ああ、愛しの我がBOSSよ!

Brama

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いずこへ、私の愛しのBOSSよ

過ぎ去る私の四年間 - 1 -

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あの夜、自分の道を見つけた次の日。

私はイタリアを出た。

離れてしまったら、もう二度と会えないのではないか。

不思議と、そんな心配は私の中には皆無だった。

会えないはずがない。見つけられないはずがない。まるでそれが、たとえこの世の創造主でさえも変えられない運命であるかのような、そんな不確かで、それなのに強い確信が私にはあった。

むしろ、ここで日本に帰りたくないと駄々をこねたところでどうにもならないと私はわかっていた。仮にまた会えたとして、あの時彼の視界にさえ入れなかった臆病者が、いったい彼に何を言える?彼のために何ができる?いや、そもそも今の私が、今の私のまま彼の役に立とうという考えすら烏滸おこがましいのだ。何の力も、教養もない私が、彼の傍へ近寄るどころか、後ろをついていくことさえ許されない。

私はやるべきことがあるのだ。

やるしかないのだ。

日本に着いた私は、まずは徹底的にネットを探し、高校の英語の先生にも連絡を取り、自分に合った英語とイタリア語の教材を手に入れた。

彼が話していたイタリア語はもちろん、英語も世界に出るなら必要不可欠だからだ。彼はきっと、ある程度の身分がある人だと思う。なぜなら、彼が乗って消えた車はあきらかに資産のある人ではないと買えないような車だった。調べてみればそれはマイバッハ62という車種で、ドイツ製のとてもお高いものだった。それにおそらく運転手がいた。

気落ちしたか?そんなわけない。むしろ俄然やる気が出た。あの人は恐らく私たちが一般的に想い描くようなお金持ちではない。だって見てしまったのだから。あの野性的で、獰猛で、品格のあるあの姿を。

そんな人が、誰かの下にいるとは到底考えられないのだ。きっとあの人は誰かの下につくことを嫌う。あの人は、自分の足で前に進む人だ。進める人だ。

人を従える、そう、まるで王のような人だ。

そんな人の隣に立つには、一体何が、一体どれだけ必要だろう。私は自分にこの四年を課すことにした。この四年で、私は身につけなければならない。英語、イタリア語、そんなのは当たり前。世界的作法のプロトコール、時事、プログラミング、教養、それでも尽きない。

ああ。


ああ。



生きている。


私は生を感じた。やるべき事が、やりたいことがこんなにある。私はまだまだ足りない。ちっぽけだ。でも、今から私はやれるのだ。あの人のため、いや、自分の為に。あの人の隣に立てる私のためにだ。

今まで、それこそ全身全霊で挑んだと文化祭でさえ、こんなに私の全てが湧き立つことはあっただろうか。

最高の快感で、至高の課題だ。




そこから、私は必死で勉強した。もちろん、机の前だけで学べ尽くせるとは思っていない。一年二年と、それぞれ違うバイトを経験した。その二年で、英語、イタリア語はC1 レベルまでに到達させた。ドイツ語も日常会話なら問題なかった。それだけで終わらせるつもりはなかった。成り行きで入った女子大から、三年生で編入という形で最難関大学の経済学部へ入学した。さらに、その半年後には、半年間のアメリカへの留学も勝ち取った。

そのアメリカ留学までに、フランス語も日常会話程度まで習得し、また世界的に有名な代表作家の文学は一通り読み終えた。

半年間の留学は、奨学金と、バイトで貯めたもので何とかなった。私にとって、半年間はとても短い。その上、生まれ育った国ではない、全くの別の地だ。慣れるまでに時間はかかるし、それ以上に学ぶこともある。一年は居たかったが、私は半年にした。それ以上は就活を翌年にしなければならない。半年がリミットだった。就活を一年伸ばすことも考えた。でも私は四年で卒業することに決めた。

早く、外に出たかった。早く、働きたかった。あの人を探す土台に立ちたかった。時間はある。でも無限ではない。私があの人を見つけて、その方の隣に立てるようになったとしても、早く見つけられなければ過ごせる時間はあっという間になくなってしまう。

考えろ。

血を巡らせろ。

アンテナをはれ。

選択しろ。

近道はない。

それでも効率的に。

何より時間が私にはない。

足らぬ私が足りるよう。

最適を探せ。
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