転生したそうです。

ノノ

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ジェラルド視点

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リリアーナの作ったランチはとても美味しかった。コックたちが彼女を褒めていたとルーカスからきいていたが、コックたちにも負けないくらいリリアーナの作ったものは美味しかった。

庭園を案内している間、表情がコロコロと変わる彼女はすごく可愛らしい。
煌びやかな花も素敵だと褒めていたが、彼女はどちらかと言うと質素な小さい花が好きなようにみえた。
池の辺りでシートを敷いていた時、野花を踏まないように避けている姿をみて微笑んでしまった。


ふと会話がなくなる。
彼女は空を見上げながら何か思いを馳せているようにみえた。
その姿が彼女の年齢よりも上の落ち着いた女性にみえる。
今まで関わりがなかったとは言え挨拶程度には接していた妻。その今までの彼女と一瞬別人にみえてしまったのは気のせいだろうか。





リリアーナとの楽しい休日はあっという間に過ぎていき、自分の執務室へ向かう為に王城内を歩いていた時だった。

「グロスター公爵様。」

呼び止められ振り返ると司書官が此方へ息を切らせながら足早に歩いてくる。

「お呼び止めして申し訳ありません。此方を公爵夫人に頼まれておりまして…。やっとみつけたので、できましたらお渡しいただけたらと…ハァハァ。」

「それは構わないが、大丈夫か?」

息を切らしているこの司書官は、よくリリアーナが王宮図書館を利用しているときに接することが多かった人物だ。
本を受け取ると司書官は去っていった。


仕事を終え屋敷に戻る。リリアーナに出迎えて貰うと、我が家に帰ってきたという落ち着いた気持ちになり肩の力が抜けた。
最近の夕食の席では今まで無言で黙々と食事をしていたのが嘘のように、明るく会話をしながら楽しい食事をしている。
食後の2人でお茶を嗜む時間も幸せで大切な時間だと思えるようになった。

自室へ戻ると、机に置いていた本が視界に入った。
それは司書官に渡された本。その中身はまじないの類いだった。
記憶が無くなる前のリリアーナが頼んでいたという本。
背表紙を指で撫でると、部屋にいたルーカスが思いついたように声をだした。

「そう言えば、一時期色々なまじないをリリアーナ様は試されておいでのようでした。」

「まじない?」

「はい。ジェラルド様が持って帰られたそちらの本。何処かでみたことがあるなと思っていたのですが、たしかリリアーナ様が以前読んでいらしたと思い出しまして。」

「リリアーナがコレを読んでいただと?」

「何かございましたか?」

ジェラルドの顔は険しくなる。
何故ならコレは司書官にリリアーナがさがすように頼んでいた本だ。それを既に読んでいたというのか。

深読みしすぎか…。

ただ単に一度読んだ本をもう一度読む為に頼んだのだろうか…。

本を手に取りパラパラとめくっていると、とあるページで手がとまった。
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