きぐるみ♡女神伝

きぐるみんZ

文字の大きさ
15 / 50
第1章.母 Ⅱ

015縫.新米の女神様です♡

しおりを挟む
 朱璃は、魂が急に抜けた様にピクリとも動かなくなったニックが心配で心配で仕方ありません。

「あの……ニックさん?
ニックさんってば……?」


つんつん……ツンツン……


「朱璃、ニックはみんなの代わりに大役を果たしてくれたの。
お父さんの声を届ける、って大役をね。
だから、ニックをそっと寝かせてあげてね……」

 京子は優しくニックの頭をイイコイイコしてあげました。
そして、徐ろに朱璃の方へくるりと向き直りました。

「朱璃、大事なお話があるの。
今お父さんが言った言葉の意味、分かる?」

 え~っと……と朱璃は人差し指を顎に当てながら考えます。

「『全てを手に入れろ!例え全てを失なう事になろうとも』……でしたっけ?」

 京子は、ふるふると首を横に振りました。

「いえいえ、そっちじゃなくて。
そっちは、残念ながら私も見当付かないのよ。」


全てを手に入れろ……何を?
全てを失う……どうして?
私だって、皆目検討が付かないわよ……!


「ワタシが『大天使』であるお父さんと『人間』であるお母さんの間に生まれた女の子……の方ですね?」

 そして母は瞳を閉じて……少し俯きます。
暫しそのままの状態から再び瞳を開いて言い放った母の次のひと言に、朱璃は我が耳を疑いました!


「お父さんの言いたい事はね……
つまり、アナタは……『女神』なのよ、朱璃!
って言うか……正確に言えば『人間』でもあり『女神』でもある、“ 半人半神 ” なのが今のアナタの状態なの。
だからこそ……『女神』であるアナタを身籠っていたからこそ、『人間』である私でも『天界』に入る事が出来たのよ!」

 朱璃は、思わず息を呑みました。


 つまり、ワタシは……『人間』では無いって事なんですかね……?


「つまり、ワタシには……半分『女神』って神サマの血も入っているって事ですか?
……ふざけないで下さい!!!」

 人間の女の子が、ある日を境に『女神』として共に闘う仲間達と生きる事を余儀なくされる、というアニメを朱璃も見た事があるのですが……
“ 神衣 ” を纏って闘うその子を見て、あくまでこのアニメは現実にはあり得ないフィクションだと今まで割り切っていました。

 だから、朱璃にとっていきなり母から宣告されたこの現実は……
とてもではありませんが、そのまますんなり受け入れられるモノではなかったんです。

「死んだと思っていたお父さんが実は生きていて、『大天使』っていう神サマでした?
余りにも話がブッ飛び過ぎていて、いきなり言われても何を証拠にそれらの話を信じればいいか分からないじゃないですか!」


 でも本音は、全てを認めて今すぐにでもお父さんを探しに行きたい……
でも、全てを認めちゃうと自分の中のアイデンティティーが音を立てて崩れ去り、自分が自分で無くなっちゃうかも知れない……
朱璃は、そんな葛藤の中にいました。


「朱璃、確かにこの世界では荒唐無稽なお話よね。
でもね……
『異世界』っていう、この世界での常識が通用しない世界も確かに存在するの。
アナタも散々見て来たでしょ、ゴブリンみたいな普通の人にはえない生き物を?」

 えっ、お母さん……知っていたんですか?
ワタシが2度に渡り、ゴブリンと接触していた事を。

「それに、もっと決定的な証拠が欲しければ、そこでキューってのびて寝てる子がいるじゃない……?」

 京子が指す指の先を見てみると……ナルト目になっているニックの姿が。
確かに、ニックはフェアリーバード……
この世には存在しない生き物です。


 朱璃、アナタはそんな事くらいで自身を見失う様な、そんな弱い女の子じゃないわ……
さあ……私がもうひと押し、背中をポンと押してあげるからね……


「朱璃……アナタが知りたがっている答えは、たぶんお父さんが知ってるハズよ。
だってお父さんもアナタと同じ “ 半人半神 ” の存在から大天使になったんですもの。」

 そして、京子はその流れから朱璃を後ろから抱き締めて言いました。

「朱璃、お父さんを探しに行きなさい。
その為のサポートとして、私も手伝ってあげるからね。
朱璃……お父さんに会いたいんでしょ?」

 朱璃はもう限界でした。
これ以上、自分のココロにウソは付けません。
朱璃は涙をポロボロ流しながら、

「ワタシ、お父さんに会いたいよぉ……
もう2度と会えないって思っていたお父さんが今も生きているって分かった時からずっと……
お父さんにひと目会って、抱き締めてもらいたいんです……」

 京子は、そんな号泣する朱璃を優しく胸で抱き締めます。

「もう……分かっていたわよ、朱璃。
最初からずっとね。
だから、キュイぐるみも、ニックも、全てアナタに託したんじゃない。
朱璃……アナタは私の自慢の娘よ。」


 いえ、アナタの潜在能力はかつて『白い巫女』と呼ばれた私の全盛期を凌駕するモノになるハズよ……

 だって、アナタは “ キュルミーの能力が使える『女神』さま ” なんだからね……

 そして、その能力をアナタに身につけさせる事こそが……
魔物に襲われる確率が高いアナタの為に『譲渡の儀式』を急がせた、本当の理由なの!


















 この能力が、きっとアナタをお父さんの許へと繋げてくれるわ。
これからも、路に迷った時は己のココロに従うのよ、朱璃……








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...