求:回復術師 〜絶対見捨てない為に、僕が今できる事〜

猫鈴うみゃ

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第三章

[ 165 ] ミネラの進捗

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 バスター鉱石の調査結果と防具の進捗報告がしたいという事なので、ミネラさんのお店にお邪魔することになった。

「まず、バスター鉱石の検証結果ですが、このサイズが限界でした」

 コトっとテーブルに置いたのは、手のひらより少し小さいくらい薄く削った丸いバスター鉱石だった。何が限界なのかわからなくて続きを待っていると、目が合ったミネラさんが説明を続けてくれた。

「どのサイズまで効果があるのか調べたところ、このサイズで約5パーセントの魔法効果アップ。これ以上のサイズは全て効果が同じでした」
「え? この鉱石……魔法の効果が上がるんですか?」

 話を聞いて、ロゼの目が既にお金のマークになっている。そりゃ購買欲そそるよね。でもいまは黙っていてもらおう。

「5パーセントが限界ですか、でもこれをたくさん装備すれば」
「それもダメでした。何個身につけても効果があるのは5パーセントまででした」

 なるほど……。どれだけ装備しても、5パーセントしか効果はないのか……。

 しかし、5パーセントでも重力魔法だとそれなりの効果アップが見込める。レーラとの修行でわかったけど、同じ重力魔法使い同士の戦いにおいて、この5パーセントは強力なアドバンテージになる。

「バスター鉱石の検証結果は以上でして、次に防具の進捗に関してですが、実は籠手に関しては作り終えてます」

 そう言ってミネラさんがカウンターの下から出してきたのは、全体的に黒いデザインの籠手だった。見たところ革や黒い鉄のような物で補強されており、とても使いやすそうだ。

「手につけて、フィット具合を確かめてください。気になる点がありましたら直しますので」

 手に取ると驚くほど軽い。バスター鉱石はどこについてるのかと思ったら、先ほど見せてもらったのと同様に薄く丸く削られて腕の内側に付けられていた。

「実はバスター鉱石で一番の問題なのが強度です」
「やはり脆いんですか?」
「ええ、ハンマーで叩いたら一発で割れて効果はほとんど無くなるでしょう」
「ピッケルでサクサク採掘出来ましたもんね……」
「そうなのです。だから攻撃を受けにくい場所に設置する必要がありまして、腕の内側に決めました」

 確かに手のひらは武器が持てなくなるし、手の甲や腕だと攻撃を受け止めることがある。結果的に腕の内側しか残らないか。

「先ほども言いましたが、複数あっても効果が重複することはないので、両腕両脚にそれぞれ一つずつ、鎧の背中に二つで考えています」
「激しい戦闘だとしても六回までは壊れても大丈夫ってことですね」
「そうですね。ただ土魔法練度★2のドルックのような破壊魔法や広範囲攻撃を受けると、一発で全部壊れると思われます」
「なるほど……気をつけないとですね」
「どうですか? 受けた感じは」

 説明を聞きながら腕に着けてみたけど、すごく良い……。キツくもなくすごく自然だ。

「これすっごく良いですよ! ミネラさん」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです。では後、脚と鎧を三週間以内に作成いたしますね」
「はい! お願いします!」

 そう挨拶をしたところで、ミネラさんの視線が僕ではなくロゼに切り替わっていた。

「あのー、ロゼさんの籠手……見せてもらいませんか?」

 やはり気になっていたのか、ロゼの魔石装具に途中から気付いたみたいで、ミネラさんはずっとウズウズしていた。

「これ……ですか?」
「はい、じゅるり」
「ちょっとこちらへ……」
「え! あの! ロイエさーん」

 ずるずるとロゼがマッドサイエンティストと化したミネラさんに店の奥へ連れてかれた。

「あの、ちょ! ミネラさん?!」
「うへへ、こっちも脱いでください!」
「きゃ、そこはちょっと……」
「へぇ、こんなふうになってるんですね」
「あっやっ……」

 なんだか、怪しい声が聞こえてくる。店の奥で何をされているのか……。珍しい自作の装備をしていたロゼはミネラさんのおもちゃにされてしまった。
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