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番外編4
湊のサプライズ
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――結婚十年目記念日のサプライズは、大成功だった。
薔薇の花で湊があんなに喜んでくれるなんて。
何をあげるかは本当に悩んだんだ。
湊はΩだけど男っぽい性格というか、実用主義だから……。
アクセサリーなんかだと、確実に付けるのを面倒くさがる方だし。
通勤バッグとか、小物系も自分でじっくり選びたい派だから、これもサプライズには向かない。
そもそも、欲しいものがあったら自分でさっさと買っちゃう方だから、普段から欲しいものをリサーチ、ってのも難しい。
結局、消去法で花束しか残らなかった。
……食べるものの方が良かったとか、飾る場所がないとか、花瓶がないとか、そういうことを言われて迷惑がられることも想定してたんだけど。
サプライズして、良かったなぁ。
結婚十年目。
もうちょっと子供たちが大きかったら、新婚の時みたいに、二人きりで温泉旅行にでも行きたかった。
まあそこは、さらに十年後の楽しみに取っておくとして――。
想像で無意識に尻尾をブンブンしながら台所に立ち、手早く夕飯の支度を進める。
リビングではお腹を空かせた3人の子供達が犬になって走り回っていて、それを湊が追い回していた。
毎晩見慣れた、ちょっとしたカオスだ。
結婚記念日だし、洒落たご馳走でも作りたかったところだけど、手早く出来るものでこの混乱をどうにかする方が優先だよな……。
食べる速さも、食事の好みも、三者三様の子供たち。
そんな三人が食べてくれるレシピをどうにか探し出して作って、毎回なだめすかしながらご飯をちゃんと最後まで食べさせる――これがなかなかどうして、至難の業だ。
最近では凝ったレシピなんて、滅多に作らなくなってしまった。
二人がかりで子供たちの好き嫌いと格闘して、その後、三人を風呂に入れるのは俺の役目。
出たら、湊は裸で走り回る岬を捕まえてパジャマを着せ、俺は獣の姿で寝たい派の残り二人に、犬用歯ブラシで歯磨きする。
最後に俺が、まだまだ暴れ足りない三人を、まとめて子供部屋に行かせて、ハグをして寝かせて……。
その間に、湊が食器を洗って、入浴する。
俺は戻ってきたら洗濯物を取り込んで、畳んで、仕舞う。
何も言わなくても、お互い阿吽の呼吸で自然に分担するようになっている。
最近になって、子供たちが添い寝しなくても、自分たちの部屋で自力で寝てくれるようになったのは、本当に助かったよな。
落ち着いて眠れるし、それに……やっと、寝室で湊と二人きりになれるようになったから。
三人が寝た後なら、ちょっとだけイチャイチャしたりも出来るようになった。
とはいえ、湊は俺よりも早く寝てしまうことが多い。
楽しみな三ヶ月に一度の発情期の睦みあいも、最近は周期が伸び伸びになってるみたいで、見越して休みの予定を入れても、空振りになってしまうこともあるんだよな……。
仕方ないよね、みんな誰しも、ずっと若い頃と同じようにはいかないから。
でも俺は……今でも変わらず、というか、下手すると今の方がもっと切実に、湊と沢山、イチャイチャしたいな……と密かに思っている。
子供の手前もあるし、湊は普段、「もう色っぽいことなんて忘れた!」みたいな態度だから、面と向かっては言いづらいんだけれど……。
正直、困ってる。
湊の「無意識の誘惑」が激しくて。
仕事帰りに慣れた手つきでスーツを脱ぐ時に見えるうなじの噛み跡とか。
ワイシャツの下の薄手の下着一枚になった時にうっかり透けてる、普通の男性よりもぽってりした乳首の形と色とか。
ソファでうとうと眠っちゃってる時の、前髪の落ちかかった少しやつれた目元とか、はだけた服の隙間から見える、最近ちょっとだけ肉付きの良くなってきた、綺麗な下腹なんかも、じわっとくる大人の艶やかさがある。
加えて、本人が気付いてるのかは分からないけど、俺を誘惑するフェロモンも、発情周期が伸びた分、落ち着くのかと思いきや、濃く、いっそう強くなっていた。
でも、本人に「ちょっとフェロモン暴れてない?」とか、とても言えないし、番の俺にしか知覚できないものだから、誰にも相談できずに悶々とするしかないっていう……。
どうも聞くところによると、オメガのフェロモンのピークは、出産期限迫る今頃らしくて。
それはもう、俺の頭もおかしくなるよね……必死に隠して、子供達の前では癒し系の良きパパを演じてはいるけど。
でも本当は、発情期じゃなくてもイチャイチャしたいし、たまには乱暴に押し倒したい。
それが無理でもせめて、至近距離で匂いを嗅がせてもらいたい……。
最近湊が足りないから、こっそり寝てる間に髪の毛とかお尻をクンクンして、いや……時々はちょっと、うっかりペロッと舐めちゃうこともあるけど……、湊の匂いで、抜かせて貰ってる。
眠ってる時に襲うなんてうっかりでも出来ない。
ただでさえ疲れてるのに、眠りが浅くなったら可哀想だし……!
そんな訳で、記念すべき結婚十年目の夜も、何事もないだろうし、あったとしても、いつもみたいに寝てる湊のいい匂いを嗅がせて貰って、ちょっとだけ発散して寝るつもりだった。
夕飯の片付けの後、リモート端末で少しだけ仕事をして、寝る準備をしていたら、すっかり夜が更けてしまった。
先にベッドに入って寝ているであろう湊の寝息に耳を立てながら、そーっと寝室に入る。
ドアを開けた途端、湊の甘い匂いがその空間に充満していて、ズキンと股間に来た。
うっ、今日は特に暴れてるなぁ……。
最近、寝室に入るたびにフェロモンの強さを確かめる癖が付いてしまった。
あんまり辛い時はすごすご引き返して、リビングの隣の和室に布団敷いて寝る時もあるんだよね……襲っちゃいそうだから。
俺はTシャツとハーフパンツを穿いていて、顔は獣、体は人型の姿だ。
……完全に犬の姿だと、自慰は難しいから、っていう情けない理由。
ベッドは、ダブルじゃなくてシングルが二つくっついて並ぶ形になっている。
ダブルベッドだと、お互いの寝てる間の寝相が相手に影響して、眠りが浅くなってしまうって、ベッド屋さんの営業さんに言われて。
結果、限界共働き家庭の俺たちは、普段使い用のベッドを、二台買い揃えることになった。
今思うと、二台買わせるための売り文句だったのかもしれないけど……。
俺のベッドは窓側なので、わきに回ってから膝で自分のベッドに乗った。
そのまま大人しくして横になる……ことはなく、両手を突いて四つん這いで移動して、ソロソロと湊の方を覗き込む。
首元までタオルケットを掛けて仰向けで寝ている湊の顔は、新婚の時から変わらず、肌がきめ細かくて、鼻筋や額のラインが綺麗な、うっとりするような美人だ。
毎日一緒に暮らしてるせいもあるだろうけど、老けたり歳を取ったようには全然感じない。
人生を頑張ってきた自信がもたらす落ち着いた雰囲気だとか、肌の陰影が作る堪らない色気だとかは増したような気はするけど。
閉じた切長の目蓋を、上から覗き込む。
……堪らなく愛おしくて、じゃれつきたくて、尻尾が勝手にブンブン回る。
キスしたいのを我慢して、俺はベッドの足側に横移動した。
若干、不審者っぽくなりつつ、この部屋の雰囲気を色っぽくしてしまってる原因――湊の下半身に顔を近づける。
ちょっとだけ匂いだけ嗅がせて貰おう。
そうしたらトイレに行って抜いて、大人しく寝る……。
細心の注意を払って、タオルケットの足側の端っこをそーっと摘んだ。
布を少しずつ持ち上げていくと、指が長めの、可愛い両足が出てくる。
舐めたいけど、我慢、我慢。
続いて、もうちょっと……脛の方までタオルケットを引き上げる。
湊はオメガだからか、脛毛とかはあんまりない。
滑らかな綺麗な膝下……。
うっ、匂いが強くなってきたな……股間に急速に血流が集まって、勝手に呼吸が早くなる。
ここでやめといてもいいくらいかも。
でも、俺の本能的な何かが、もっとやれ、とノリノリで要求する。
ついつい、膝頭の上までタオルケットを持ち上げて、違和感に気付いた。
……湊、今日、長ズボンのパジャマじゃないんだな?
ハーフパンツなのかな。
最近、夏でも長ズボンじゃないと冷えやすいって言ってたけど。
訝しんでもう少しだけ上にめくる。
「……!!」
えっ、太ももが出てきたんだけど。
ズボン穿き忘れて寝たのか……!?
それは大変だ! 冷えて、風邪を引いてしまうんじゃ……。
慌ててタオルケットを足先まで戻して、湊のズボンを取りに行こうと片膝立ちになった。
――すると、その時。
「う……ん」
色っぽい呻きを上げながら、湊が寝返りを打ち、うつ伏せになった。
同時にタオルケットが彼の体から滑り落ちる。
反射的にそれを彼に掛けなおそうとして――全身の毛がザワッと逆立った。
「え、何これ……」
み、湊が、……。……裸なんだけど。
いや、厳密に言うと……下着は付けてるんだけど……ほぼ付けてないと言うか。
完全に丸出しのお尻が、前側のペニスを覆う布に接続された、二本のゴムっぽい紐で下支えされているだけ、みたいな……お尻、お尻の谷間、お尻の穴、全部容赦なく丸出しの、セクシーな黒の下着。
いわゆる、ジョックストラップとか、Yバックとか言われてるようなしろもの、を付けてる状態で。
俺は尻尾を丸め、自分のベッドにスゴスゴと戻り、うつ伏せになって頭を抱え込んでしまった。
こ、この状況に当てはまるのは、以下のどれでしょうか。
1、湊は俺を誘惑している。
2、湊は凄く疲れていて、パジャマを着るのも忘れて寝た。この下着は単なる趣味。
……1の割にはよく寝てるし、かと言って、2は無理がある。そもそもこんな不思議な下着穿いてるところ、今まで見たことない。
「う~ん、う~ん」
本気で悩んでたら、湊が可愛くクシャミをしたので、慌ててタオルケットを掴んで、元に戻そうとした――けど、あんまり急いだから、ベッドとベッドの間の隙間に膝頭がはまりこみ、予想外につんのめってしまった。
「キャンッ!」
うっかり犬みたいな甲高い叫び声を上げてしまい、同時に、湊の裸体の上にのしかかりそうになる。
両手を突っ張ってどうにか上半身を支えたけど、俺がハマったせいでベッドがズレて間の隙間が広がり、そこにズルーッとタオルケットが滑り落ちた。
「あああっ」
大惨事だ!
しかも、体重はかけないようにしたんだけど、どうしようもなく生のお尻が鼻先に!!
最大濃度のフェロモンで、何も考えられなくなる。
もう何もかもどうでもいい。
このお尻を掴んで引き寄せて、ベロベロ舐めて、湊が泣いても、押さえ付けて、めちゃくちゃに――。
いや、ダメだ。例え家庭内でも合意がないのは犯罪……!!
クラクラっと来たのを、根性で我慢して、体勢を立て直す。
「ふんぬ……っ」
膝を抜き、タオルケットを拾って、ばさあっと広げて頭から足先まで湊の身体をすっぽり隠し、更に俺のベッドの方にあったタオルケットもその上から被せた。
ふう、匂いが薄くなった。
よく我慢したぞ、俺。
自分を褒めたい……!
と、自己満足に浸ってたら、タオルケットの山の中から、恨めしそうな声がした。
「……。俺って、そんなにもう、魅力ないか……」
!?
湊、起きてる!?
サーッと青ざめて、モゾモゾ動いているタオルケットの前から後ずさる。
――やっぱり、さっきの二択の回答……1だったの!?
