171 / 262
第三章
[ 165 ] ミネラの進捗
しおりを挟む
バスター鉱石の調査結果と防具の進捗報告がしたいという事なので、ミネラさんのお店にお邪魔することになった。
「まず、バスター鉱石の検証結果ですが、このサイズが限界でした」
コトっとテーブルに置いたのは、手のひらより少し小さいくらい薄く削った丸いバスター鉱石だった。何が限界なのかわからなくて続きを待っていると、目が合ったミネラさんが説明を続けてくれた。
「どのサイズまで効果があるのか調べたところ、このサイズで約5パーセントの魔法効果アップ。これ以上のサイズは全て効果が同じでした」
「え? この鉱石……魔法の効果が上がるんですか?」
話を聞いて、ロゼの目が既にお金のマークになっている。そりゃ購買欲そそるよね。でもいまは黙っていてもらおう。
「5パーセントが限界ですか、でもこれをたくさん装備すれば」
「それもダメでした。何個身につけても効果があるのは5パーセントまででした」
なるほど……。どれだけ装備しても、5パーセントしか効果はないのか……。
しかし、5パーセントでも重力魔法だとそれなりの効果アップが見込める。レーラとの修行でわかったけど、同じ重力魔法使い同士の戦いにおいて、この5パーセントは強力なアドバンテージになる。
「バスター鉱石の検証結果は以上でして、次に防具の進捗に関してですが、実は籠手に関しては作り終えてます」
そう言ってミネラさんがカウンターの下から出してきたのは、全体的に黒いデザインの籠手だった。見たところ革や黒い鉄のような物で補強されており、とても使いやすそうだ。
「手につけて、フィット具合を確かめてください。気になる点がありましたら直しますので」
手に取ると驚くほど軽い。バスター鉱石はどこについてるのかと思ったら、先ほど見せてもらったのと同様に薄く丸く削られて腕の内側に付けられていた。
「実はバスター鉱石で一番の問題なのが強度です」
「やはり脆いんですか?」
「ええ、ハンマーで叩いたら一発で割れて効果はほとんど無くなるでしょう」
「ピッケルでサクサク採掘出来ましたもんね……」
「そうなのです。だから攻撃を受けにくい場所に設置する必要がありまして、腕の内側に決めました」
確かに手のひらは武器が持てなくなるし、手の甲や腕だと攻撃を受け止めることがある。結果的に腕の内側しか残らないか。
「先ほども言いましたが、複数あっても効果が重複することはないので、両腕両脚にそれぞれ一つずつ、鎧の背中に二つで考えています」
「激しい戦闘だとしても六回までは壊れても大丈夫ってことですね」
「そうですね。ただ土魔法練度★2のドルックのような破壊魔法や広範囲攻撃を受けると、一発で全部壊れると思われます」
「なるほど……気をつけないとですね」
「どうですか? 受けた感じは」
説明を聞きながら腕に着けてみたけど、すごく良い……。キツくもなくすごく自然だ。
「これすっごく良いですよ! ミネラさん」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです。では後、脚と鎧を三週間以内に作成いたしますね」
「はい! お願いします!」
そう挨拶をしたところで、ミネラさんの視線が僕ではなくロゼに切り替わっていた。
「あのー、ロゼさんの籠手……見せてもらいませんか?」
やはり気になっていたのか、ロゼの魔石装具に途中から気付いたみたいで、ミネラさんはずっとウズウズしていた。
「これ……ですか?」
「はい、じゅるり」
「ちょっとこちらへ……」
「え! あの! ロイエさーん」
ずるずるとロゼがマッドサイエンティストと化したミネラさんに店の奥へ連れてかれた。
「あの、ちょ! ミネラさん?!」
「うへへ、こっちも脱いでください!」
「きゃ、そこはちょっと……」
「へぇ、こんなふうになってるんですね」
「あっやっ……」
なんだか、怪しい声が聞こえてくる。店の奥で何をされているのか……。珍しい自作の装備をしていたロゼはミネラさんのおもちゃにされてしまった。
