求:回復術師 〜絶対見捨てない為に、僕が今できる事〜

猫鈴うみゃ

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第二章

[ 081 ] 魔法リフト

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 適当なお店でお昼を食べると、ロゼさんと共に待ち合わせ場所であるAエリアへと向かった。

「ハリルベルは、まだきてないみたいですね」
「ロイエさん、お待ちしてました」
「リュカさん。魔法研究所の方とは会えましたか?」
「はい。魔法研究所にフィーアさんも無事に護送されたようです」

 王国騎士団が取り返しに来るかと思ったけど、一足早く警戒網を抜かれたか。僕の正体がフィーアからバレる危険はとりあえず遠のいた。

「前々から気になってたんですが、どうやって連絡を取り合ってるんですか?」
「魔力水晶通信機です。通称『クリスフォン』と言います。このくらいの大きさです」

 リュカさんは胸の前で、ビーチボールくらいの円を描いて説明してくれた。

「水晶は微振動を繰り返しているのですが、魔力を流すと同じ周波数の水晶同士が共鳴して、離れた相手と会話が可能なんです」

 宅電みたいなものか。結構大きいな……。持ち運ぶのは難しそうだ。

「ナッシュに持ってきた私の水晶は、東門の外に停めていた船の中に置いてきてしまったので、連絡が取れずに困っていました」
「あれ、でもフィーアが王国騎士団に連絡してたなら、ギルドの水晶が騎士団と繋がっていた……ということですか?」
「いえ、フィーアさんはもっと小型の魔力水晶で、手のひらサイズのクリスフォンを隠し持っていました」
「それは、リュカさん達は持っていないんですか?」
「そこまで小型のクリスフォンを作る技術を我々は持っていないのです。ただ小型のクリスフォンは遠距離通話は不可能なので、いけて街一つ分という話です」

 技術力では王国騎士団には勝てないのか……。情報伝達の速さでは完全に負けている。

「おーい! 遅くなってごめーん」

 話していると、少し遅れてハリルベルが合流した。ハリルベルの腰の剣が無くなっている。

「ハリルベル、剣は?」
「人質に取られた……」

 何があったのか気になるけど、いまは樹上の街アストを目指したい。それはなぜかと言うと……。

『まもなく、リフトの時間となります。ご利用の方はAエリアへお集まりください!』

 風魔法を使ったアナウンスが街中に響き渡り、聞きつけた人がAエリアへと集まってきた。

「ん? 何が始まるんだ?」
「ああ、ハリルベルは聞いてなかったっけ」
「魔法リフトです。フォレストでは上下の街を行き来するために、魔法を使ったリフトを一日に四回動かしています」
「魔法リフト?」
「説明は後で。さぁ、私たちも急ぎましょう」

 リュカさんに促されてAエリアに設置された巨大なプレートの上に乗った。広的にはグラウンド一周分ほどはある広さで周りには手すりが設置されている。

 リフトの仕組みとしては、まず地面に巨大な穴をあけてそこへ水を入れる。その上に頑丈な網を設置して、その上にリフトと呼ばれるプレートを置いてあるだけだ。

 プレートの四隅に配置された水魔法使いによる魔法で、リフトの下の水を操り、樹上の都市アストへと押し上げる。

『それではー! リフトの時間となりました! 三! 二! 一!』

リフトの四隅にいる魔法使いが一斉に魔法を発動させる。

「「「「ヴァリアブルクヴェレ」」」」

 四人の魔法使いによる、水魔法練度★四の魔法が同時に発動。微振動の後、一人につき二匹の水の蛇、計八匹の水蛇がゆっくりリフトが上昇させ……あっという間に樹上の街アストへと、僕たち搭乗者を押し上げた。
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