狼狽していると、タオルケットの山がベッドの上をもぞりと移動してきて、俺の身体に覆い被さってきた。
「み、湊……?」
タオルケットをめくって、闇の中の相手を探り出す。
布の隙間の暗闇の中では、顔を真っ赤にした湊が、じーっと俺を睨みつけていた。
「渚、ひでぇ……。クッソ恥ずかしかったけど、びっくりして喜ぶかなーと思って、前に発情期用にこっそり買ったエロい下着穿いて、寒いの我慢して待ってたのに、なかなかこねぇし。しかも、見たら見たで、まずいもの見たって感じで、上掛け、ニ枚も被せてくるし……」
涙目になってる、可愛すぎる……じゃ、なくて。
「違っ……、湊、それ誤解だから…… !」
「別にもう、いいよ。俺も途中まで寝落ちてたし」
湊がタオルケットを被ったままぷいと背中を向け、三角座りしてしまった。
ていうか、やっぱり最初、寝てたんだ。
エッチな下着穿いて、今か今かと俺を待っててくれてる内に寝ちゃったなんて……。
堪らなくなり、俺はガバッとタオルケットごと湊の背中をぎゅっと胸に抱き寄せた。
「湊……!」
「な、何……うわ、ちょっ」
湊を包んでるタオルケットをめくり、中に俺も入り込む。
そのまま腕で抱えるようにして、裸の湊を、俺のフッサフサに生えた首毛と胸毛で包み込んだ。
「ちょっと。こんなんで、俺は誤魔化されねぇぞ」
口ではそう言いながら、回した腕に湊がしがみついてくる。
そのまま、すりすりと金色の被毛に頬擦りされて……。
良かった、機嫌が治ってる。
俺の尻尾もついブンブン揺れて、タオルケットがピラピラする。
ホッとしたのはいいけど、改めて、俺の膝の間に落ち着いている湊の姿を見下ろして――鼻血を吹きそうになった。
股間を申し訳程度に前を隠している黒いサテンの布が、勃起したペニスに引っ張られて、いやらしくテントを張っている。
「湊、これ……」
確かめるようにそこに肉球の付いた俺の指先を這わせると、湊はビクンと悶え、こちらを振り向いた。
「ン……! しょうが、ないだろ……。渚に抱っこされて、匂い……、嗅いだらこうなっちゃうんだよ……っ」
「……発情期じゃなくても……?」
「発情期じゃ、なくても、……ッぁ、は、や……」
布の上から反り返ったモノを撫で回す俺の指に、敏感に反応して、湊の声が高く裏返る。
益々興奮が高まって、俺は尖った歯の間からハアハア息を漏らしながら、湊に囁いた。
「……湊、俺は、湊のサプライズ、本当に嬉しかった」
「う……。本当に? こんな歳でこんな格好して、呆れてねぇ……?」
「シッ、湊……もう黙って……」
俺の大事な人が、自分を傷つけるネガティブな言葉をそれ以上漏らさないように――俺は瞬時に人間の姿になって、湊の唇を自分の唇で塞いだ。
湊はいきなり変身した俺に驚いてたけど、舌を入れてネトネト絡ませ始めると、鼻から息を漏らしながらうっとりと感じ始める。
「ン……っ、ふ……っ!」
人間の姿で、ちゃんとキスするのは久しぶりだ。
好きだよ、すごく素敵だよ、嬉しかった……って気持ちが伝わるように、丁寧にキスを深めていく。
唇を軽く甘噛みしながら、背中を腕で支えながら、もう一方の手で胸を探って、ピンクに尖った乳首を探り当てた。
はっきりと乳輪ごと膨らんだそれを、摘んで引っ張ると、驚くほど柔らかく伸びる。
昔、結婚する前は、もちろんそんなことはなくて……湊が、こんなにも柔らかい、いやらしい乳首になったのは、三人も俺の子供を、産んでくれたからで。
その事実が、たまらなくエロくて、愛おしい。
クチュクチュと舌を軽く吸い、くすぐっては離しつつ、大きく敏感になった乳頭の先を、指の肉球で触れるか、触れないかの力加減で、今度は焦らすように優しく擦った。
「はんン……っ! ダメ、キスされながらそれは……っ、」
合間に叫んだ湊の唇を、また深く塞ぐ。
喉奥深くから前歯の奥まで、唾液を絡めて粘膜を舐め回しながら、二つの乳頭をもう一度優しく、回すように引っ張ると、ビクン、ビクンと、湊の身体が跳ね、黒いエロパンツの前布に、じわあっとシミが広がった。
唇がもぎ離される。
溺れてる人みたいな激しい呼吸を繰り返しながら、湊は涙目で俺を睨んだ。
「……だ、から、……それ、イきグセ、ついちまってるから……っ、やだって……っ」
「……イキグセって、どっち……キス? おっぱいの方?」
確信犯で聞きながら、ふにゃりとなっている湊の身体をタオルケットごと、ベッドにうつ伏せに倒す。
すると湊は、背中からタオルケットを落とし、俺に向けて白いお尻を上げ、這いつくばるみたいな格好になって……。
「りょう、ほう……っ」
ドロドロに濡れた無防備なお尻の穴が、誘うみたいにひくっ、ひくっと痙攣していた。
「両方……?」
わざと聞き返しながら、背中の方から滑らかなお尻の間に指を滑らせ、ツププ……と中に沈める。
そこはうねりながら従順に開いて、俺の指に蜜を絡みつかせてきた。
「ン……っ」
湊が声を漏らして背をのけぞらせる。
「……こっちも、入れたらすぐイッちゃうのに?」
知り尽くしている湊の中を、ヌチュヌチュ湿った音を立てながら探る。
「んはっ、う! そこぉ……っ、だ、め、」
「腰揺れてる、湊。エッチな下着穿いたままお尻いじられるの、気持ちいい?」
感じやすい場所を指でコリコリいじめてあげながら、わざと、恥ずかしがらせるような言葉を囁く。
