48 / 50
第2章.妖精王
048縫.道を塞ぐモノの正体
しおりを挟む
アカリとニックが影を追いかけて、夕日に染まる天空の桟橋をテクテクと歩き始めてから30分くらい経った後……
「んー、どしたのー?」
ニックが何気にアカリの方を見てみると、アカリは先程から首をやたら捻っているみたいです。
何か、納得いかない事があるんでしょうか?
「ねぇニックさん、桟橋を歩いていて何かおかしいって思いませんか?
何て言うか、あまりに順調に行き過ぎてるって言いますか……」
ニックは、天空の桟橋の上を首を伸ばして隅から隅まで見てみます。
右を見て……左を見て……
ニックは肩を窄めてブルルッと顔を震わせて、アカリを見ます。
「何がー?」
「『妖精王』は、確かこう仰っていませんでしたか?
…… “ 行く手を阻む仕掛けは、出口に近付くほど激しさを増します ” って。
激しくなるどころか、仕掛け自体見かけましたか?」
ニックは、ブンブンと首を横に振ります。
「いやー、見かけてなーい!」
「本当にコレ、正しいルートなんでしょうか?
別のルートが他に隠されていたりしないですかね?
目に見えないだけで、確かにそこに存在するルートが……」
2人は、立ち止まって辺りをキョロキョロ見回しています。
ニックがより高い視点から周りを見ようとパタパタ飛び立とうとしたその時、いつもより強い横風に煽られ後退りしました。
その時、後退りしたニックに向かっていきなり中空から何かが叩き付けて来たんです!!!
ドムっ!ドムっ!ドドムっ!
「う……ウワワワワー!!!」
ニックは、叩き付けを2発までは避ける事が出来ました。
しかし叩き付けのインターバルが段々短くなり、3発目は避けるのが間に合いません!
なので、ニックは口から獄炎を吐き出して迎撃したんです。
北の漁村にある『グランプス』のアジトで見せた、あの “ 火焔弾 ” です!
ゴ……ッ! ドッパァァン!
叩き付けを止め、火焔弾の煙から姿を現したモノを見て、アカリはゴクリと息を呑みました。
「風の……尻尾……?」
しかし、ニックとこの尻尾との一連の出来事を見て……
アカリはある確信を得た様で、頷きながらこう言いました。
「ニックさんのお陰で、正解のルートが分かりました。
正解はね、こっちだったんですよ!」
アカリは、スッと元来た入口の方向を指しました。
そして、力強くニックに聞きました。
「来た道をまた引き戻ります。
ニックさん、全力で走り抜けましょう。
欄干の火の玉もあと2つしか浮かんでいません。
時間にして、およそ10分くらいです。
ニックさん、行けますか?」
ニックも力強く頷きました。
2人は踵を返し、入口へと向かい走り始めました。
走りながらニックは火焔弾の溜めを、アカリは壁ドン♡の溜めを、それぞれ開始しました。
ヒュゴォォッ!
ドッパァァン! チリッチリチリ……
まずは、四方から “ 風の渦 ” が飛んで来ました。
ニックが口から火焔弾を吐いて、渦を全て相殺しました!
獄炎と絡まった風の渦が、まるで線香花火の様に次から次へと桟橋から下へヒュルヒュル落ちて行きます。
ズゾゾゾッ……!
風の渦が飛んで来ると同時に、地面から “ 何かの手 ” が競り出て来て行く手を阻もうとします。
この巨大な手は風で出来ており、手首に当たる部分にはクリスタルグリーンの透き通った鱗が、手の先には同じく透き通った爪が付いている『筋張った』見た目です。
まるで……ドラゴンの手?
「危ないっ、壁ドン♡っ!」
ズザザザッ……グラァっ!
しかしこの巨大な手は、アカリが壁ドン♡を直接手首の鱗にぶつけた反動でヨロヨロとバランスを崩しました。
ビュヴァァァッ……!!!
