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一緒にランチをしましょう。
しおりを挟む誰かに優しく頭を撫でられている。
そんな気がして目をあけると…
「…ッ!!」
目の前にイケメンがいました。
もう呼吸止まったよ!一瞬だったけど!
「ジェ、ジェラルド…びっくりしました。」
「すまない。すごく可愛らしい寝顔だったからつい。」
もうやめてほしい。寝顔とか絶対可愛くないから。1番みられたくないところだから。
するとクスクスと笑っているジェラルドの姿。どうやら拗ねている私をみて笑っているようだ。
「君はこんなに表情が豊かな子だったんだね。」
そう言ったジェラルドの表情は後悔だった。
頬を撫でる手は優しく、そして後悔を表していた顔はいつの間にか甘いマスクに変化していた。
「もっと、もっと沢山みせてほしい。君の可愛らしい姿や情けない姿も、他にも沢山。」
もう私、真っ赤ですよ。真っ赤。
口もパクパク魚のように開け閉めして言葉が紡がれることはない。
ジェラルドは相変わらず私の頬を撫でながら優しく微笑んでいる。
そんな私たちをいつからみていたのか、執事さんが咳払いをした。
「ジェラルド様、リリアーナ様が躊躇っておいでです。ほどほどに。」
「すまない。あまりにも可愛くて手が離せなくなった。」
執事さんはやれやれといった様子でジェラルドをみた。
そして私に視線を向けると微笑み頭を下げた。
「私、執事をしておりますルーカスと申します。宜しくお願いします。」
私も頭を下げると、昼食の準備をしていたと思われるメイドさんがルーカスさんの横に並んだ。
「リリアーナ様付きのメイドになりましたユリでございます。宜しくお願いします。」
「ルーカスさんとユリさん。」
名前を覚える為に声にだす。
「リリアーナ様、ルーカスとお呼び下さい。ユリのことも。」
「わかりました。ルーカス、ユリ、よろしくお願いしますね。」
2人は笑顔で頷いてくれた。
移動しないでいいようにと、私が寝ていた部屋のテラスに昼食が用意されていた。
「もう少し回復するまでは此方で我慢して下さいませね。」
ユリにそう言われて準備されたのはスープと少量のパンにフルーツだった。
食欲があまりないからちょうどいい。
小さく刻まれた野菜のスープは食べやすく、消化に良さそうだ。
パンもすごく柔らかくて美味しい。
ジェラルドも向かい側で同じものを食べていた。
「ジェラルドはそれでたりるの?私に合わせてくれてるなら無理しなくていいのよ?」
「私はいつも昼食は抜いているんだ。だからこれくらいでちょうどいいんだよ。」
「昼食を抜くなんて身体によくないわ。男性なんだから尚更しっかり食べなきゃ。」
「ふふ。そうだね。それじゃぁ、今度からリリアーナと一緒に食べようかな。」
ジェラルドは既に全て食べ終わったらしく此方をみてニコニコしている。
居た堪れなくなって視線を移すと美しい庭園がみえた。
「わぁ、すごく綺麗!」
「あぁ、我が家自慢の庭園だよ。また明日にでも見に行こうか。」
「今日はダメなの?」
こんなに素敵な庭園だ。この後散歩がてら見に行きたい。
「あまり無理するのはよくない。今日はもう横になって、明日一緒に見に行こう。」
少し残念ではあるが、無理して倒れるのもよくない。
ここは素直にきくことにした。
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