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番外ー新婚編
疑惑の食卓
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「蒼。こっちにおいで」
呼び掛けるが、ツーンと無視される。
多分、食べ物の匂いに反応してるに違いない。
「そろそろミルクの時間だからかな?」
呟くと、青磁が首を振った。
「さっき飲ませた」
「……ありがとう」
拍子抜けしながら、蒼を寝かしつける為にリビングの隣の洋室の引き戸を開けた。
「蒼。おいで」
ところが、蒼はちっともベビーゲートの前から動こうとしない。
そのうちに青磁の首から上が一瞬だけ虎顔になり、威嚇するように鋭く唸った。
「みゃっ……!」
蒼が全身の毛を逆立てて、脱兎のように俺の腕の中に飛び込んでくる。
「よしよし」
撫でるとブルブル震えていて、本気で怖がってるのが分かった。
「青磁。言葉で言えばいいだろ。まだ赤ちゃんなんだから」
思わず咎めると、青磁は料理する手を止めることもなく、淡々と言った。
「まだ人間になれないうちは言葉は通じない」
「……そうだったとしても、脅かすのは可哀想だ」
言い返したけど、今度は返事が返ってこなかった。
仕方なく、蒼を抱いたまま暗い洋室に向かう。
部屋には、蒼の為のおもちゃや、病院用のキャリーバッグ、またげる程度の敷居のついた低い寝床が置いてある。
足を踏み入れると、蒼は俺の胸の中から飛び降りて、すぐに自分の寝床の中に入り込み、横たわった。
部屋の明かりを暗くすると、蒼の綺麗な瞳だけがキラキラと光る。
……全然眠くないけど、俺のために大人しくしてくれてるらしい。
「俺には勿体無いくらい、いい子だなぁ、蒼は」
蒼の寝床の隣の床に添い寝するように横たわった。
蒼が眠りに落ちるのを待ちながら、さっきの青磁の顔を思い出して、胸が苦しくなる。
青磁は……ちょっと、蒼に冷たい。
その理由は聞かなくても分かるんだ。
彼は、犬の子供を欲しがってたから。
俺と結婚したら、子犬との生活を手に入れられる筈だったのに、俺が産んだのは自分と同じホワイトタイガーの子供で……。
言葉に出して言われたことは流石に無いけれど、残念がってるのは分かる。
だから、妊娠してるのが虎だって分かった時から、青磁と俺の間に生まれた微妙な空気が辛い。
俺の、気のせいかもしれないけど……。
でも現に、妊娠が分かってから今まで、なんか……青磁がよそよそしい。
……そもそも妊娠してから、してないしな。
ムラムラして俺から誘ったことは何回かあるけど、妊娠中は、青磁のトゲが刺激になって流産するかもしれないから、っていう理由で断られた。
産んだ後は……そういえば俺、赤ん坊育てるので精一杯で、誘ってないな……。
青磁からは全然来ない。
正直、凄く不安だった。
虎とか犬とかはともかく、そこはなんでなんだろう。
俺は絶対嫌だって言ったのに、『飼い犬の出産に立ち会うのは当たり前だ』とか言って、強引に俺の出産に立ち会ってきたくせに。
あの時、実は大いにドン引きしていたんじゃないだろうか。
あんまり記憶にないけど、痛過ぎて、相当青磁に当たり散らした気がするし……。
俺がもし逆の立場で、青磁が苦しみながら赤ん坊産むところなんて見たら、色んな意味で性的に立ち直れない気がするしなぁ……。
そもそも俺のオメガフェロモンも、最近サッパリ出てない気がする。
忙しすぎて忘れてたけど、産む前は勿論、産んだ後も、発情期がもうずっと来てないし。
俺達……もしかすると、世間で言う、「産後クライシス」ってやつに足を突っ込んでるのかも。
グルグル考えているうちに、蒼はもう眠りに落ちていた。
音を立てないようにそっと立ち上がり、とぼとぼとリビングダイニングへ戻る。
ダイニングスペースに置かれたテーブルの上には、一人分の夕食――塩鮭に筑前煮、水菜と浅利の味噌汁、切り干し大根の煮物が置かれていた。
……俺は好きだけど、青磁が普段は作らないようなメニューだ。
急に和食が食べたくなったのか?
どういう風の吹き回しなのかは分からないが、メチャクチャ疲れてるから、作ってもらえるのは正直、かなり有り難い……。
ありがとうと声をかけようとして、キッチンから青磁の姿が消えていることに気付いた。
「……青磁?」
呼んでも、家の中はシンと静まりかえっている。
いない……?