その隙に、巨大な手の脇をスルリとすり抜けて行くアカリが目にしたのは……
目前に迫り来る、巨大な竜巻。
天空の桟橋もろとも、竜巻で舞い上げるつもりです。
今度は、ニックが火焔弾で竜巻を押し戻しました。
ドッグォォォ……ンッ!!!
すると火焔弾は竜巻を吸収し、何と中空で大爆発を起こしたんです!
シュフォォォッ…… キラキラ……
大爆発で空に赤い流れ星がたくさん尾を引いて流れる中、アカリとニックは桟橋を駆け抜けて行きます。
永年連れ添った様な、息の合ったコンビネーションです。
すると、今度は前から背中に手首よりも巨大なクリスタルグリーンの鱗を背中に纏った風の胴体が桟橋に巻き付きながらアカリとニックに迫って来ます!
ベキ……ッ! バキ……ッ!
桟橋の踏み板を突き破って、巨大な尻尾が襲って来ます。
アカリは攻撃をギリギリで交わしつつ、カウンターの顎クイ♡を尻尾にぶつけて軌道を変えました!
モワァァァ…… ヲォォォ……
尻尾が空けた穴から、触腐性のガスが霧の様に立ち込めて行く手を阻みます。
ニックは羽根を扇いで “ 火災旋風 ” を起こし、ガスの霧を蒸発霧散させてしまいました!
バチッ……バチッ……
2人は、火災旋風の横を走り抜けました。
しかし、走り抜けた先で巨大な手がアカリを横凪ぎに払おうとします……!
アカリはベリーロールの様に跳び、身を翻す様に交わしました。
視線は桟橋から夕日の空へと移り……
まるで、アカリには秋の紅葉狩りの様な気色に見えました。
そして、初めて空中で自分達に襲い掛かったモノの顔を見たんです。
クリスタルグリーンに輝く巨大なドラゴンの顔に、風で出来た胴体が繋がっています。
「よくぞここまで参られた、 “ 選ばれし者 ” 達よ。
ワレが最後の難関、『烈風龍』なり……
見事倒して我が主、妖精王を認めさせよ!」
その正体は、“ 7世界の王 ” を主とする7匹の古龍の1つだったんです!
「んー、どしたのー?」
ニックが何気にアカリの方を見てみると、アカリは先程から首をやたら捻っているみたいです。
何か、納得いかない事があるんでしょうか?
「ねぇニックさん、桟橋を歩いていて何かおかしいって思いませんか?
何て言うか、あまりに順調に行き過ぎてるって言いますか……」
ニックは、天空の桟橋の上を首を伸ばして隅から隅まで見てみます。
右を見て……左を見て……
ニックは肩を窄めてブルルッと顔を震わせて、アカリを見ます。
「何がー?」
「『妖精王』は、確かこう仰っていませんでしたか?
…… “ 行く手を阻む仕掛けは、出口に近付くほど激しさを増します ” って。
激しくなるどころか、仕掛け自体見かけましたか?」
ニックは、ブンブンと首を横に振ります。
「いやー、見かけてなーい!」
「本当にコレ、正しいルートなんでしょうか?
別のルートが他に隠されていたりしないですかね?
目に見えないだけで、確かにそこに存在するルートが……」
2人は、立ち止まって辺りをキョロキョロ見回しています。
ニックがより高い視点から周りを見ようとパタパタ飛び立とうとしたその時、いつもより強い横風に煽られ後退りしました。
その時、後退りしたニックに向かっていきなり中空から何かが叩き付けて来たんです!!!
ドムっ!ドムっ!ドドムっ!
「う……ウワワワワー!!!」
ニックは、叩き付けを2発までは避ける事が出来ました。
しかし叩き付けのインターバルが段々短くなり、3発目は避けるのが間に合いません!
なので、ニックは口から獄炎を吐き出して迎撃したんです。
北の漁村にある『グランプス』のアジトで見せた、あの “ 火焔弾 ” です!
ゴ……ッ! ドッパァァン!
