きぐるみ♡女神伝

きぐるみんZ

文字の大きさ
18 / 50
第1章.母 Ⅱ

018縫.次元の歪みを探せ!

しおりを挟む
 京子は、朱璃とニックの方に振り向いて言いました。

「朱璃、ニック、ちょっとそこで待っていてくれない?」

 そう言って、京子は家の裏に回りました。
そして、京子の姿が見えなくなった途端……


……ボッ!


 朱璃は何かモジモジと膝を摺り合わせ、顔どころか耳朶まで真っ赤です。

「よくよく冷静になって考えたら……
このまま街に繰り出すん……ですか?」

しばらく時間が経って、朱璃はようやく冷静さを取り戻した様です。
そして異世界に想いを馳せていた意識がいざ現実世界に引き戻された時、改めて自分の着ている衣装の “ 異常性 ” に気付いたんです。
確かに普段着ている服と比べて、デコルテ部分を始めとして背中、おみ足と露出部分が結構ありますからね♪

「このきぐるみの格好、高校の友達に見られたら……かなり恥ずかしい……です……」

「うわっお姉ちゃん、コスプレ苦手そー。」

 ま、15才のうら若き乙女ですから当然の反応でしょうね。
しかしニック、『コスプレ』って言葉どこで……?


……プップップー!


 突然、朱璃達の後ろでクラクションが鳴りました。

「朱璃、コレに乗って行くわよ!」

 京子が、家の裏から赤い軽自動車を走らせて来たんです。
朱璃は、軽自動車の後ろの座席にスッと乗り込みます。
京子はすぐさま、朱璃がいつも使っている毛布を投げ入れます。

「さすがにその姿のままでは恥ずかしいでしょ?」


 さすがお母さん、ワタシの今の気持ちを分かっています!

 そう言えば、ワタシの生理が始まった中学校の頃から、その時だけはこうやってお母さんに軽自動車で学校まで連れてってもらった事を思い出すな……
その時も後ろの座席に乗って、こうやって毛布を被りながら……


 京子は車を動かす前に、ニックに最終確認します。

「ニック、さっき言った “ 次元の歪み ” の場所ってココで良かったのよね?」

 そう言って、京子は地図上のある一点を指差します。

「そうそう、ボクがポトッて落ちた孔は傍に “ 大きな一本松 ” があったんだよー!」


 大きな……一本松……ですか?


「そして “ 巨大な岩 ” もねー!」


 一本松と巨大な岩って、まさか……!


 そう、京子が左手人差し指でビシぃッ!と指差した場所こそ……
朱璃が自転車登校している、高校の裏山だったんです!

「ニックは普通の人には見えないから、そのまま飛んじゃってイイわよ!」

「らじゃー!」


 そして、ニックは先導する様に車の前方をすぃーと飛びます。
そのまま、軽自動車はブロロロロ……と出発したんです。


 同じくきぐるみの上からいつもの毛布を被り、口から上だけ頭を出してボ……としている朱璃。

「朱璃、どうやら着いたみたいよ!」

と京子の声がかかり、キキッとブレーキの音がしました。
車のドアを開けると、パタパタ……という音と、

「ココだよー!」

とニックの声がします。
京子と朱璃は軽自動車を降りて、ニックと3人で裏山へ入って行きました。

 ただひたすら、頂上へと続く山道を登って行きます。
普段から陽当たりが悪く、あまり人も立ち入りません。
ココなら恥ずかしさを感じずに済むので、朱璃もズンズン歩いて行けます。

 そしてしばらく歩いた後、頂上に着きました。
確かに、中央に巨大な岩が鎮座しています。
岩の前には、不気味な石碑が1つ……

「あれ?朱璃、この岩って石碑も一緒に祀ってあったっけ?」

「もうジョークばかり咬ましていないで下さい、お母さん……
この石碑からは、さっきから悪い気しか感じられませんよ!」

「何かヤな感じー!」

 朱璃は試しに巨大な岩に向かって歩いてみました。
真っ直ぐ歩いて、石碑の横を通り過ぎた、その時……

ギンッ……!

 何と、石碑の目が紅く光ってギロッと朱璃を睨み付けたんです!

「やっぱり……ですっ!」

「うわっ、石碑が独りでに……動き出したのっ?」

「あれー、ガーゴイルー!」

「ええっ、ニック、アレがガーゴイルなのぉ?
それが本当なら、かなりのバケモンよっ!」

「何ですかっ、お母さん、そのガーゴイルって?」

「簡単に言っちゃうと、打撃も魔法も効かない石の怪物よ!
さっき言った『7世界の王』の中の “ 死鬼王 ” が産み出したって聞いた事があるの!」

 でも、おかしいわ!
確か、ガーゴイルは石、すなわち無機物から創られているから目は澄んだ蒼色のハズよ!
なのに、目の前のガーゴイルは目が紅色って……

何者かに操られてるの?

「朱璃……もっと悪いお知らせがあるわ!
たぶんこのガーゴイル、誰かに操られてるわよ!」

「よっぽどワタシ達に、異世界に来て貰いたくないんじゃないですか?
お母さん、向こうで何か恨まれる様な事、やりませんでした?」

「そんな事、やる訳無いじゃないの!」

「キョウコ様は『白い巫女』、スゴいんだよー!」


















 ……ニックさん、原因はたぶんそれかも。

 『白い巫女』に異世界に帰って来て貰いたくない、って思ってる連中が仕組んだんですかね……

「今のニックさんのひと言で……
何故ガーゴイルほどの本気モンスターを使ってまで襲われなくちゃならないか、その理由が何となく分かっちゃいました。」

 お母さん……向こうの異世界の “ 黒幕 ” 連中に、どれだけ本気で嫌われてるんですか?

ウーン……って首、捻らないでー!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...