ご飯は温かそうだから、家を出たのはついさっきだろう。
ボンヤリしていると、背後のリビングスペースに置かれたガラステーブルの上で、俺のスマホのバイブが鳴った。
ソファを回り込むようにしてスマホを取りに行く。
画面に表示されていたのは全く知らない番号だった。
不審に思いながらも電話を取ると、ガヤガヤした背景の音とともに、青磁の声が聞こえてくる。
「呼び出されたんで、ちょっと出てくる。勝手に食べて、寝ててくれ」
「勝手にって……お前、飯は? て言うか、どこから電話かけてんだよ、何なんだこの番号」
「俺の分はもう食った。スマホ家に忘れたから、人から借りて電話したんだ。じゃあな」
「じゃあなって……こんな時間に出てって、いつ帰るん――」
喋っている途中で、ぶつっと電話は切れてしまった。
ため息をつきながら、スマホを食卓の上に移す。
大学の友達にでも呼び出されたんだろうか。
いや、うん、夕飯のことは有難いけど。
でも、久々にゆっくり一緒に食べられると思ったのに、寂しいな……。
残念に思いながらも、俺は一人で食卓につき、焼き鮭をつつき始めた。
青磁にしては珍しい献立だけど、味は普通に美味い。
もしかして、俺の好みに合わせてくれたのか……?
いや、あのマイペースな青磁がそんな訳ないか。
結婚前に泊まりにきた時、自分が食いたいって理由だけで、二日間三食全部レアステーキにしてたこともあるし。
流石に俺は途中離脱して別のもん食べてたけど、全く気にしてなかったと思う。
……半分くらい食べ終わったところで、胃に血が集まったのか、クラクラするほど眠くなってきた。
仕方なく、残り半分を大急ぎで食べる。
皿を運んで洗ってから、すぐに横になるのは良くないとは思いつつ、ソファの上に寝転んだ。
次のミルクの時間に起きられるかな、俺……。
さっさと風呂に入った方がいいのは分かるが、気力が出ない。
青磁、ほんとうに、誰と、どこに行ったんだろう。
同じ大学なのに校舎は違うから、青磁の交友関係がさっぱり分からない。
友達に紹介してもらったことも一度もないし。
結婚したのにな。
……そういうのも、寂しい。
結婚する前も後も、青磁のこと、さっぱりよくわからないままだ……。
ウトウトしていると、ブブっという音がして、身体にかすかな振動が伝わってきた。
あれ……?
俺、携帯、こっちに持ってきてたっけ?
不思議に思いながら身を捩ると、ソファの座面と背もたれの隙間に、俺のじゃないスマホが挟み込まれていた。
取り出してみると、それは、充電が5%になった青磁のスマートホンだ。
「こんなところに……」
青磁はスマホの扱いが昔から荒い。
電源切らしたまんまにしてることも多いし、家や、どこかに置いてくることもしょっちゅうだ。
こういうものに縛られたくない性格なのかもしれない。
……せめて、充電しといてやるか。
スマホを手に寝室に向かおうとして、ロック画面に映ったメッセージ通知に気づき、ハッと息を呑んだ。
送り主は「丹羽野玲央奈」――にわのれおな、と読むんだろうか。
どこかで聞いたことがあるような名前だ。
うっかりメッセージのプレビュー文面まで見てしまって、ヒッと息を呑んだ。
『昨日は青磁君と一緒に過ごせて、本当に楽しかった♡♡ また一緒に』
……。
…………。
昨日って……。確か青磁、まる一晩、帰ってこなかったよな。
青磁の専攻してる理工学部の応用化学科は、実験が夜遅くまでかかることもあるし、出席やレポートの提出義務も半端じゃないくらい厳しいらしくて、家の中じゃ蒼が邪魔して集中できないから、喫茶店にパソコン持ち出して行くことも結構あって……仕方ないなって……思ってたけど。
青磁、お前まさか……俺が子育てしてる間に、女の子と仲良く飯を食ってたのか……⁉︎
俺に断りもなく……⁉︎
いや、何をするにしても断りがないのはいつものことだが、もしかしたら飯を食う……以上のことも……してたかもしれない……!?