叩き付けを止め、火焔弾の煙から姿を現したモノを見て、アカリはゴクリと息を呑みました。
「風の……尻尾……?」
しかし、ニックとこの尻尾との一連の出来事を見て……
アカリはある確信を得た様で、頷きながらこう言いました。
「ニックさんのお陰で、正解のルートが分かりました。
正解はね、こっちだったんですよ!」
アカリは、スッと元来た入口の方向を指しました。
そして、力強くニックに聞きました。
「来た道をまた引き戻ります。
ニックさん、全力で走り抜けましょう。
欄干の火の玉もあと2つしか浮かんでいません。
時間にして、およそ10分くらいです。
ニックさん、行けますか?」
ニックも力強く頷きました。
2人は踵を返し、入口へと向かい走り始めました。
走りながらニックは火焔弾の溜めを、アカリは壁ドン♡の溜めを、それぞれ開始しました。
ヒュゴォォッ!
ドッパァァン! チリッチリチリ……
まずは、四方から “ 風の渦 ” が飛んで来ました。
ニックが口から火焔弾を吐いて、渦を全て相殺しました!
獄炎と絡まった風の渦が、まるで線香花火の様に次から次へと桟橋から下へヒュルヒュル落ちて行きます。
ズゾゾゾッ……!
風の渦が飛んで来ると同時に、地面から “ 何かの手 ” が競り出て来て行く手を阻もうとします。
この巨大な手は風で出来ており、手首に当たる部分にはクリスタルグリーンの透き通った鱗が、手の先には同じく透き通った爪が付いている『筋張った』見た目です。
まるで……ドラゴンの手?
「危ないっ、壁ドン♡っ!」
ズザザザッ……グラァっ!
しかしこの巨大な手は、アカリが壁ドン♡を直接手首の鱗にぶつけた反動でヨロヨロとバランスを崩しました。
ビュヴァァァッ……!!!
その隙に、巨大な手の脇をスルリとすり抜けて行くアカリが目にしたのは……
目前に迫り来る、巨大な竜巻。
天空の桟橋もろとも、竜巻で舞い上げるつもりです。
今度は、ニックが火焔弾で竜巻を押し戻しました。
ドッグォォォ……ンッ!!!
すると火焔弾は竜巻を吸収し、何と中空で大爆発を起こしたんです!
シュフォォォッ…… キラキラ……
大爆発で空に赤い流れ星がたくさん尾を引いて流れる中、アカリとニックは桟橋を駆け抜けて行きます。
永年連れ添った様な、息の合ったコンビネーションです。
すると、今度は前から背中に手首よりも巨大なクリスタルグリーンの鱗を背中に纏った風の胴体が桟橋に巻き付きながらアカリとニックに迫って来ます!
ベキ……ッ! バキ……ッ!
桟橋の踏み板を突き破って、巨大な尻尾が襲って来ます。
アカリは攻撃をギリギリで交わしつつ、カウンターの顎クイ♡を尻尾にぶつけて軌道を変えました!
モワァァァ…… ヲォォォ……
尻尾が空けた穴から、触腐性のガスが霧の様に立ち込めて行く手を阻みます。
ニックは羽根を扇いで “ 火災旋風 ” を起こし、ガスの霧を蒸発霧散させてしまいました!
バチッ……バチッ……
2人は、火災旋風の横を走り抜けました。
しかし、走り抜けた先で巨大な手がアカリを横凪ぎに払おうとします……!
アカリはベリーロールの様に跳び、身を翻す様に交わしました。
視線は桟橋から夕日の空へと移り……
まるで、アカリには秋の紅葉狩りの様な気色に見えました。
そして、初めて空中で自分達に襲い掛かったモノの顔を見たんです。
クリスタルグリーンに輝く巨大なドラゴンの顔に、風で出来た胴体が繋がっています。
「よくぞここまで参られた、 “ 選ばれし者 ” 達よ。
ワレが最後の難関、『烈風龍』なり……
見事倒して我が主、妖精王を認めさせよ!」
その正体は、“ 7世界の王 ” を主とする7匹の古龍の1つだったんです!
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる