きぐるみ♡女神伝

きぐるみんZ

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第2章.妖精王

048縫.道を塞ぐモノの正体

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 アカリとニックが影を追いかけて、夕日に染まる天空の桟橋をテクテクと歩き始めてから30分くらい経った後……

「んー、どしたのー?」

 ニックが何気にアカリの方を見てみると、アカリは先程から首をやたら捻っているみたいです。
何か、納得いかない事があるんでしょうか?

「ねぇニックさん、桟橋を歩いていて何かおかしいって思いませんか?
何て言うか、あまりに順調に行き過ぎてるって言いますか……」

 ニックは、天空の桟橋の上を首を伸ばして隅から隅まで見てみます。

右を見て……左を見て……

 ニックは肩を窄めてブルルッと顔を震わせて、アカリを見ます。

「何がー?」

「『妖精王』は、確かこう仰っていませんでしたか?
…… “ 行く手を阻む仕掛けは、出口に近付くほど激しさを増します ” って。
激しくなるどころか、仕掛け自体見かけましたか?」

 ニックは、ブンブンと首を横に振ります。

「いやー、見かけてなーい!」

「本当にコレ、正しいルートなんでしょうか?
別のルートが他に隠されていたりしないですかね?
目に見えないだけで、確かにそこに存在するルートが……」

 2人は、立ち止まって辺りをキョロキョロ見回しています。
ニックがより高い視点から周りを見ようとパタパタ飛び立とうとしたその時、いつもより強い横風に煽られ後退りしました。

 その時、後退りしたニックに向かっていきなり中空から何かが叩き付けて来たんです!!!


ドムっ!ドムっ!ドドムっ!

「う……ウワワワワー!!!」


 ニックは、叩き付けを2発までは避ける事が出来ました。
しかし叩き付けのインターバルが段々短くなり、3発目は避けるのが間に合いません!
なので、ニックは口から獄炎を吐き出して迎撃したんです。
北の漁村にある『グランプス』のアジトで見せた、あの “ 火焔弾 ” です!


ゴ……ッ! ドッパァァン!


 叩き付けを止め、火焔弾の煙から姿を現したモノを見て、アカリはゴクリと息を呑みました。

「風の……尻尾……?」

 しかし、ニックとこの尻尾との一連の出来事を見て……
アカリはある確信を得た様で、頷きながらこう言いました。

「ニックさんのお陰で、正解のルートが分かりました。
正解はね、こっちだったんですよ!」

 アカリは、スッと元来た入口の方向を指しました。
そして、力強くニックに聞きました。

「来た道をまた引き戻ります。
ニックさん、全力で走り抜けましょう。
欄干の火の玉もあと2つしか浮かんでいません。
時間にして、およそ10分くらいです。
ニックさん、行けますか?」

 ニックも力強く頷きました。
2人は踵を返し、入口へと向かい走り始めました。
走りながらニックは火焔弾の溜めを、アカリは壁ドン♡の溜めを、それぞれ開始しました。


ヒュゴォォッ!

ドッパァァン! チリッチリチリ……


 まずは、四方から “ 風の渦 ” が飛んで来ました。
ニックが口から火焔弾を吐いて、渦を全て相殺しました!
獄炎と絡まった風の渦が、まるで線香花火の様に次から次へと桟橋から下へヒュルヒュル落ちて行きます。


ズゾゾゾッ……!


 風の渦が飛んで来ると同時に、地面から “ 何かの手 ” が競り出て来て行く手を阻もうとします。
この巨大な手は風で出来ており、手首に当たる部分にはクリスタルグリーンの透き通った鱗が、手の先には同じく透き通った爪が付いている『筋張った』見た目です。

 まるで……ドラゴンの手?


「危ないっ、壁ドン♡っ!」

ズザザザッ……グラァっ!


 しかしこの巨大な手は、アカリが壁ドン♡を直接手首の鱗にぶつけた反動でヨロヨロとバランスを崩しました。


ビュヴァァァッ……!!!


 その隙に、巨大な手の脇をスルリとすり抜けて行くアカリが目にしたのは……
目前に迫り来る、巨大な竜巻。
天空の桟橋もろとも、竜巻で舞い上げるつもりです。
今度は、ニックが火焔弾で竜巻を押し戻しました。


ドッグォォォ……ンッ!!!


 すると火焔弾は竜巻を吸収し、何と中空で大爆発を起こしたんです!


シュフォォォッ…… キラキラ……


 大爆発で空に赤い流れ星がたくさん尾を引いて流れる中、アカリとニックは桟橋を駆け抜けて行きます。
永年連れ添った様な、息の合ったコンビネーションです。

 すると、今度は前から背中に手首よりも巨大なクリスタルグリーンの鱗を背中に纏った風の胴体が桟橋に巻き付きながらアカリとニックに迫って来ます!


ベキ……ッ! バキ……ッ!


 桟橋の踏み板を突き破って、巨大な尻尾が襲って来ます。
アカリは攻撃をギリギリで交わしつつ、カウンターの顎クイ♡を尻尾にぶつけて軌道を変えました!


モワァァァ…… ヲォォォ……


 尻尾が空けた穴から、触腐性のガスが霧の様に立ち込めて行く手を阻みます。
ニックは羽根を扇いで “ 火災旋風 ” を起こし、ガスの霧を蒸発霧散させてしまいました!


バチッ……バチッ……


 2人は、火災旋風の横を走り抜けました。
しかし、走り抜けた先で巨大な手がアカリを横凪ぎに払おうとします……!
アカリはベリーロールの様に跳び、身を翻す様に交わしました。


 視線は桟橋から夕日の空へと移り……
まるで、アカリには秋の紅葉狩りの様な気色に見えました。
















 
 そして、初めて空中で自分達に襲い掛かったモノの顔を見たんです。
クリスタルグリーンに輝く巨大なドラゴンの顔に、風で出来た胴体が繋がっています。

「よくぞここまで参られた、 “ 選ばれし者 ” 達よ。
ワレが最後の難関、『烈風龍』なり……
見事倒して我が主、妖精王を認めさせよ!」


 その正体は、“ 7世界の王 ” を主とする7匹の古龍の1つだったんです!



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