俺とつがいなんだから、浮気は出来ないはずだけど……でもわからない、試してみたことなんかないし。
今日珍しく早く帰ってきて、飯作ってくれたのは、まさか罪滅ぼしのため、か……⁉︎
呼び掛けるが、ツーンと無視される。
多分、食べ物の匂いに反応してるに違いない。
「そろそろミルクの時間だからかな?」
呟くと、青磁が首を振った。
「さっき飲ませた」
「……ありがとう」
拍子抜けしながら、蒼を寝かしつける為にリビングの隣の洋室の引き戸を開けた。
「蒼。おいで」
ところが、蒼はちっともベビーゲートの前から動こうとしない。
そのうちに青磁の首から上が一瞬だけ虎顔になり、威嚇するように鋭く唸った。
「みゃっ……!」
蒼が全身の毛を逆立てて、脱兎のように俺の腕の中に飛び込んでくる。
「よしよし」
撫でるとブルブル震えていて、本気で怖がってるのが分かった。
「青磁。言葉で言えばいいだろ。まだ赤ちゃんなんだから」
思わず咎めると、青磁は料理する手を止めることもなく、淡々と言った。
「まだ人間になれないうちは言葉は通じない」
「……そうだったとしても、脅かすのは可哀想だ」
言い返したけど、今度は返事が返ってこなかった。
仕方なく、蒼を抱いたまま暗い洋室に向かう。
部屋には、蒼の為のおもちゃや、病院用のキャリーバッグ、またげる程度の敷居のついた低い寝床が置いてある。
足を踏み入れると、蒼は俺の胸の中から飛び降りて、すぐに自分の寝床の中に入り込み、横たわった。
部屋の明かりを暗くすると、蒼の綺麗な瞳だけがキラキラと光る。
……全然眠くないけど、俺のために大人しくしてくれてるらしい。
「俺には勿体無いくらい、いい子だなぁ、蒼は」
蒼の寝床の隣の床に添い寝するように横たわった。
蒼が眠りに落ちるのを待ちながら、さっきの青磁の顔を思い出して、胸が苦しくなる。
青磁は……ちょっと、蒼に冷たい。
その理由は聞かなくても分かるんだ。
彼は、犬の子供を欲しがってたから。
俺と結婚したら、子犬との生活を手に入れられる筈だったのに、俺が産んだのは自分と同じホワイトタイガーの子供で……。
言葉に出して言われたことは流石に無いけれど、残念がってるのは分かる。
だから、妊娠してるのが虎だって分かった時から、青磁と俺の間に生まれた微妙な空気が辛い。
俺の、気のせいかもしれないけど……。
でも現に、妊娠が分かってから今まで、なんか……青磁がよそよそしい。
……そもそも妊娠してから、してないしな。
ムラムラして俺から誘ったことは何回かあるけど、妊娠中は、青磁のトゲが刺激になって流産するかもしれないから、っていう理由で断られた。
産んだ後は……そういえば俺、赤ん坊育てるので精一杯で、誘ってないな……。
青磁からは全然来ない。
正直、凄く不安だった。
虎とか犬とかはともかく、そこはなんでなんだろう。
俺は絶対嫌だって言ったのに、『飼い犬の出産に立ち会うのは当たり前だ』とか言って、強引に俺の出産に立ち会ってきたくせに。
あの時、実は大いにドン引きしていたんじゃないだろうか。
あんまり記憶にないけど、痛過ぎて、相当青磁に当たり散らした気がするし……。
俺がもし逆の立場で、青磁が苦しみながら赤ん坊産むところなんて見たら、色んな意味で性的に立ち直れない気がするしなぁ……。
そもそも俺のオメガフェロモンも、最近サッパリ出てない気がする。
忙しすぎて忘れてたけど、産む前は勿論、産んだ後も、発情期がもうずっと来てないし。
俺達……もしかすると、世間で言う、「産後クライシス」ってやつに足を突っ込んでるのかも。
グルグル考えているうちに、蒼はもう眠りに落ちていた。
音を立てないようにそっと立ち上がり、とぼとぼとリビングダイニングへ戻る。
ダイニングスペースに置かれたテーブルの上には、一人分の夕食――塩鮭に筑前煮、水菜と浅利の味噌汁、切り干し大根の煮物が置かれていた。
……俺は好きだけど、青磁が普段は作らないようなメニューだ。
急に和食が食べたくなったのか?
