85 / 262
第二章
[ 081 ] 魔法リフト
しおりを挟む
適当なお店でお昼を食べると、ロゼさんと共に待ち合わせ場所であるAエリアへと向かった。
「ハリルベルは、まだきてないみたいですね」
「ロイエさん、お待ちしてました」
「リュカさん。魔法研究所の方とは会えましたか?」
「はい。魔法研究所にフィーアさんも無事に護送されたようです」
王国騎士団が取り返しに来るかと思ったけど、一足早く警戒網を抜かれたか。僕の正体がフィーアからバレる危険はとりあえず遠のいた。
「前々から気になってたんですが、どうやって連絡を取り合ってるんですか?」
「魔力水晶通信機です。通称『クリスフォン』と言います。このくらいの大きさです」
リュカさんは胸の前で、ビーチボールくらいの円を描いて説明してくれた。
「水晶は微振動を繰り返しているのですが、魔力を流すと同じ周波数の水晶同士が共鳴して、離れた相手と会話が可能なんです」
宅電みたいなものか。結構大きいな……。持ち運ぶのは難しそうだ。
「ナッシュに持ってきた私の水晶は、東門の外に停めていた船の中に置いてきてしまったので、連絡が取れずに困っていました」
「あれ、でもフィーアが王国騎士団に連絡してたなら、ギルドの水晶が騎士団と繋がっていた……ということですか?」
「いえ、フィーアさんはもっと小型の魔力水晶で、手のひらサイズのクリスフォンを隠し持っていました」
「それは、リュカさん達は持っていないんですか?」
「そこまで小型のクリスフォンを作る技術を我々は持っていないのです。ただ小型のクリスフォンは遠距離通話は不可能なので、いけて街一つ分という話です」
技術力では王国騎士団には勝てないのか……。情報伝達の速さでは完全に負けている。
「おーい! 遅くなってごめーん」
話していると、少し遅れてハリルベルが合流した。ハリルベルの腰の剣が無くなっている。
「ハリルベル、剣は?」
「人質に取られた……」
何があったのか気になるけど、いまは樹上の街アストを目指したい。それはなぜかと言うと……。
『まもなく、リフトの時間となります。ご利用の方はAエリアへお集まりください!』
風魔法を使ったアナウンスが街中に響き渡り、聞きつけた人がAエリアへと集まってきた。
「ん? 何が始まるんだ?」
「ああ、ハリルベルは聞いてなかったっけ」
「魔法リフトです。フォレストでは上下の街を行き来するために、魔法を使ったリフトを一日に四回動かしています」
「魔法リフト?」
「説明は後で。さぁ、私たちも急ぎましょう」
リュカさんに促されてAエリアに設置された巨大なプレートの上に乗った。広的にはグラウンド一周分ほどはある広さで周りには手すりが設置されている。
リフトの仕組みとしては、まず地面に巨大な穴をあけてそこへ水を入れる。その上に頑丈な網を設置して、その上にリフトと呼ばれるプレートを置いてあるだけだ。
プレートの四隅に配置された水魔法使いによる魔法で、リフトの下の水を操り、樹上の都市アストへと押し上げる。
『それではー! リフトの時間となりました! 三! 二! 一!』
リフトの四隅にいる魔法使いが一斉に魔法を発動させる。
「「「「ヴァリアブルクヴェレ」」」」
四人の魔法使いによる、水魔法練度★四の魔法が同時に発動。微振動の後、一人につき二匹の水の蛇、計八匹の水蛇がゆっくりリフトが上昇させ……あっという間に樹上の街アストへと、僕たち搭乗者を押し上げた。
「ハリルベルは、まだきてないみたいですね」
「ロイエさん、お待ちしてました」
「リュカさん。魔法研究所の方とは会えましたか?」
「はい。魔法研究所にフィーアさんも無事に護送されたようです」
王国騎士団が取り返しに来るかと思ったけど、一足早く警戒網を抜かれたか。僕の正体がフィーアからバレる危険はとりあえず遠のいた。
「前々から気になってたんですが、どうやって連絡を取り合ってるんですか?」
「魔力水晶通信機です。通称『クリスフォン』と言います。このくらいの大きさです」
リュカさんは胸の前で、ビーチボールくらいの円を描いて説明してくれた。
「水晶は微振動を繰り返しているのですが、魔力を流すと同じ周波数の水晶同士が共鳴して、離れた相手と会話が可能なんです」
宅電みたいなものか。結構大きいな……。持ち運ぶのは難しそうだ。
「ナッシュに持ってきた私の水晶は、東門の外に停めていた船の中に置いてきてしまったので、連絡が取れずに困っていました」
「あれ、でもフィーアが王国騎士団に連絡してたなら、ギルドの水晶が騎士団と繋がっていた……ということですか?」
「いえ、フィーアさんはもっと小型の魔力水晶で、手のひらサイズのクリスフォンを隠し持っていました」
「それは、リュカさん達は持っていないんですか?」
「そこまで小型のクリスフォンを作る技術を我々は持っていないのです。ただ小型のクリスフォンは遠距離通話は不可能なので、いけて街一つ分という話です」
技術力では王国騎士団には勝てないのか……。情報伝達の速さでは完全に負けている。
「おーい! 遅くなってごめーん」
話していると、少し遅れてハリルベルが合流した。ハリルベルの腰の剣が無くなっている。
「ハリルベル、剣は?」
「人質に取られた……」
何があったのか気になるけど、いまは樹上の街アストを目指したい。それはなぜかと言うと……。
『まもなく、リフトの時間となります。ご利用の方はAエリアへお集まりください!』
風魔法を使ったアナウンスが街中に響き渡り、聞きつけた人がAエリアへと集まってきた。
「ん? 何が始まるんだ?」
「ああ、ハリルベルは聞いてなかったっけ」
「魔法リフトです。フォレストでは上下の街を行き来するために、魔法を使ったリフトを一日に四回動かしています」
「魔法リフト?」
「説明は後で。さぁ、私たちも急ぎましょう」
リュカさんに促されてAエリアに設置された巨大なプレートの上に乗った。広的にはグラウンド一周分ほどはある広さで周りには手すりが設置されている。
リフトの仕組みとしては、まず地面に巨大な穴をあけてそこへ水を入れる。その上に頑丈な網を設置して、その上にリフトと呼ばれるプレートを置いてあるだけだ。
プレートの四隅に配置された水魔法使いによる魔法で、リフトの下の水を操り、樹上の都市アストへと押し上げる。
『それではー! リフトの時間となりました! 三! 二! 一!』
リフトの四隅にいる魔法使いが一斉に魔法を発動させる。
「「「「ヴァリアブルクヴェレ」」」」
四人の魔法使いによる、水魔法練度★四の魔法が同時に発動。微振動の後、一人につき二匹の水の蛇、計八匹の水蛇がゆっくりリフトが上昇させ……あっという間に樹上の街アストへと、僕たち搭乗者を押し上げた。
0
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる