251 / 262
第四章
[ 245 ] 総力戦1
しおりを挟む
「グハハハ! 先手はもらった! アダサーベン・オルト・ヴェルト!」
発動速度を優先して、ザイードは低レベルのアダサーベンを選択。とてつもない速さだ。練度★9の魔法使いともなると魔力の扱いが上手い。
こちらが迎撃の魔法を唱えるより速く、空に舞った無数の雷の手裏剣が僕らに向かって飛来した。
「テトラ!」
「任せて! ザントシルト・オルト・ヴェルト!」
格子状に編まれた砂の盾が、僕らの前に現れるとザイードの範囲攻撃を防ぎ、そのまま変形。ザイードとリシト、ゼクトの間に壁を作って分断させた。
「行くぞ! お前たち!」
アルノマールの合図を受けて、それぞれが動き出す。真っ先に動いたのはルヴィドさんとミルト。リシトに向かって走り出す。
「あらあら、イケメンとお嬢ちゃんが相手なのね、遊んであげるわ。メルクーアレッタ・オルト・ヴェルト」
「ミルト!」
「任せて! ハウリンググリーゼルラウト!」
ミルトが氷魔法のグリーゼルと、空気を広げる風魔法のハウリングラウトを組み合わせた合体魔法を発動させた。
グリーゼルは練度★1で発動も速いから対水魔法相手には最適な選択だが、相手がオルト・ヴェルトまで唱えているとカバーしきれない。物量で押される。
それをミルトは、ハウリングラウトと合わせる事で、より広範囲の魔法へ昇華させたようだ。
リシトの放ったメルクーアレッタは、瞬時に凍結され地に落ちた。
「あらやだ。氷と風のダブルなのね。困ったわ」
「さらにこれは防げまい! クラウンクロイツ・オルト・ヴェルト!」
ルヴィドさんの放った雷の剣が空を舞い、リシトを包囲し四方から畳み掛けた。
「ぎゃぁあああ!」
触れただけで感電する雷魔法は、水魔法では防ぎきれない。勝負あった。
「ああぁあああ……。なんてね」
雷に打たれて今もバチバチと放電しているリシトは、まったくダメージがないかの如く、平然と立っている。
「私たちは、王の護衛よ? ただの水魔法使いなわけないじゃない」
「バカな、雷が効いていない?!」
「雷が効かない属性って、何かしらねぇ」
「まさか……。水と土のダブルだと?!」
「正解、私の弱点は無くなったわよ? どーする?どーする?」
おかしい。いくら土魔法使いでも、生身で雷魔法を受けて平気なわけがない。なにかカラクリが……。
「ロイエ! 他の者の戦いに気を取られるな!」
「は、はい!」
そうだ。僕はゼクトを抑えておかないと、、彼の重力魔法はテトラさんが作ってくれた壁なんて貫通してしまう。
「ジオグランツ・オルト・ツヴァイ・ヴェルト!」
ゼクトの周囲に重力魔法を展開したのに、彼女には全く効いていないようだ。元々重力魔法を展開済みで中和している?
僕の頭に疑問が浮かんだ瞬間だった。ゼクトが急加速するとその巨大な剣で振りかぶってきた。
「フリューネル!」
ピヨの咄嗟の機転でギリギリ回避すると、ガン!とゼクトの剣が地面をえぐる。
僕も慌てて抜刀し、態勢を整えると自分に重力魔法をかけて軽くし飛びかかった。
「ピヨ!風魔法は任せた!」
「わかったピヨ!」
「ふ、そこの鳥が風魔法を使えるようだが、果たしてそんな付け焼きの連携で、風と重力を操る私を倒せるのか?」
地面から切り上げられた巨大な剣を破壊剣ゼーゲドルヒで受けると、僕はそのまま空中へ打ち上げられた。
「くっ」
「アレストルム!」
飛ばされた先のピヨが固めた空気の足場に飛び乗ると、追撃せんと飛んできたゼクトを迎え撃つため、僕は破壊剣を構えた。
「ロイエ、ピヨを信じてピヨ! アルノマールと一緒にたくさん特訓したピヨ!」
「わかった! ピヨに合わせるよ!」
「行くピヨ! ヴィベルスルフト・オルト!」
風魔法★練度5の連続フリューネル。いつのまにかこんな魔法まで……。ピヨの努力は僕の想像を超えていた。
「ハァアアアア!!」
「フッ! その場限りの連携など」
ガキン! ガリガリガリガリ!
ゼクトの振りかぶった巨剣を破壊剣ゼーゲドルヒが受け止めると、衝撃をうけた破壊剣が振動しゼクトの剣を破壊し始める。
「ちっ、なんだこの剣は――。ハァ!」
ゼクトが剣を振り抜くと、風魔法を駆使して僕の背後へ周り横凪に一閃。ピヨが風魔法を操作してそれを回避。
しかし、予見してたの如くゼクトが急加速にて距離を詰めると、同時に重力魔法で僕の動きを鈍らせ巨剣を叩きつけてきた。
「ロイエ!」
「くっ!」
ガキン! ガリガリガリガリ!
受け止めた斬撃で破壊剣が振動すると、ゼクトが引いた。
「危なかったピヨ。ごめんロイエ」
「僕がフォローするよ! 攻めよう!」
「わかったピヨ!」
僕たちとゼクトの空中戦は、さらに激しさを増した。
発動速度を優先して、ザイードは低レベルのアダサーベンを選択。とてつもない速さだ。練度★9の魔法使いともなると魔力の扱いが上手い。
こちらが迎撃の魔法を唱えるより速く、空に舞った無数の雷の手裏剣が僕らに向かって飛来した。
「テトラ!」
「任せて! ザントシルト・オルト・ヴェルト!」
格子状に編まれた砂の盾が、僕らの前に現れるとザイードの範囲攻撃を防ぎ、そのまま変形。ザイードとリシト、ゼクトの間に壁を作って分断させた。
「行くぞ! お前たち!」
アルノマールの合図を受けて、それぞれが動き出す。真っ先に動いたのはルヴィドさんとミルト。リシトに向かって走り出す。
「あらあら、イケメンとお嬢ちゃんが相手なのね、遊んであげるわ。メルクーアレッタ・オルト・ヴェルト」
「ミルト!」
「任せて! ハウリンググリーゼルラウト!」
ミルトが氷魔法のグリーゼルと、空気を広げる風魔法のハウリングラウトを組み合わせた合体魔法を発動させた。
グリーゼルは練度★1で発動も速いから対水魔法相手には最適な選択だが、相手がオルト・ヴェルトまで唱えているとカバーしきれない。物量で押される。
それをミルトは、ハウリングラウトと合わせる事で、より広範囲の魔法へ昇華させたようだ。
リシトの放ったメルクーアレッタは、瞬時に凍結され地に落ちた。
「あらやだ。氷と風のダブルなのね。困ったわ」
「さらにこれは防げまい! クラウンクロイツ・オルト・ヴェルト!」
ルヴィドさんの放った雷の剣が空を舞い、リシトを包囲し四方から畳み掛けた。
「ぎゃぁあああ!」
触れただけで感電する雷魔法は、水魔法では防ぎきれない。勝負あった。
「ああぁあああ……。なんてね」
雷に打たれて今もバチバチと放電しているリシトは、まったくダメージがないかの如く、平然と立っている。
「私たちは、王の護衛よ? ただの水魔法使いなわけないじゃない」
「バカな、雷が効いていない?!」
「雷が効かない属性って、何かしらねぇ」
「まさか……。水と土のダブルだと?!」
「正解、私の弱点は無くなったわよ? どーする?どーする?」
おかしい。いくら土魔法使いでも、生身で雷魔法を受けて平気なわけがない。なにかカラクリが……。
「ロイエ! 他の者の戦いに気を取られるな!」
「は、はい!」
そうだ。僕はゼクトを抑えておかないと、、彼の重力魔法はテトラさんが作ってくれた壁なんて貫通してしまう。
「ジオグランツ・オルト・ツヴァイ・ヴェルト!」
ゼクトの周囲に重力魔法を展開したのに、彼女には全く効いていないようだ。元々重力魔法を展開済みで中和している?
僕の頭に疑問が浮かんだ瞬間だった。ゼクトが急加速するとその巨大な剣で振りかぶってきた。
「フリューネル!」
ピヨの咄嗟の機転でギリギリ回避すると、ガン!とゼクトの剣が地面をえぐる。
僕も慌てて抜刀し、態勢を整えると自分に重力魔法をかけて軽くし飛びかかった。
「ピヨ!風魔法は任せた!」
「わかったピヨ!」
「ふ、そこの鳥が風魔法を使えるようだが、果たしてそんな付け焼きの連携で、風と重力を操る私を倒せるのか?」
地面から切り上げられた巨大な剣を破壊剣ゼーゲドルヒで受けると、僕はそのまま空中へ打ち上げられた。
「くっ」
「アレストルム!」
飛ばされた先のピヨが固めた空気の足場に飛び乗ると、追撃せんと飛んできたゼクトを迎え撃つため、僕は破壊剣を構えた。
「ロイエ、ピヨを信じてピヨ! アルノマールと一緒にたくさん特訓したピヨ!」
「わかった! ピヨに合わせるよ!」
「行くピヨ! ヴィベルスルフト・オルト!」
風魔法★練度5の連続フリューネル。いつのまにかこんな魔法まで……。ピヨの努力は僕の想像を超えていた。
「ハァアアアア!!」
「フッ! その場限りの連携など」
ガキン! ガリガリガリガリ!
ゼクトの振りかぶった巨剣を破壊剣ゼーゲドルヒが受け止めると、衝撃をうけた破壊剣が振動しゼクトの剣を破壊し始める。
「ちっ、なんだこの剣は――。ハァ!」
ゼクトが剣を振り抜くと、風魔法を駆使して僕の背後へ周り横凪に一閃。ピヨが風魔法を操作してそれを回避。
しかし、予見してたの如くゼクトが急加速にて距離を詰めると、同時に重力魔法で僕の動きを鈍らせ巨剣を叩きつけてきた。
「ロイエ!」
「くっ!」
ガキン! ガリガリガリガリ!
受け止めた斬撃で破壊剣が振動すると、ゼクトが引いた。
「危なかったピヨ。ごめんロイエ」
「僕がフォローするよ! 攻めよう!」
「わかったピヨ!」
僕たちとゼクトの空中戦は、さらに激しさを増した。
0
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる