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第7話:幼女、暴れる
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「いーや、だめだっ!そんな物を見せたって、お前みたいなガキは連れてけん! いいか、ルゥルゥ? これはオ・ト・ナのお仕事なんだ。特に今回の案件はやばい! こいつのせいでなっ」
「とぅいまて~ん、だってぇ~他に案件残ってなかったですも~ん」
タクヤはギルド活動へ同行を志願するルゥルゥを拒んだ。
一方のフレデリカはてへぺろと舌を出して自身の頭をコツンと軽くげんこつ。
うぜぇ……
「というわけだ、ルゥルゥ! 子供はお家へ帰って、糞して、寝な!」
「むー! いやだといったら、ですぅ! ミスト・ドラゴニウム!」
「うぉっ!? 何をするっ!? 目が――!?前が見えない――!」
「たたた、たっくんっ!?」
先程の極小規模の霧の竜巻はまだ生きており、それが蛇のように伸びタクヤの顔面周囲にまとわりついた。
フレデリカはいつものハイテンションから一点、お口をあんぐりと開けてうろたえている。
「くそっ、フラフラする!なにか捕まるところは……、ん? なにかに触れ……、てどわちゃちゃちゃああああああああああああああああああ――――!」
「きゃああああああああ――――!?」
がっしゃあああああん、とギルド酒場のレギュラーメニューである、客の日替わりブレンドコーヒーMサイズ(一杯190ギル)のコーヒーカップに手をかけてしまい、中身を床にぶちまけてしまった。
突然ふらつき出したタクヤの一連の動きに他人の女性が悲鳴を上げる。
幸い女性の服及び身体にコーヒーはこぼれてはいないようだった。
「あちいっ! なんか冷やすもんっ!」
「ウォーター・バルーン!」
ぎゅううううう
ルゥルゥが呪文を詠唱すると、大気中の水がタクヤのやけどした手に凝集し、半径0.3メートルの水塊を形成、彼の手を冷やす。
――数分後――
「すいません、すいません。うちの妹がっ! ほら謝るんだっ! コーヒー代は弁償しますから!」
「ご、ごめんなさいですぅ……」
「ああ、いや、いいのよ? こっちは怪我しなかったんだから?」
タクヤはルゥルゥの頭をがしりと鷲掴みし無理やりお辞儀させる。
コーヒーをこぼされた側の女性が優しい人でよかった、とタクヤは心の中で安堵していた。
「たっくん、妹って大分無理あるんじゃないかしら?」
「うるせっ、緊急事態だったからこうするしかないんだよ?」
「だいたい糞して寝ろって……、あっはははは! たっくん、それじゃあ女子的にはNGよっ!? デリカシーに欠けるわね」
「フレデリカさんの言うとおりですぅ」
「あー! あー! もうっ! 悪かったよ! 俺たちの仕事についてくるんなら勝手にしろっ! 但し命の保証はないからな!」
「ありがとうございますですぅ!」
こんなに小さい幼女が危険な戦いに巻き込まれることが許せない。
普段から面倒臭がりでもそういったことを思っていたので、ルゥルゥを強制帰宅させようとしたのであった。
「ところで、なんで俺たちに同行したいんだ、ルゥルゥ?」
「なんというか……、ほっとけないんですぅ。だってタクヤ様のお部屋ぐちゃぐちゃに散らかっていたのですから、これ以上ダメダメにならないよう見張ろうかと……」
「幼女に見張られる……だと……」
「うふふふふ……、でもラッキーだわぁっ! まさかの戦力が手に入るなんてぇ……、これでSSランク昇格も現実味を帯びてきたわぁ。ぐっふっふ……、うふふふふふふぅ!」
「悪い顔だぞ、フレデリカ。顔芸がやばい」
「たっくんには悪いけど、多分ルーたんはたっくんに貸しでもあるのかしらねぇ。ダガーの件がなくともついてくるわよ?」
最早自分のことしか考えていないフレデリカ。口角をぐにゃりと引き上げ目がイッている笑みが凶悪だ。
タクヤが先日カロリーフレンズをルゥルゥに差し上げた件といい、彼女への貸しがあるという事実はあるので、フレデリカという女は洞察力鋭いのかもしれないとタクヤは感心していたようである。
チリン、チリリリリン!
突然タクヤたちの背後、位置にして中央のギルド酒場のフロントから心地の良いベルの音が周囲に響き渡る。
ベル振ってを鳴らしているのは、ギルド受付嬢のスキャッタさんである。
ショートボブの清楚なお姉さんである。いわゆる女子アナ系だ。
「は~いっ!案件ナンバー632を受注のみなさ~ん!作業場への転送ゲートを開きましたので集合お願いしま~す!」
「はいっ!は~い!」
タクヤはスキャッタさんの声に反応し返答するが、その返答の声色に女性陣は、
「……くっ……、たっくん、私という女がいときながらあああっ!」
「いつから俺の女になったんだお前……、お前のような厚かましい女には興味ないね?」
「ぐす!振られたぁ……、ひどい……、ひどすぎるぅ……。後でオレンジジュースおごりねぇ?」
ペナルティちゃっちいな!
タクヤ一行は転送ゲートに向かうべく、受付へと歩く。
それと同時に数名の小隊ギルドがあと3、4か。
どのギルドも逸る気持ちを抑えている様子だ。ギガントトロルを相手にするということだからそれなりに血の気の多い変わった連中ばかりが集まるのだろうか、とタクヤは不安げな表情を浮かべていた。
「とぅいまて~ん、だってぇ~他に案件残ってなかったですも~ん」
タクヤはギルド活動へ同行を志願するルゥルゥを拒んだ。
一方のフレデリカはてへぺろと舌を出して自身の頭をコツンと軽くげんこつ。
うぜぇ……
「というわけだ、ルゥルゥ! 子供はお家へ帰って、糞して、寝な!」
「むー! いやだといったら、ですぅ! ミスト・ドラゴニウム!」
「うぉっ!? 何をするっ!? 目が――!?前が見えない――!」
「たたた、たっくんっ!?」
先程の極小規模の霧の竜巻はまだ生きており、それが蛇のように伸びタクヤの顔面周囲にまとわりついた。
フレデリカはいつものハイテンションから一点、お口をあんぐりと開けてうろたえている。
「くそっ、フラフラする!なにか捕まるところは……、ん? なにかに触れ……、てどわちゃちゃちゃああああああああああああああああああ――――!」
「きゃああああああああ――――!?」
がっしゃあああああん、とギルド酒場のレギュラーメニューである、客の日替わりブレンドコーヒーMサイズ(一杯190ギル)のコーヒーカップに手をかけてしまい、中身を床にぶちまけてしまった。
突然ふらつき出したタクヤの一連の動きに他人の女性が悲鳴を上げる。
幸い女性の服及び身体にコーヒーはこぼれてはいないようだった。
「あちいっ! なんか冷やすもんっ!」
「ウォーター・バルーン!」
ぎゅううううう
ルゥルゥが呪文を詠唱すると、大気中の水がタクヤのやけどした手に凝集し、半径0.3メートルの水塊を形成、彼の手を冷やす。
――数分後――
「すいません、すいません。うちの妹がっ! ほら謝るんだっ! コーヒー代は弁償しますから!」
「ご、ごめんなさいですぅ……」
「ああ、いや、いいのよ? こっちは怪我しなかったんだから?」
タクヤはルゥルゥの頭をがしりと鷲掴みし無理やりお辞儀させる。
コーヒーをこぼされた側の女性が優しい人でよかった、とタクヤは心の中で安堵していた。
「たっくん、妹って大分無理あるんじゃないかしら?」
「うるせっ、緊急事態だったからこうするしかないんだよ?」
「だいたい糞して寝ろって……、あっはははは! たっくん、それじゃあ女子的にはNGよっ!? デリカシーに欠けるわね」
「フレデリカさんの言うとおりですぅ」
「あー! あー! もうっ! 悪かったよ! 俺たちの仕事についてくるんなら勝手にしろっ! 但し命の保証はないからな!」
「ありがとうございますですぅ!」
こんなに小さい幼女が危険な戦いに巻き込まれることが許せない。
普段から面倒臭がりでもそういったことを思っていたので、ルゥルゥを強制帰宅させようとしたのであった。
「ところで、なんで俺たちに同行したいんだ、ルゥルゥ?」
「なんというか……、ほっとけないんですぅ。だってタクヤ様のお部屋ぐちゃぐちゃに散らかっていたのですから、これ以上ダメダメにならないよう見張ろうかと……」
「幼女に見張られる……だと……」
「うふふふふ……、でもラッキーだわぁっ! まさかの戦力が手に入るなんてぇ……、これでSSランク昇格も現実味を帯びてきたわぁ。ぐっふっふ……、うふふふふふふぅ!」
「悪い顔だぞ、フレデリカ。顔芸がやばい」
「たっくんには悪いけど、多分ルーたんはたっくんに貸しでもあるのかしらねぇ。ダガーの件がなくともついてくるわよ?」
最早自分のことしか考えていないフレデリカ。口角をぐにゃりと引き上げ目がイッている笑みが凶悪だ。
タクヤが先日カロリーフレンズをルゥルゥに差し上げた件といい、彼女への貸しがあるという事実はあるので、フレデリカという女は洞察力鋭いのかもしれないとタクヤは感心していたようである。
チリン、チリリリリン!
突然タクヤたちの背後、位置にして中央のギルド酒場のフロントから心地の良いベルの音が周囲に響き渡る。
ベル振ってを鳴らしているのは、ギルド受付嬢のスキャッタさんである。
ショートボブの清楚なお姉さんである。いわゆる女子アナ系だ。
「は~いっ!案件ナンバー632を受注のみなさ~ん!作業場への転送ゲートを開きましたので集合お願いしま~す!」
「はいっ!は~い!」
タクヤはスキャッタさんの声に反応し返答するが、その返答の声色に女性陣は、
「……くっ……、たっくん、私という女がいときながらあああっ!」
「いつから俺の女になったんだお前……、お前のような厚かましい女には興味ないね?」
「ぐす!振られたぁ……、ひどい……、ひどすぎるぅ……。後でオレンジジュースおごりねぇ?」
ペナルティちゃっちいな!
タクヤ一行は転送ゲートに向かうべく、受付へと歩く。
それと同時に数名の小隊ギルドがあと3、4か。
どのギルドも逸る気持ちを抑えている様子だ。ギガントトロルを相手にするということだからそれなりに血の気の多い変わった連中ばかりが集まるのだろうか、とタクヤは不安げな表情を浮かべていた。
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