「まず、バスター鉱石の検証結果ですが、このサイズが限界でした」
コトっとテーブルに置いたのは、手のひらより少し小さいくらい薄く削った丸いバスター鉱石だった。何が限界なのかわからなくて続きを待っていると、目が合ったミネラさんが説明を続けてくれた。
「どのサイズまで効果があるのか調べたところ、このサイズで約5パーセントの魔法効果アップ。これ以上のサイズは全て効果が同じでした」
「え? この鉱石……魔法の効果が上がるんですか?」
話を聞いて、ロゼの目が既にお金のマークになっている。そりゃ購買欲そそるよね。でもいまは黙っていてもらおう。
「5パーセントが限界ですか、でもこれをたくさん装備すれば」
「それもダメでした。何個身につけても効果があるのは5パーセントまででした」
なるほど……。どれだけ装備しても、5パーセントしか効果はないのか……。
しかし、5パーセントでも重力魔法だとそれなりの効果アップが見込める。レーラとの修行でわかったけど、同じ重力魔法使い同士の戦いにおいて、この5パーセントは強力なアドバンテージになる。
「バスター鉱石の検証結果は以上でして、次に防具の進捗に関してですが、実は籠手に関しては作り終えてます」
そう言ってミネラさんがカウンターの下から出してきたのは、全体的に黒いデザインの籠手だった。見たところ革や黒い鉄のような物で補強されており、とても使いやすそうだ。
「手につけて、フィット具合を確かめてください。気になる点がありましたら直しますので」
手に取ると驚くほど軽い。バスター鉱石はどこについてるのかと思ったら、先ほど見せてもらったのと同様に薄く丸く削られて腕の内側に付けられていた。
「実はバスター鉱石で一番の問題なのが強度です」
「やはり脆いんですか?」
「ええ、ハンマーで叩いたら一発で割れて効果はほとんど無くなるでしょう」
「ピッケルでサクサク採掘出来ましたもんね……」
「そうなのです。だから攻撃を受けにくい場所に設置する必要がありまして、腕の内側に決めました」
確かに手のひらは武器が持てなくなるし、手の甲や腕だと攻撃を受け止めることがある。結果的に腕の内側しか残らないか。
「先ほども言いましたが、複数あっても効果が重複することはないので、両腕両脚にそれぞれ一つずつ、鎧の背中に二つで考えています」
「激しい戦闘だとしても六回までは壊れても大丈夫ってことですね」
「そうですね。ただ土魔法練度★2のドルックのような破壊魔法や広範囲攻撃を受けると、一発で全部壊れると思われます」
「なるほど……気をつけないとですね」
「どうですか? 受けた感じは」
説明を聞きながら腕に着けてみたけど、すごく良い……。キツくもなくすごく自然だ。
「これすっごく良いですよ! ミネラさん」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです。では後、脚と鎧を三週間以内に作成いたしますね」
「はい! お願いします!」
そう挨拶をしたところで、ミネラさんの視線が僕ではなくロゼに切り替わっていた。
「あのー、ロゼさんの籠手……見せてもらいませんか?」
やはり気になっていたのか、ロゼの魔石装具に途中から気付いたみたいで、ミネラさんはずっとウズウズしていた。
「これ……ですか?」
「はい、じゅるり」
「ちょっとこちらへ……」
「え! あの! ロイエさーん」
ずるずるとロゼがマッドサイエンティストと化したミネラさんに店の奥へ連れてかれた。
「あの、ちょ! ミネラさん?!」
「うへへ、こっちも脱いでください!」
「きゃ、そこはちょっと……」
「へぇ、こんなふうになってるんですね」
「あっやっ……」
なんだか、怪しい声が聞こえてくる。店の奥で何をされているのか……。珍しい自作の装備をしていたロゼはミネラさんのおもちゃにされてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる