことになってたまるか!!
そもそも、この物語をこれから読もうとしてるそこの君だって、貧乏で健気なヒロイン(俺のことだ)が、老人介護と物乞いとフェラだけで人生が終わるのはどうかと思うだろ?
俺も納得がいかないよ。
幸い、俺は前世の記憶で、この物語の筋書きがどうなっていくのか、既に知っている。
――まずは、この都で始まるはずの「王子と姫の恋」を阻止して、俺の死亡フラグを折るつもりだ。
さらに――俺の計画は、それだけに止まらない。
王子の代わりに、俺がトゥーランのお姫様と恋に落ちて、玉の輿に乗ってみせる!
そんな訳で、俺の野望「異世界・人生一発逆転計画」、始まり始まりだ。
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