「アんん……っ、渚っ、これ脱がせて……我慢できない、前もっ、ちんこもっ、触って……っ」
「ダメだよ。湊がせっかく穿いてくれたのに、勿体ないから……」
わざと意地悪な返事を返すと、湊がきゅんきゅんと指を食い締めてくる。
湊は、焦らされたり、意地悪されたりするの、本当は好きなんだよね……知ってる。
俺は獣面人身の姿に戻って、長く舌を出し、湊の可愛いお尻を舐め上げた。
「……あああ……っ、それ好き……っ」
「……これ、脱がさないように、隙間から舐めるね……」
「……っへ、ぅえ……!?」
動揺する湊のお尻側から、睾丸と黒い布の隙間に、ベロンと舌を差し入れる。
「あはぁ……っ! んなっ、その犬舌で変なとこ、入ってきたら……っ!」
案の定、ペニスと陰嚢だけを覆っている布の中は、精液と先走りでグチャグチャで、蒸れた濃厚なフェロモンの香りが、鼻から脳天を突き抜けた。
――もう、我慢できない。
俺はその浮いたお尻の、ベトベトになった下着の中に鼻先を突っ込んだ。
「……っはァン……っ」
横からも、上からも……あらゆる角度から湊のやらしい下着の中に舌を差し入れ、ビチャビチャ音を立て、玉も竿も夢中で舐めまくる。
「あっ、ア、だめ」
もっとしっかり舐めたくて、俺は湊の膝の間に頭を入れ、仰向けになった。
「湊、ちょっとしゃがんで」
「……しゃが……っ、は、流石にっ、恥ずかしいんだけど……っ」
抵抗がありそうなことを口では言いつつ、湊が膝を折って開き、お尻を俺の顔に近づけてくる。
物欲しそうにヒクヒクしているお尻の穴に、遠慮なく舌を深くねじ入れると、奥から蜜がトロトロと溢れてきた。
「ひ……っ、それやばっ……っ」
舌を締め付けながらお尻がブルブル震えて、湊が気持ちよさそうに熱っぽいナカをうねらせているのが伝わってくる。
「ぁ……ッン、死ぬほど気持ちいい……っ、気持ちいいっ、ナカ気持ちいい渚っ、尻動いちゃう……っ! は、ぁ、……うっ……!」
湊は膝を限界まで開いて上下にお尻をいやらしく小刻みに振り、自分から奥まで犯されるように、ズチュズチュと俺の長い舌を呑み込んだ。
「ぁあ~……っ、も、……いくぅ……っ」
ひくん、ひくんと舌を締めつけながら、淫らな喘ぎと共に、湊がのけ反ってイく。
と言っても、さっき出しちゃったせいで、精液は殆ど出ていない。
お尻が断続的にぱくぱくして、溢れるほど濡らしてるけど……。
そんなもの見せられたら、我慢できるわけがない。
俺のペニスも限界まで熱された鉄の杭みたいになって、脳貧血を起こしそうだった。
指を抜き、腰を抱いて湊の身体をうつ伏せにベッドに下ろす。
「湊っ、ゴム、取りに行ってくるから……待ってて」
ギリギリの理性でそう告げると――湊がうつ伏せで微笑みながら、首を振った。
「いいから、このまんま、入れて……っ。俺、発情期いつくるか分かんなくて、ずっとピル、飲んでるから……平気……」
「湊……!」
叫びながら、湊の身体にのしかかってしまい、うっかり潰してしまった。
「あっ、ごめ……」
「いいよ。なぁ、このまま入れて……? 渚のあったかい毛、背中に感じながらしたい。足、開くから……」
「い、いいけど……っ、重くないの……?」
湊が汗ばんだ顔で笑って、首を横に振る。
うつ伏せのまま挿入する……いわゆる「寝バック」的な体勢に戸惑いつつも、もうそれ以上の我慢ができず――俺は、後ろから一気に湊のお尻を貫いた。
「っ、はアぁ……ンッ!」
角度的に、亀頭球までは入らない。
その代わりに結構動くことが出来るので、俺は思うまま、湊のお尻に腰を打ちつけ始めた。
「は! ッンア……! 久しぶりすぎてっ、やば……おお、きい……っ」
甘い悲鳴を上げてながら、反射的に湊が太腿を閉じる。
内腿の筋をブルブル震わせながらそれをされると、当然、俺のペニスもメチャクチャに締め上げられて――。
「……っ、湊っ、ちょっ、それっ、出る……っ」
「だって、……これ、ひっ! すごい……っ、腹側のイイとこ、あたって……っ! あふぅ……っ!」
声がひっくり返って、また湊の喘ぎと締め付けが激しくなった。
まさか湊、俺が突き込むたびに、イッちゃってる……!?
「湊っ、湊、可愛い……っ!」
後ろから胸とお腹をギュッと抱き締め、俺の身体の毛を押し付けながら、いやらしい湊の中で思い切り射精する。
「っあぁ……っ、はぁ……っ、渚……俺の中にいっぱい出てる……っ」
湊もギュウッといやらしくうねる肉壺を引き絞って更に深く絶頂しはじめて――。
俺も脱力しながら、湊の上に倒れる。
……ずっと出続けるから、抜くに抜けない。
……寝室、防音で良かった……。
ちらっとそんなことも思いながら、体重で潰してしまわないように、湊の体を抱いて横向きになった。
犬の習性で、俺はもうそれ以上動けなくなっていて、湊の背中を抱いたまま、トロンとする。
興奮で頬を真っ赤にした湊がこちらを振り向いて、クスクスと笑った。
「ふふ。渚、ぼんやりしてて可愛いな……」
「そう……?」
「うん。背中にくっついてるの可愛い。……渚、あったかくてフワッフワで最高に可愛い」
しみじみと言われて、嬉しくて尻尾だけ、ブンブン勝手に揺れてしまった。
「俺は湊の方が千倍可愛いと思うよ」
「そうかなあ……渚の方が絶対可愛いだろ」
「ううん、湊が一番」
水掛け論になって、お互いくすくす笑いが止まらなくなった。
……心がふわふわ、幸せに浸る。
いい年して、意地になってお互いに可愛いって言い合うの、はたから見たら結構変かもしれないけれど……。
でも、俺は湊に可愛いって言ってもらえるのが好きだし、これからも、湊には可愛いって言いたいな。
――歳を取っても、キラキラした愛おしさは変わらないどころか、増えていくばかりだ……。
「湊、世界で一番、可愛いよ。ずっと、ずっと……十年後も、百年後も、綺麗で可愛い……。愛してる」
目を閉じて、つがいの首筋の跡に口付けする。
そこから立ちのぼる幸福の匂いにうっとりしながら――俺はまた、腕の中の可愛い人を、フワフワの毛に包んで抱きしめた。
【終わり】
薔薇の花で湊があんなに喜んでくれるなんて。
何をあげるかは本当に悩んだんだ。
湊はΩだけど男っぽい性格というか、実用主義だから……。
アクセサリーなんかだと、確実に付けるのを面倒くさがる方だし。
通勤バッグとか、小物系も自分でじっくり選びたい派だから、これもサプライズには向かない。
そもそも、欲しいものがあったら自分でさっさと買っちゃう方だから、普段から欲しいものをリサーチ、ってのも難しい。
結局、消去法で花束しか残らなかった。
……食べるものの方が良かったとか、飾る場所がないとか、花瓶がないとか、そういうことを言われて迷惑がられることも想定してたんだけど。
サプライズして、良かったなぁ。
結婚十年目。
もうちょっと子供たちが大きかったら、新婚の時みたいに、二人きりで温泉旅行にでも行きたかった。
まあそこは、さらに十年後の楽しみに取っておくとして――。
想像で無意識に尻尾をブンブンしながら台所に立ち、手早く夕飯の支度を進める。
リビングではお腹を空かせた3人の子供達が犬になって走り回っていて、それを湊が追い回していた。
毎晩見慣れた、ちょっとしたカオスだ。
結婚記念日だし、洒落たご馳走でも作りたかったところだけど、手早く出来るものでこの混乱をどうにかする方が優先だよな……。
食べる速さも、食事の好みも、三者三様の子供たち。
そんな三人が食べてくれるレシピをどうにか探し出して作って、毎回なだめすかしながらご飯をちゃんと最後まで食べさせる――これがなかなかどうして、至難の業だ。
最近では凝ったレシピなんて、滅多に作らなくなってしまった。
二人がかりで子供たちの好き嫌いと格闘して、その後、三人を風呂に入れるのは俺の役目。
出たら、湊は裸で走り回る岬を捕まえてパジャマを着せ、俺は獣の姿で寝たい派の残り二人に、犬用歯ブラシで歯磨きする。
最後に俺が、まだまだ暴れ足りない三人を、まとめて子供部屋に行かせて、ハグをして寝かせて……。
その間に、湊が食器を洗って、入浴する。
俺は戻ってきたら洗濯物を取り込んで、畳んで、仕舞う。
何も言わなくても、お互い阿吽の呼吸で自然に分担するようになっている。
最近になって、子供たちが添い寝しなくても、自分たちの部屋で自力で寝てくれるようになったのは、本当に助かったよな。
落ち着いて眠れるし、それに……やっと、寝室で湊と二人きりになれるようになったから。
三人が寝た後なら、ちょっとだけイチャイチャしたりも出来るようになった。
とはいえ、湊は俺よりも早く寝てしまうことが多い。
楽しみな三ヶ月に一度の発情期の睦みあいも、最近は周期が伸び伸びになってるみたいで、見越して休みの予定を入れても、空振りになってしまうこともあるんだよな……。
仕方ないよね、みんな誰しも、ずっと若い頃と同じようにはいかないから。
でも俺は……今でも変わらず、というか、下手すると今の方がもっと切実に、湊と沢山、イチャイチャしたいな……と密かに思っている。
子供の手前もあるし、湊は普段、「もう色っぽいことなんて忘れた!」みたいな態度だから、面と向かっては言いづらいんだけれど……。
正直、困ってる。
湊の「無意識の誘惑」が激しくて。
仕事帰りに慣れた手つきでスーツを脱ぐ時に見えるうなじの噛み跡とか。
ワイシャツの下の薄手の下着一枚になった時にうっかり透けてる、普通の男性よりもぽってりした乳首の形と色とか。
ソファでうとうと眠っちゃってる時の、前髪の落ちかかった少しやつれた目元とか、はだけた服の隙間から見える、最近ちょっとだけ肉付きの良くなってきた、綺麗な下腹なんかも、じわっとくる大人の艶やかさがある。
加えて、本人が気付いてるのかは分からないけど、俺を誘惑するフェロモンも、発情周期が伸びた分、落ち着くのかと思いきや、濃く、いっそう強くなっていた。
でも、本人に「ちょっとフェロモン暴れてない?」とか、とても言えないし、番の俺にしか知覚できないものだから、誰にも相談できずに悶々とするしかないっていう……。
どうも聞くところによると、オメガのフェロモンのピークは、出産期限迫る今頃らしくて。
それはもう、俺の頭もおかしくなるよね……必死に隠して、子供達の前では癒し系の良きパパを演じてはいるけど。
でも本当は、発情期じゃなくてもイチャイチャしたいし、たまには乱暴に押し倒したい。
それが無理でもせめて、至近距離で匂いを嗅がせてもらいたい……。
最近湊が足りないから、こっそり寝てる間に髪の毛とかお尻をクンクンして、いや……時々はちょっと、うっかりペロッと舐めちゃうこともあるけど……、湊の匂いで、抜かせて貰ってる。
眠ってる時に襲うなんてうっかりでも出来ない。
ただでさえ疲れてるのに、眠りが浅くなったら可哀想だし……!
そんな訳で、記念すべき結婚十年目の夜も、何事もないだろうし、あったとしても、いつもみたいに寝てる湊のいい匂いを嗅がせて貰って、ちょっとだけ発散して寝るつもりだった。
夕飯の片付けの後、リモート端末で少しだけ仕事をして、寝る準備をしていたら、すっかり夜が更けてしまった。
先にベッドに入って寝ているであろう湊の寝息に耳を立てながら、そーっと寝室に入る。
ドアを開けた途端、湊の甘い匂いがその空間に充満していて、ズキンと股間に来た。
うっ、今日は特に暴れてるなぁ……。
最近、寝室に入るたびにフェロモンの強さを確かめる癖が付いてしまった。
あんまり辛い時はすごすご引き返して、リビングの隣の和室に布団敷いて寝る時もあるんだよね……襲っちゃいそうだから。
俺はTシャツとハーフパンツを穿いていて、顔は獣、体は人型の姿だ。
……完全に犬の姿だと、自慰は難しいから、っていう情けない理由。
ベッドは、ダブルじゃなくてシングルが二つくっついて並ぶ形になっている。
ダブルベッドだと、お互いの寝てる間の寝相が相手に影響して、眠りが浅くなってしまうって、ベッド屋さんの営業さんに言われて。
結果、限界共働き家庭の俺たちは、普段使い用のベッドを、二台買い揃えることになった。
今思うと、二台買わせるための売り文句だったのかもしれないけど……。
俺のベッドは窓側なので、わきに回ってから膝で自分のベッドに乗った。
そのまま大人しくして横になる……ことはなく、両手を突いて四つん這いで移動して、ソロソロと湊の方を覗き込む。
首元までタオルケットを掛けて仰向けで寝ている湊の顔は、新婚の時から変わらず、肌がきめ細かくて、鼻筋や額のラインが綺麗な、うっとりするような美人だ。
毎日一緒に暮らしてるせいもあるだろうけど、老けたり歳を取ったようには全然感じない。
人生を頑張ってきた自信がもたらす落ち着いた雰囲気だとか、肌の陰影が作る堪らない色気だとかは増したような気はするけど。
閉じた切長の目蓋を、上から覗き込む。
……堪らなく愛おしくて、じゃれつきたくて、尻尾が勝手にブンブン回る。
キスしたいのを我慢して、俺はベッドの足側に横移動した。
若干、不審者っぽくなりつつ、この部屋の雰囲気を色っぽくしてしまってる原因――湊の下半身に顔を近づける。
ちょっとだけ匂いだけ嗅がせて貰おう。
そうしたらトイレに行って抜いて、大人しく寝る……。
細心の注意を払って、タオルケットの足側の端っこをそーっと摘んだ。
布を少しずつ持ち上げていくと、指が長めの、可愛い両足が出てくる。
舐めたいけど、我慢、我慢。
続いて、もうちょっと……脛の方までタオルケットを引き上げる。
湊はオメガだからか、脛毛とかはあんまりない。
滑らかな綺麗な膝下……。
うっ、匂いが強くなってきたな……股間に急速に血流が集まって、勝手に呼吸が早くなる。
ここでやめといてもいいくらいかも。
でも、俺の本能的な何かが、もっとやれ、とノリノリで要求する。
ついつい、膝頭の上までタオルケットを持ち上げて、違和感に気付いた。
……湊、今日、長ズボンのパジャマじゃないんだな?
ハーフパンツなのかな。
最近、夏でも長ズボンじゃないと冷えやすいって言ってたけど。
訝しんでもう少しだけ上にめくる。
「……!!」
えっ、太ももが出てきたんだけど。
ズボン穿き忘れて寝たのか……!?
それは大変だ! 冷えて、風邪を引いてしまうんじゃ……。
慌ててタオルケットを足先まで戻して、湊のズボンを取りに行こうと片膝立ちになった。
――すると、その時。
「う……ん」
色っぽい呻きを上げながら、湊が寝返りを打ち、うつ伏せになった。
同時にタオルケットが彼の体から滑り落ちる。
反射的にそれを彼に掛けなおそうとして――全身の毛がザワッと逆立った。
「え、何これ……」
み、湊が、……。……裸なんだけど。
いや、厳密に言うと……下着は付けてるんだけど……ほぼ付けてないと言うか。
完全に丸出しのお尻が、前側のペニスを覆う布に接続された、二本のゴムっぽい紐で下支えされているだけ、みたいな……お尻、お尻の谷間、お尻の穴、全部容赦なく丸出しの、セクシーな黒の下着。
いわゆる、ジョックストラップとか、Yバックとか言われてるようなしろもの、を付けてる状態で。
俺は尻尾を丸め、自分のベッドにスゴスゴと戻り、うつ伏せになって頭を抱え込んでしまった。
こ、この状況に当てはまるのは、以下のどれでしょうか。
1、湊は俺を誘惑している。
2、湊は凄く疲れていて、パジャマを着るのも忘れて寝た。この下着は単なる趣味。
……1の割にはよく寝てるし、かと言って、2は無理がある。そもそもこんな不思議な下着穿いてるところ、今まで見たことない。
「う~ん、う~ん」
本気で悩んでたら、湊が可愛くクシャミをしたので、慌ててタオルケットを掴んで、元に戻そうとした――けど、あんまり急いだから、ベッドとベッドの間の隙間に膝頭がはまりこみ、予想外につんのめってしまった。
「キャンッ!」
うっかり犬みたいな甲高い叫び声を上げてしまい、同時に、湊の裸体の上にのしかかりそうになる。
両手を突っ張ってどうにか上半身を支えたけど、俺がハマったせいでベッドがズレて間の隙間が広がり、そこにズルーッとタオルケットが滑り落ちた。
「あああっ」
大惨事だ!
しかも、体重はかけないようにしたんだけど、どうしようもなく生のお尻が鼻先に!!
最大濃度のフェロモンで、何も考えられなくなる。
もう何もかもどうでもいい。
このお尻を掴んで引き寄せて、ベロベロ舐めて、湊が泣いても、押さえ付けて、めちゃくちゃに――。
いや、ダメだ。例え家庭内でも合意がないのは犯罪……!!
クラクラっと来たのを、根性で我慢して、体勢を立て直す。
「ふんぬ……っ」
膝を抜き、タオルケットを拾って、ばさあっと広げて頭から足先まで湊の身体をすっぽり隠し、更に俺のベッドの方にあったタオルケットもその上から被せた。
ふう、匂いが薄くなった。
よく我慢したぞ、俺。
自分を褒めたい……!
と、自己満足に浸ってたら、タオルケットの山の中から、恨めしそうな声がした。
「……。俺って、そんなにもう、魅力ないか……」
!?
湊、起きてる!?
サーッと青ざめて、モゾモゾ動いているタオルケットの前から後ずさる。
――やっぱり、さっきの二択の回答……1だったの!?