どういう風の吹き回しなのかは分からないが、メチャクチャ疲れてるから、作ってもらえるのは正直、かなり有り難い……。
ありがとうと声をかけようとして、キッチンから青磁の姿が消えていることに気付いた。
「……青磁?」
呼んでも、家の中はシンと静まりかえっている。
いない……?
ご飯は温かそうだから、家を出たのはついさっきだろう。
ボンヤリしていると、背後のリビングスペースに置かれたガラステーブルの上で、俺のスマホのバイブが鳴った。
ソファを回り込むようにしてスマホを取りに行く。
画面に表示されていたのは全く知らない番号だった。
不審に思いながらも電話を取ると、ガヤガヤした背景の音とともに、青磁の声が聞こえてくる。
「呼び出されたんで、ちょっと出てくる。勝手に食べて、寝ててくれ」
「勝手にって……お前、飯は? て言うか、どこから電話かけてんだよ、何なんだこの番号」
「俺の分はもう食った。スマホ家に忘れたから、人から借りて電話したんだ。じゃあな」
「じゃあなって……こんな時間に出てって、いつ帰るん――」
喋っている途中で、ぶつっと電話は切れてしまった。
ため息をつきながら、スマホを食卓の上に移す。
大学の友達にでも呼び出されたんだろうか。
いや、うん、夕飯のことは有難いけど。
でも、久々にゆっくり一緒に食べられると思ったのに、寂しいな……。
残念に思いながらも、俺は一人で食卓につき、焼き鮭をつつき始めた。
青磁にしては珍しい献立だけど、味は普通に美味い。
もしかして、俺の好みに合わせてくれたのか……?
いや、あのマイペースな青磁がそんな訳ないか。
結婚前に泊まりにきた時、自分が食いたいって理由だけで、二日間三食全部レアステーキにしてたこともあるし。
流石に俺は途中離脱して別のもん食べてたけど、全く気にしてなかったと思う。
……半分くらい食べ終わったところで、胃に血が集まったのか、クラクラするほど眠くなってきた。
仕方なく、残り半分を大急ぎで食べる。
皿を運んで洗ってから、すぐに横になるのは良くないとは思いつつ、ソファの上に寝転んだ。
次のミルクの時間に起きられるかな、俺……。
さっさと風呂に入った方がいいのは分かるが、気力が出ない。
青磁、ほんとうに、誰と、どこに行ったんだろう。
同じ大学なのに校舎は違うから、青磁の交友関係がさっぱり分からない。
友達に紹介してもらったことも一度もないし。
結婚したのにな。
……そういうのも、寂しい。
結婚する前も後も、青磁のこと、さっぱりよくわからないままだ……。
ウトウトしていると、ブブっという音がして、身体にかすかな振動が伝わってきた。
あれ……?
俺、携帯、こっちに持ってきてたっけ?
不思議に思いながら身を捩ると、ソファの座面と背もたれの隙間に、俺のじゃないスマホが挟み込まれていた。
取り出してみると、それは、充電が5%になった青磁のスマートホンだ。
「こんなところに……」
青磁はスマホの扱いが昔から荒い。
電源切らしたまんまにしてることも多いし、家や、どこかに置いてくることもしょっちゅうだ。
こういうものに縛られたくない性格なのかもしれない。
……せめて、充電しといてやるか。
スマホを手に寝室に向かおうとして、ロック画面に映ったメッセージ通知に気づき、ハッと息を呑んだ。
送り主は「丹羽野玲央奈」――にわのれおな、と読むんだろうか。
どこかで聞いたことがあるような名前だ。
うっかりメッセージのプレビュー文面まで見てしまって、ヒッと息を呑んだ。
『昨日は青磁君と一緒に過ごせて、本当に楽しかった♡♡ また一緒に』
……。
…………。
昨日って……。確か青磁、まる一晩、帰ってこなかったよな。
青磁の専攻してる理工学部の応用化学科は、実験が夜遅くまでかかることもあるし、出席やレポートの提出義務も半端じゃないくらい厳しいらしくて、家の中じゃ蒼が邪魔して集中できないから、喫茶店にパソコン持ち出して行くことも結構あって……仕方ないなって……思ってたけど。
青磁、お前まさか……俺が子育てしてる間に、女の子と仲良く飯を食ってたのか……⁉︎
俺に断りもなく……⁉︎
いや、何をするにしても断りがないのはいつものことだが、もしかしたら飯を食う……以上のことも……してたかもしれない……!?
俺とつがいなんだから、浮気は出来ないはずだけど……でもわからない、試してみたことなんかないし。
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