狼狽していると、タオルケットの山がベッドの上をもぞりと移動してきて、俺の身体に覆い被さってきた。
「み、湊……?」
タオルケットをめくって、闇の中の相手を探り出す。
布の隙間の暗闇の中では、顔を真っ赤にした湊が、じーっと俺を睨みつけていた。
「渚、ひでぇ……。クッソ恥ずかしかったけど、びっくりして喜ぶかなーと思って、前に発情期用にこっそり買ったエロい下着穿いて、寒いの我慢して待ってたのに、なかなかこねぇし。しかも、見たら見たで、まずいもの見たって感じで、上掛け、ニ枚も被せてくるし……」
涙目になってる、可愛すぎる……じゃ、なくて。
「違っ……、湊、それ誤解だから…… !」
「別にもう、いいよ。俺も途中まで寝落ちてたし」
湊がタオルケットを被ったままぷいと背中を向け、三角座りしてしまった。
ていうか、やっぱり最初、寝てたんだ。
エッチな下着穿いて、今か今かと俺を待っててくれてる内に寝ちゃったなんて……。
堪らなくなり、俺はガバッとタオルケットごと湊の背中をぎゅっと胸に抱き寄せた。
「湊……!」
「な、何……うわ、ちょっ」
湊を包んでるタオルケットをめくり、中に俺も入り込む。
そのまま腕で抱えるようにして、裸の湊を、俺のフッサフサに生えた首毛と胸毛で包み込んだ。
「ちょっと。こんなんで、俺は誤魔化されねぇぞ」
口ではそう言いながら、回した腕に湊がしがみついてくる。
そのまま、すりすりと金色の被毛に頬擦りされて……。
良かった、機嫌が治ってる。
俺の尻尾もついブンブン揺れて、タオルケットがピラピラする。
ホッとしたのはいいけど、改めて、俺の膝の間に落ち着いている湊の姿を見下ろして――鼻血を吹きそうになった。
股間を申し訳程度に前を隠している黒いサテンの布が、勃起したペニスに引っ張られて、いやらしくテントを張っている。
「湊、これ……」
確かめるようにそこに肉球の付いた俺の指先を這わせると、湊はビクンと悶え、こちらを振り向いた。
「ン……! しょうが、ないだろ……。渚に抱っこされて、匂い……、嗅いだらこうなっちゃうんだよ……っ」
「……発情期じゃなくても……?」
「発情期じゃ、なくても、……ッぁ、は、や……」
布の上から反り返ったモノを撫で回す俺の指に、敏感に反応して、湊の声が高く裏返る。
益々興奮が高まって、俺は尖った歯の間からハアハア息を漏らしながら、湊に囁いた。
「……湊、俺は、湊のサプライズ、本当に嬉しかった」
「う……。本当に? こんな歳でこんな格好して、呆れてねぇ……?」
「シッ、湊……もう黙って……」
俺の大事な人が、自分を傷つけるネガティブな言葉をそれ以上漏らさないように――俺は瞬時に人間の姿になって、湊の唇を自分の唇で塞いだ。
湊はいきなり変身した俺に驚いてたけど、舌を入れてネトネト絡ませ始めると、鼻から息を漏らしながらうっとりと感じ始める。
「ン……っ、ふ……っ!」
人間の姿で、ちゃんとキスするのは久しぶりだ。
好きだよ、すごく素敵だよ、嬉しかった……って気持ちが伝わるように、丁寧にキスを深めていく。
唇を軽く甘噛みしながら、背中を腕で支えながら、もう一方の手で胸を探って、ピンクに尖った乳首を探り当てた。
はっきりと乳輪ごと膨らんだそれを、摘んで引っ張ると、驚くほど柔らかく伸びる。
昔、結婚する前は、もちろんそんなことはなくて……湊が、こんなにも柔らかい、いやらしい乳首になったのは、三人も俺の子供を、産んでくれたからで。
その事実が、たまらなくエロくて、愛おしい。
クチュクチュと舌を軽く吸い、くすぐっては離しつつ、大きく敏感になった乳頭の先を、指の肉球で触れるか、触れないかの力加減で、今度は焦らすように優しく擦った。
「はんン……っ! ダメ、キスされながらそれは……っ、」
合間に叫んだ湊の唇を、また深く塞ぐ。
喉奥深くから前歯の奥まで、唾液を絡めて粘膜を舐め回しながら、二つの乳頭をもう一度優しく、回すように引っ張ると、ビクン、ビクンと、湊の身体が跳ね、黒いエロパンツの前布に、じわあっとシミが広がった。
唇がもぎ離される。
溺れてる人みたいな激しい呼吸を繰り返しながら、湊は涙目で俺を睨んだ。
「……だ、から、……それ、イきグセ、ついちまってるから……っ、やだって……っ」
「……イキグセって、どっち……キス? おっぱいの方?」
確信犯で聞きながら、ふにゃりとなっている湊の身体をタオルケットごと、ベッドにうつ伏せに倒す。
すると湊は、背中からタオルケットを落とし、俺に向けて白いお尻を上げ、這いつくばるみたいな格好になって……。
「りょう、ほう……っ」
ドロドロに濡れた無防備なお尻の穴が、誘うみたいにひくっ、ひくっと痙攣していた。
「両方……?」
わざと聞き返しながら、背中の方から滑らかなお尻の間に指を滑らせ、ツププ……と中に沈める。
そこはうねりながら従順に開いて、俺の指に蜜を絡みつかせてきた。
「ン……っ」
湊が声を漏らして背をのけぞらせる。
「……こっちも、入れたらすぐイッちゃうのに?」
知り尽くしている湊の中を、ヌチュヌチュ湿った音を立てながら探る。
「んはっ、う! そこぉ……っ、だ、め、」
「腰揺れてる、湊。エッチな下着穿いたままお尻いじられるの、気持ちいい?」
感じやすい場所を指でコリコリいじめてあげながら、わざと、恥ずかしがらせるような言葉を囁く。
「アんん……っ、渚っ、これ脱がせて……我慢できない、前もっ、ちんこもっ、触って……っ」
「ダメだよ。湊がせっかく穿いてくれたのに、勿体ないから……」
わざと意地悪な返事を返すと、湊がきゅんきゅんと指を食い締めてくる。
湊は、焦らされたり、意地悪されたりするの、本当は好きなんだよね……知ってる。
俺は獣面人身の姿に戻って、長く舌を出し、湊の可愛いお尻を舐め上げた。
「……あああ……っ、それ好き……っ」
「……これ、脱がさないように、隙間から舐めるね……」
「……っへ、ぅえ……!?」
動揺する湊のお尻側から、睾丸と黒い布の隙間に、ベロンと舌を差し入れる。
「あはぁ……っ! んなっ、その犬舌で変なとこ、入ってきたら……っ!」
案の定、ペニスと陰嚢だけを覆っている布の中は、精液と先走りでグチャグチャで、蒸れた濃厚なフェロモンの香りが、鼻から脳天を突き抜けた。
――もう、我慢できない。
俺はその浮いたお尻の、ベトベトになった下着の中に鼻先を突っ込んだ。
「……っはァン……っ」
横からも、上からも……あらゆる角度から湊のやらしい下着の中に舌を差し入れ、ビチャビチャ音を立て、玉も竿も夢中で舐めまくる。
「あっ、ア、だめ」
もっとしっかり舐めたくて、俺は湊の膝の間に頭を入れ、仰向けになった。
「湊、ちょっとしゃがんで」
「……しゃが……っ、は、流石にっ、恥ずかしいんだけど……っ」
抵抗がありそうなことを口では言いつつ、湊が膝を折って開き、お尻を俺の顔に近づけてくる。
物欲しそうにヒクヒクしているお尻の穴に、遠慮なく舌を深くねじ入れると、奥から蜜がトロトロと溢れてきた。
「ひ……っ、それやばっ……っ」
舌を締め付けながらお尻がブルブル震えて、湊が気持ちよさそうに熱っぽいナカをうねらせているのが伝わってくる。
「ぁ……ッン、死ぬほど気持ちいい……っ、気持ちいいっ、ナカ気持ちいい渚っ、尻動いちゃう……っ! は、ぁ、……うっ……!」
湊は膝を限界まで開いて上下にお尻をいやらしく小刻みに振り、自分から奥まで犯されるように、ズチュズチュと俺の長い舌を呑み込んだ。
「ぁあ~……っ、も、……いくぅ……っ」
ひくん、ひくんと舌を締めつけながら、淫らな喘ぎと共に、湊がのけ反ってイく。
と言っても、さっき出しちゃったせいで、精液は殆ど出ていない。
お尻が断続的にぱくぱくして、溢れるほど濡らしてるけど……。
そんなもの見せられたら、我慢できるわけがない。
俺のペニスも限界まで熱された鉄の杭みたいになって、脳貧血を起こしそうだった。
指を抜き、腰を抱いて湊の身体をうつ伏せにベッドに下ろす。
「湊っ、ゴム、取りに行ってくるから……待ってて」
ギリギリの理性でそう告げると――湊がうつ伏せで微笑みながら、首を振った。
「いいから、このまんま、入れて……っ。俺、発情期いつくるか分かんなくて、ずっとピル、飲んでるから……平気……」
「湊……!」
叫びながら、湊の身体にのしかかってしまい、うっかり潰してしまった。
「あっ、ごめ……」
「いいよ。なぁ、このまま入れて……? 渚のあったかい毛、背中に感じながらしたい。足、開くから……」
「い、いいけど……っ、重くないの……?」
湊が汗ばんだ顔で笑って、首を横に振る。
うつ伏せのまま挿入する……いわゆる「寝バック」的な体勢に戸惑いつつも、もうそれ以上の我慢ができず――俺は、後ろから一気に湊のお尻を貫いた。
「っ、はアぁ……ンッ!」
角度的に、亀頭球までは入らない。
その代わりに結構動くことが出来るので、俺は思うまま、湊のお尻に腰を打ちつけ始めた。
「は! ッンア……! 久しぶりすぎてっ、やば……おお、きい……っ」
甘い悲鳴を上げてながら、反射的に湊が太腿を閉じる。
内腿の筋をブルブル震わせながらそれをされると、当然、俺のペニスもメチャクチャに締め上げられて――。
「……っ、湊っ、ちょっ、それっ、出る……っ」
「だって、……これ、ひっ! すごい……っ、腹側のイイとこ、あたって……っ! あふぅ……っ!」
声がひっくり返って、また湊の喘ぎと締め付けが激しくなった。
まさか湊、俺が突き込むたびに、イッちゃってる……!?
「湊っ、湊、可愛い……っ!」
後ろから胸とお腹をギュッと抱き締め、俺の身体の毛を押し付けながら、いやらしい湊の中で思い切り射精する。
「っあぁ……っ、はぁ……っ、渚……俺の中にいっぱい出てる……っ」
湊もギュウッといやらしくうねる肉壺を引き絞って更に深く絶頂しはじめて――。
俺も脱力しながら、湊の上に倒れる。
……ずっと出続けるから、抜くに抜けない。
……寝室、防音で良かった……。
ちらっとそんなことも思いながら、体重で潰してしまわないように、湊の体を抱いて横向きになった。
犬の習性で、俺はもうそれ以上動けなくなっていて、湊の背中を抱いたまま、トロンとする。
興奮で頬を真っ赤にした湊がこちらを振り向いて、クスクスと笑った。
「ふふ。渚、ぼんやりしてて可愛いな……」
「そう……?」
「うん。背中にくっついてるの可愛い。……渚、あったかくてフワッフワで最高に可愛い」
しみじみと言われて、嬉しくて尻尾だけ、ブンブン勝手に揺れてしまった。
「俺は湊の方が千倍可愛いと思うよ」
「そうかなあ……渚の方が絶対可愛いだろ」
「ううん、湊が一番」
水掛け論になって、お互いくすくす笑いが止まらなくなった。
……心がふわふわ、幸せに浸る。
いい年して、意地になってお互いに可愛いって言い合うの、はたから見たら結構変かもしれないけれど……。
でも、俺は湊に可愛いって言ってもらえるのが好きだし、これからも、湊には可愛いって言いたいな。
――歳を取っても、キラキラした愛おしさは変わらないどころか、増えていくばかりだ……。
「湊、世界で一番、可愛いよ。ずっと、ずっと……十年後も、百年後も、綺麗で可愛い……。愛してる」
目を閉じて、つがいの首筋の跡に口付けする。
そこから立ちのぼる幸福の匂いにうっとりしながら――俺はまた、腕の中の可愛い人を、フワフワの毛に包んで抱きしめた。
【終わり】
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